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決め手はもふもふだった 梟と結婚する女性現る

古くから魔法使いたちが使役し生活を共にしてきた愛すべき猛禽類、梟。使い魔としてのみならず、家族として親しみを持つ魔法使いも多いのではないだろうか。そんな梟と永久の愛を誓ったという驚くべき女性が現れた。

女性の名前はロゼッタさん(29歳)。多くの魔法使いが暮らす閑静な港町で、ポプリの専門店を営む魔女だ。彼女は幼い頃に両親を亡くし、それ以来使い魔の梟であるバドくんと共に、一人と一匹で暮らしてきた。

「バドはとても賢くて優しいんです。私は今までなんとかして家族が欲しくて、色々な男性とお付き合いをしてきました。けれど今まで一人で散々自由に生きてきたから、どうにもうまくいかなくて。それで、最近ようやく気がついたんです。私が心を許せるのは、世界でただ一匹、バドだけだって。バドのふわふわの毛並みに触れている時、私は世の中で一番の幸せ者だって思います」

幸せそうに語るロゼッタさんの肩の上で、バドくんがどこか誇らしげな顔をしていた。

ロゼッタさんは昨年12月に魔法市役所にバドくんとの婚姻届を提出し、なんと先月2日にこれが正式に受理された。この驚くべき出来事に対し、婚姻届を受理した市役所の職員は「これをきっかけに、狼男や半魚人などの異種族との婚約も気兼ねなくできるようになればと思った」と、最近問題視されている異種族間での婚約について触れた。

バドくんとロゼッタさんは来月、結婚式を開く予定である。式にはバドくんの友人の梟も呼び、ネズミやコオロギなどの料理も振るまわれる。

シーズン到来、百鬼夜行の渋滞に注意

百鬼夜行による渋滞が、一部地域で6月の巳(み)日にかけて発生すると予想されている。交通魔法省は事故などへの注意を呼びかけている。

去年の百鬼夜行初日となった巳日には、都心から30kmを超える渋滞が発生した。今年は17時~18時を中心に各地で30~40km規模の渋滞も見込まれている。

魔法省などによると、全国的におおむね晴れにする予定だが、お祭り騒ぎの妖怪たちは気性が荒く、騒動があるとすぐに大気の状態が不安定になる。一部では天気が変わりやすく、雨や雷雨、突風、ひょうなどへの警戒が必要だ。

百鬼夜行の列は合流も予測され、80km以上の列になることも推定されている。渋滞のピークは明朝まで続く。

【気象情報】各地に異常寒波襲来 氷竜不調か

季節外れの寒波が襲来し、政府が防寒の徹底を呼びかけている。

原因について、専門家たちは「アイスドラゴンの風邪」とおおむね一致した見解を出している。

筆者が国境なき魔法医師団に取材を試みたところ、拠点はもぬけの殻であり、机の上には「氷竜に風邪薬を届けに行ってきます」とメモだけが残されていた。

アイスドラゴンは『世界の果て』に棲む1頭の巨大な竜である。この竜が一日に一度吐き出す氷点下の息は、世界の果てからはるばる海を渡ってこの大陸までやってくる。海を渡るあいだに温度が上がり、たくさんの水蒸気を含んだ空気の塊となって大陸へ到達、各地に雨をもたらすのである。

しかしアイスドラゴンが風邪をひいてしまった場合、吐き出す息の温度は絶対零度付近にまで下がり、息は氷点下のまま大陸に到着してしまう。

今回の寒波はそれが原因であると予想されている。

温暖な気候で知られるアンガスの森では、数百年ぶりに樹木に霜が降りた。

アンガスの森で暮らすエルフたちも異例の事態にてんてこ舞いだ。

「耳当てがね、ないんですよ」

エルフ族・ヴェイナ氏は語る。

防寒着の備えがなかったため町に出ていろいろと買い込んだはいいものの、耳当てだけが見つからなかったという。

「ほら、私たちって他の種族より耳が長いでしょう? 普通の耳当てだと、飛び出しちゃって意味がないの。だからって無理に折り曲げると痛いし、ねえ」

ヴェイナ氏の両耳には、机の脚に着けて床に傷が入るのを防止するためのカバーがすっぽりと被せられていた。

「あっ、これは代用してるだけなの。あんまり見ないでっ」

人々は寒そうに俯き、足早に行き交う。普段は活気がある町もなんだか静まりかえっている。と思ったら、公園のほうからは元気そうに遊ぶ子供たちの声が響いてきた。

「アイスドラゴンさんがいる『世界の果て』って、とっても寒いんでしょう? 風邪ひいちゃうぐらい寒いところにずっといるなんてかわいそう。わたし、いつかアイスドラゴンさんにも着られるようなおっきなコートとマフラー編んで、届けにいってあげるの!」(公園で遊んでいた女の子)

