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200年間主人を待ち続けた猫、安らかに眠る

広大な湿地と豊かな森に囲まれた穏やかな町、グリーンヒール。先日、この町で長年暮らした1匹の黒猫が静かに息を引き取った。名前はオル。251歳の大往生だった。

オルは200年前まで、ある魔女の使い魔として飼われていた。鍵しっぽで全身黒く、更に左目が潰れたオルのことを魔女はいたく気に入り、自分の家へ招き入れた。当時を知る貴重な魔法使いであるジェイドさん(220歳)は「オルの主人は、良家に生まれたがうまく魔法が使えずに捨てられた、寂しい人でした。彼女が町の人と交流することはありませんでしたが、オルと暮らし始めてからは毎日楽しそうにしていたのを覚えています。しかし彼女の一族が彼女に政略的な婚約をさせるために連れ去ってしまってからは、オルもあの家も色を無くしたようでした」と当時の様子を語った。

ジェイドさんによると、オルは主人がいなくなった後も主人と共に暮らした家に留まり続け、やがて家が風化し取り壊されてもその場を動かなかったという。

そんなオルが主人と再開を果たしたのは、あまりにも切ない場所だった。

グリーンヒールに住む魔法使い達がオルのためにと魔女の一族の家を探り、やっと探し当てた住処は既に更地となっていた。

「90年前、子供のドラゴンばかりを狙い密猟を繰り返したことで怒りを買って、ドラゴンたちに滅ぼされた一族がオルの主人の生まれだったんです。調べたところ、オルの主人の名前はアルタリアさんといって、生まれつき魔力の乏しい中、逃げ遅れた子供たちを守るため最後まで戦っていたようです」

そう語るジェイドさんの瞳には涙が浮かんでいた。

ジェイドさんらグリーンヒールの住人は話し合いの末、オルをアルタリアさんの墓まで連れていくことにした。年老いたオルを墓の傍にそっと降ろすと、今まで聞いたことのないような声で鳴いたという。

オルはアルタリアさんの墓を守るように1週間ほど墓標に寄り添い、その後役目を果たしたように静かに息を引き取った。この切なくも優しいニュースに、魔法界中から「どうかアルタリアさんの隣でオルを眠らせてあげてほしい」との声が殺到し、オルの墓が建てられる運びとなった。

これに伴い、グリーンヒールの町長であるフルール・キャンベル町長は「勇敢で心優しいアルタリアさんと、その優秀な使い魔のオルを誇りに思う。この出来事はこれから先もグリーンヒールで語り継がれていくだろう」と語った。

オルの墓は来月下旬を目処に完成する予定だ。

さらに思い通りのモノづくりへ――新技術の3D魔素プリンター

昨今、モノづくり界隈を賑わせている魔道具製造機器『3D魔素プリンター』をご存知だろうか。

これまでは丹念に魔力を注ぎ込んで少しずつ手加工をするか、工業用の大仰な機械に大量の魔力を注ぎ込むことでしか成し得なかった魔道具の作成。

それをご家庭のPCのみで作成できるようになるのが『3D魔素プリンター』だ。自前の魔力すら必要がなく、簡単な魔道具ならばものの30分ほどで完成する。

また、作成後に魔力を抽出すればただのオブジェクトにすることもでき、その人気に拍車をかけている。

そんな底の見えない3D魔素プリンターだが、昨日3D魔素プリンター製造会社ライフドリーマーズが新たなプリンター技術の開発に成功したと発表した。

特殊な魔力を液体に注ぎ、安定化させた魔素インク。それをゴーレムにも使われる魔親和性の高い粘土に混ぜ込むことで立体的な魔道具の印刷を出来るようにしたのが3D魔素プリンターである。

しかし、絞り出し積層していくという構造から、絞り口より小さい・細かいのスケールでの作成は不可能だった。

そこでライフドリーマーズ社が開発したのが『魔力の粉末化技術』だ。同社は一旦生成した魔素インクを、純度98%の魔力の粉末にすることに成功した。

これにより粉末を足した魔素インク内の魔力含有量を従来の7割も上昇させることが出来る。更にその余剰魔力を使って粘土の構造体に干渉する魔法陣を発動させ、従来よりも少ない粘土でより高密度で繊細なモデルの作成が可能になった。

本日発売の新型プリンターはこの技術に対応しており、新型リフィルも同時発売される。

また、ライフドリーマーズ社はこの魔力の粉末化技術を他の産業にも活用できないかと考えている。社のこれからの活躍にも注目したい。

テレポートデブ解消!? 魔法が解けると溶ける肉ダイエットに迫る

昨今の流行語にもノミネートされた「テレポートデブ」。

自分を別の空間や位置に転移させるテレポーテーションは比較的高度な魔法であるが、皮肉にもそれを使いすぎてしまったがため運動不足となり、肥満に陥ってしまった個を指して自虐的に用いられる言葉だ。

一度詠唱法を覚えてしまった個にとってみれば、テレポートの頻度を下げる事はなかなか難しい。肥満は病気などにも繋がりやすいため、テレポート可能な魔法使いの悩みの種になっている。

そういった人たちにとって”強い補助魔法”になりそうなダイエット法が、今流行の兆しを見せている。それが「溶け肉」ダイエットだ。

溶け肉とは、動物の肉に極力近付けて魔法で作られた魔導的生成物で、形や柔らかさ、匂いなども普段食事している肉に近いという優れもの。

名前の通り、体内で一定時間が経過した後に溶け、ほぼ水や二酸化炭素、魔素などのような物体となり消えてしまうのが特徴で、エネルギー摂取も同じ重さの肉を食べた時に比べ数%程度(つまり、90%超のカット)と非常に低い。

魔法による生成物は、一般的に時の経過や強い衝撃などで消えてしまう場合が多く、食品としては非常に限られたシーンでのみ使われてきた。

しかし、イルヴァディナ地方・コド西部のヒーユ魔導総合研究所の研究チームによって、消えてしまうという特性を逆手に取ったダイエット法として考案・開発され、「対象者の5%の脂肪が(このダイエット方法によって)消滅した」と発表されたのち、イルヴァディナをはじめ、各所でブームとなった。

チームのル・オタ・フモール研究員は「ともかく、皆さんに健康的に、そして心理的にも万全に受け入れてもらえてよかった。『溶け肉』の他にも、『溶け野菜』『溶けエーテル』なども開発し、幅広い種の方のダイエットを応援したい」「研究チームにもいわゆるテレポートデブのオークがいるが、彼のダイエットも無事成功した。『溶け肉ダイエットという魔法が、ずっと解けないといいね』と言うと、『ほっとけ』と返してくれた」と話した。

また、専門家は当編集部に対し、「おいしく食事をしながらダイエットができるのはとても良い事」「(溶け肉は)当然消えてしまうので、栄養の管理は今まで以上に大切。運動を大切に、また種族や身体に合わせた栄養素・魔素を摂取し、栄養失調にくれぐれも気をつけてください」とコメントした。

ドラゴンの目撃相次ぐ 討伐隊編成へ

24、25両日、王都ウィザナリア付近で親子とみられるドラゴン2頭の目撃情報や足跡の発見が相次ぎ、討伐隊を編成することが決まった。

兵士長によると、24日正午ごろ、森でドラゴンが飛んでいるのを目撃したと帰還した遠征隊から報告を受けた。体長約4メートル1頭、約2メート1頭の計2頭で、すぐに目撃場所付近を捜索したが見つからなかった。

25日午前4時半には王都から約300メートル離れた森で、親子とみられる足跡や他のモンスターを食べた痕跡などが見つかり、王都は安全が確認できるまで警戒を強めている。今週に入り、王都上空を飛んでいるドラゴンも目撃されていることから、飛龍隊を中心に編成し討伐を考えている。

新種? 「ざしきわらシルキー」発見

グローバル化の進行により国際結婚、異種族間結婚も珍しくない時代になったが、このたび非常に珍しい、妖精と妖怪の異種族間結婚による新種が発見された。

仮称は「ざしきわらシルキー」。その名の通り座敷童とシルキーの間に生まれたと考えられ、実際に発見された当時は座敷童の住む旅館(写真)にて、シルキーと座敷童の間に挟まれる形で仲睦まじく寄り添っていた。

親のシルキーは、イギリスの古い魔法使いの家系に代々仕えている妖精である。当代主人が日本に留学する際に着いていき、座敷童と出会ったと考えられている。

「ざしきわらシルキー」の見た目は二種の中間であり、真っ白な肌にプラチナブロンドの髪をおかっぱに切りそろえ、白い絹の小袖を着ているという。

王立アトス大学精霊学部教授コルネリア・ライバドール氏は、「過去に例のない交配種です。シルキーは家の手伝いをする妖精、座敷童は家に幸運を与える妖怪です。どちらも“家”につく精霊であるため、お互い親しみを持ったと考えられます。新種を妖精と分類するか、妖怪と分類するかはいまだ議論中です」と発表した。