寒空の下で取材してまわっていた私は今にも凍えそうであったが、心はほかほかと温まった。

アイスドラゴンの棲む『世界の果て』までは最短でも1週間かかるため、寒波もあと1週間は続くとみられている。

風邪などをひかないよう、しっかりと防寒対策をおこなってほしい。

大型飛空艇『ステビア・ソルビット号』の初飛行にて異常事態。飛空艇の行方は…

本日、トスリック魔法王国にて行われた大型飛空艇『ステビア・ソルビット号』の初飛行において不測の事態が発生した。

 

飛行機メーカーであるウトシュログマ社が開発製造していた、次世代に向けた持続可能なリサイクル飛空艇『ステビア・ソルビット号』。飛空艇は10年以上の歳月をかけてようやく今日初飛行を迎える予定であった。それが、初飛行前の飛空艇外装へ最後の銘入れを行った際に飛空艇は突如として稼働し、安全術式の固縛陣を引きちぎって空の遥か彼方へと飛び立ってしまったという話だ。

この時、幸か不幸か飛空艇内部には誰一人として乗組員はいなかったそうだ。

 

通報を受けた航空管理局の局員らが接近を試みたようだが、飛空艇は竜種の固有魔法である“ハウリング”や“ドラゴンブレス”を使用して逃走した後は行方が分かっていない。

 

ウトシュログマ社の開発関係者によると、「あの船には大型竜種の遺骨を再利用しているからね。我々の製品の出来栄えがあまりに良すぎて魂が戻って来てしまったのかもしれないね。」と話しており、職人冥利に尽きると言わんばかりの楽し気な様子で本件について語ってくれた。

 

ウトシュログマ社は原因の究明に全力を挙げるとのみコメントを発表している。レーヴァ国立ホルユキープ大学魔法学部飛行術式学科のヒルデカーヌ・ポツマオリ教授にも協力の依頼を出していることから、同社の本気度が伺える。

闇魔法使用に伴う、若者の精神病

闇魔法を使う若い世代で「闇魔法病」と呼ばれる心の病が流行している。この病気の難点は、患者が周囲の理解を得にくいことだ。魔法病は心身的理由で魔法が一切使えなくなるが、「闇魔法病」の場合は闇魔法を使おうとすると気分が沈み込んだ状態が続くものの、ほかの魔法を詠唱すると普通に発動する。

こうした状況を周囲が見て、「あいつは魔法病みたいだけど、よく見ると他の魔法は使えるときのほうが多いな。本当は仮病じゃないか」といった誤解を招き、患者に対する偏見に結びついている。と、王都病院精神科のローリー医師は語る。

背景には、昔と今の教育の違いが挙げられる。昔は各魔法の適性を上げていったが、今は基礎だけを学び、後は生徒の興味がある魔法を伸ばす教育方針をとっているため、闇魔法の耐性が低いのではないかとローリー医師は指摘する。

闇魔法はセキュリティ面に関わることもあり、企業などで使用される機会も多い。現代の生活を営む上で必須と言っても過言ではない。魔法省はこれを期に、教育プログラムを見直すことを検討している。

イギリスでアーサー王復活か〜名乗り続出で混乱〜

イギリスで自分のことを「復活したアーサー王である」と名乗る男性が数多く現れ、混乱を招いている。

アーサー王とは5世紀後半から6世紀初めのブリトン人の君主である。数多くの武勲を残しており、現在でも多くの人気を得ている。

彼が持っていたとされる、ロンゴミニアドやプリドゥエンなどの武器は現在も博物館のトップである、王立エスポワール博物館で厳重に保管されている。

アーサー王はカムランの戦いで息子であるモードレッド卿と相討ちになった後、エクスカリバーを湖の乙女に返還し、ベディヴィア卿に見送られながら傷を癒すためにアヴァロンへ旅立った。イギリスが危機に瀕した際に復活し、窮地を救ってくれると言い伝えられている。

昨今、「自分が復活した、かの伝説のアーサー王その人である」と名乗る男性が続出している。

年齢の幅は20代から60代とかなり広く、名乗っている人数も300人に上り混乱を生んでいる。人々はみな伝説の剣である「エクスカリバー」だと主張する剣を保持しており、これが自分がアーサー王である証拠であると宣言している。