 

未踏深域<Gokshqi>ついに踏破! 調査隊74年ぶり快挙

世界には、まだ知られていない謎が無数にある。誰も足を踏み入れたことのない場所――”未踏深域”もその一種だ。

世界地理院を初めとして、多くの政府・団体が長年にわたり調査を進めているが、踏破に成功したのはいまだ全体の一割にも満たないと言われている。

そんな未踏深域のひとつである<Gokshqi>、一般名「アーカー地下大空洞」をついに踏破したとして、探検家エシュラ氏の率いるエシュラ調査隊が地表への凱旋を成し遂げた。前回、大空洞の構造に関する有力な情報が得られた本調査から、実に74年もの時を経て、再びその名を世界に轟かせることとなった。

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山林で遺体発見 ドラゴンによる被害か

王都ウィザナリア辺境の山林で大きなモンスターに噛みちぎられたとみられる身元不明の遺体が見つかっていたことが、王都遠征隊への取材で判明した。現場付近では昨年6月、ドラゴンに襲われたとみられる60代魔女が死亡したほか、毎年ドラゴンの目撃情報が相次いでおり、同隊はドラゴンによる被害の可能性もあるとみて死因や身元の特定を急ぐ。

同署によると25日午前8時40分ごろ、行方不明者の捜索をしていた同隊員らが、うつぶせで倒れている遺体を発見した。損傷が激しく性別は不明。黒いローブらしきものを着ていたが、身元特定につながる所持品はなかった。近くに杖が落ちていたことから、遺体の持ち物とみて照合し調べを進めている。

付近では、マンドラゴラなどを取りにきていた王都在住の魔法使いの男性(66)が14日から、付近の村の男性(78)が18日からそれぞれ行方不明になっており、近くで2人のホウキが発見されている。

あの頃に戻って素直な気持ちで 幼児期退行セラピー

大人になるにつれて忘れてしまった気持ち。
子供時代、本当はこうして欲しかったという思い。

人によってそれぞれ違えど、誰しもに思いあたる節があるのではないだろうか。

この度、WHOでは新たな魔法心理療法を試験的に導入すると発表した。今回発表された療法の名前は「RIT(Regression of infancy Therapy、幼児期退行療法)」(※以下、RITと記す)。

本来であれば、時間退行魔術は歴史的な流れや対象者の運命等を変更してしまう恐れがあるため、使用を禁止されている。

しかし今回の心理療法においては、約30項目程度の厳しい条件下で発動をする場合にのみ、免責となる。以下はその条件の一部である。

・時間退行魔術の目的が医療行為を含んだものであること

・施術者においては、魔法医師免許と魔法心理療法士免許の2つを所有しており、かつこの度制定されたRIT施術者免許を取得した者であること

・退行時期は、各種族における幼児期に限る(※人間種であれば1歳から満6歳まで)

・退行時間は施術より72時間(これ以上の時間は元に戻った際、人格への影響が懸念されるため)

・施術をする前には、最低100時間以上のカウンセリングを行い、しっかりとしたラポールを相互構築した上で施術をすること

なお、現在この施術ができる有資格者は全世界で20人であるが、WHOは今後需要が高まる分野であることを予見し、更なる施術者の増員を目指す。

これにともない、RIT資格取得の試験を全世界で毎年2月に施行すること、資格取得のための対策セミナーの開校を予定していることを同時に発表した。

WHOによれば、来月末RITを実際に受けた治験者達の体験談を開催する。(体験談の様子については追って本誌で紹介していく)

体験談の詳細について気になる方は、WHOの担当窓口に問い合わせを承るとのことだ。

現時点では未知の部分が多いRITではあるが、新たなセラピー療法として新風を起こせるのか今後の動向を見守りたい。

突如現れた謎のヒーロー『ディバイン・ガール』とは?

 

ダテリオ暦5月20日の午後9時ごろ、ユスティア王国の王女シャルア・ザン・ユスティセン様主催のパーティーに魔獣が乱入する事件が発生しました。

魔獣の種類はグリーンバックハウンド。高さ約3m、全長約7m、体重は10トン以上。気性が荒く、人間を含む別種の生き物には一切なつきません。体内で緑色の炎を燃やして背中と口から放出することができ、戦争にも利用されている凶悪な魔獣です。

しかも今回のグリーンバックハウンドは魔術的な改造を受けていたようで、護衛の魔術師たちは大苦戦。パーティーの出席者にも魔術師の方はいましたが、会場に入る前に魔術具を預けていて援護できる者がいませんでした。

しかも騒動の最中にシャルア王女が行方不明に。会場はパニックに陥りました

その時、会場に謎の人物が乱入。暴れまわる魔獣の前に立ちはだかりました。

その人物はマスクを着用した金髪の女性で、自らを『ディバイン・ガール』と名乗り、なんと魔獣に戦いを挑んだのです。

彼女はブラックオーガ人種も顔負けの超人的な身体能力で魔獣を撃退。魔獣を放った犯人まで捕まえてしまいました。

以下はパーティーの出席者の方たちのコメントです。

「あの魔獣はグリーンバックハウンドであろう? グリーンバックハウンドといえば、重さが10000キログラムはあったはずだ。それをあの女史は腹部の下に入り込んで持ち上げたのだ」

「あんなクソデカ……とても大きな獣にあの方は臆せず立ち向かっていったんですのよ! しかも獣の顎に強烈なアッパーをぶち込んで……強烈な拳を、お当てになりましたのよ。とにかく見事でしたわ!」

「あの女史は己をディバイン・ガールと名乗っておったが、どこかで見たことがある気がするのじゃ。さっきまでここにいたような……思い出せん! まったく年は取りたくないの」

魔獣を放った犯人は自称魔術師の男ビアス・ヴィケー(102)容疑者。ユスティア王国の政策に不満があり、今回の犯行に至ったということでした。

行方不明になっていた王女は、ディバイン・ガールが魔獣を撃退して去った後に無事に姿を現しました。

突如現れた正体不明のヒーロー、ディバイン・ガール。彼女の今後の活躍に期待です。

サマルコレクション2019S/S発表。テーマは「知性と野生」

”闇にとけこむ”がブランドコンセプトの「サマル (samar)」が、2019年の春夏コレクションを、現地時間6月23日17時過ぎにレーヴァ国で開催した。

メインデザイナーのルナリア・キャラウェイ移籍後初のコレクションということで、注目度の高い今期。ショー会場は、レーヴァ国随一のファッション特区レビアカヌラ市魔法騎竜警察兵舎。

三日月の下、空中に設営されたテントの中央には、夜会をイメージした巨大な漆黒のシャンデリアが用意され、会場は約3万本のハイドランジアの花々で彩られていた。

ファーストルックは、シュバルツレーヴェのファーを模した漆黒のセットアップ。風にそよぐ透ける素材のオプションマントやショート丈のボトムスなどクリーンでユニセックスに利用できる軽やかなルックは、フロントローのエルフ族から熱い視線を浴びていた。

中盤にはサラマンダーのウロコを花弁に見立てたフラワーモチーフのフルスカートが鮮やかな印象を残した。

初登場となる、箒の柄までトータルコーディネートされたダークラミアのエクスヴィアカバーや、ビルドアップチャームに”ビー”(蜂)のモチーフが有名な「アパースノスチ」のレーヴァ国第一級魔法危険物取扱士ソラリア・デナンガンが手掛けたスフィアナイトのジュエリーなどが加わり、ワイルドさの中に知性を感じる夏の魔法使いの装いが披露された。

全30体から構成されたコレクションでは、ルナリア・キャラウェイが解釈する「野生に包まれた知性」を表現したという。月光に舞うハイドランジアの精霊からインスピレーションを得て、女性的なクチュールのアイデンティティーを現代的なマスキュリンの文脈に落とし込み、前デザイナーのアーカイヴから着想を得たというブランドならではのサバトモチーフが数多く反映され、呪術行使の効果効率も高めている。

また、ユスティア王立大学魔術科マギデザイン研究室との共同研究チームの成果として、原色のアイテムに彩度調整魔法陣を反映し、真夏の日中から闇夜までオールタイムマッチのルックが最後を飾った。

会場には8,000人以上のゲストが箒来場し、先日、ニーニャ・ヌーニャ国境を騒がせた魔術牛の良質な皮革を原資に立ち上げた「ガリゼルトン」で自身もデビューコレクションを発表した両国王や、前任のセバスチャン・ドラコ・アッシュ、そしてタール・ダークフェルド、「SEIMEI ABE」の阿部晴光、「アンダードラフト」の低田賢三といったデザイナーなどが、フロントローでルナリア・キャラウェイの新たな門出を見届けた。