しかし、アーサー王本人が実際使用していたエクスカリバーの詳細な情報は全く記されておらず、実際に見たことがある者も現在生存していないために、証言を調べることが出来ずにいる。

現在、召喚術に長けるポラリス・アストロローグがアーサー王と実際に出会ったことのある人物を召喚するために研究を行っていたり、降霊術に長けるアン・メテオローグが降霊をして確かめようとしたりと、この問題を解決するべく著名な者も関わっている。

アーサー王本人が復活している保証はないが、もし、本当のことを言っている者がいるのならば、魔法界に多大な貢献をしてくれることは間違いない。魔術警察は現在、本物のアーサー王を見つけるべく、一般の魔法使いにも救援を求めている。

住宅地に石が飛来ーー原因はピッグモックの巣

今年の春以降、タレモ区の住宅地に石が飛来する事件が多発している。

石の大きさは握りこぶし程度かそれ以下。ケガなどの人的被害はないものの住宅の窓ガラスが割れる等の被害が頻繁に報告されている。警察は当初、いたずらによるものと推定して捜索していたが、原因はピッグモックだと判明した。

 

ピッグモックは体長15cmの哺乳類で、タレモ区付近の山に生息している。ピッグモックのオスは巣を作る際、メスへのアピールのために巣を中心とした円形の飾りを並べる。この飾りが魔法陣と同じ機能を有し、近くの石に魔力を集めることがある。魔力を貯めた石は外部からの刺激に反応し矢のように住宅街に飛んで行くことが大学の調査チームによって確認された。

 

タレモ区では飛来物対策を進めているが、一部住人からピッグモックの捕獲・駆除を求める声が上がっている。

調査チームの一人は「この現象はずっと前から『ピッグモックのびっくり箱』という名前で研究者の間では知られていました。それが最近、エサ不足や生息地の減少で住宅街の近くで巣を作るようになったんです。捕獲・駆除は先走りすぎです」と述べた。

 

なお、巣の飾りつけは9月には終わるとされている。

空飛ぶホウキの安全機能

FBU(空を飛ぶホウキ組合)は6月23日、「ホウキ調整魔法陣」(通称:調整魔法)などを搭載した「先進安全ホウキ」に関する魔法使いの使用実態調査を発表した。調整魔法を搭載したホウキによる事故削減効果が認められる一方、魔法陣への過信が事故につながる危険性も指摘する。

空を飛ぶ魔法使いセンターが運営する相談データベースには2037年度以降、先進安全魔法陣関連の相談は計132件寄せられ、中でも高度調整ブレーキに関するものが109件(83.8%)を占めた。「魔法陣が作動しない場合がある」ことを知らずに事故を起こした事例や、「真バベルの塔を越えようとしたところブレーキがかかり、衝突した」といった事例があった。相談件数は年々増加しており、37年は33件、38年は37件、39年は11月末日までに26件となっている。

調整魔法陣は、先行するホウキや高度など周囲の危険を察知し、追突や衝突、酸欠の恐れがある場合に音や振動などで使用者に魔法での操作を促す機能。魔法での操作がなく追突や衝突が避けられないとシステムが判断した場合にのみ自動的に魔法が作動する。ホウキメーカーや箒種によっては、魔法陣の方式が異なり、作動する速度や高度などの条件にも違いがある。

「調整魔法陣は、あらゆる状況での事故を防ぐ装置ではない。例えば使い魔やドラゴンが急に飛び出してきた場合には作動しないこともあり、魔法使いは魔法陣を過信せずに安全に飛行する必要がある」(魔法使い安全協会)

新発売の掃除魔具、不具合多発で全品回収へ

モンドリ社は昨日発売した自動掃除魔具「ルバーン」について謝罪会見を開き、現在製造済みの数百万点すべてを回収すると発表した。

致命的な不具合の多発が原因と見られる。

会見では不具合の原因を公表するとともに、使用中止を呼びかけている。事前の期待度が高かっただけに消費者の間にも動揺が広がっている。

 

「ルバーン」は円盤型の魔法器具で、指定した場所を自動的に清掃してくれるという商品だ。汚れや塵を吸い込んでまわり、魔力が切れそうになると魔力充填台まで戻る。

「掃除からの解放」をうたった広告で話題となり、発売日だけで数十万台を売り上げた。

しかし、発売後わずか数時間で「ゴミや汚れ以外も吸い込んでしまう」「突然爆発した」というクレームが多発。

「ヒフキヤモリの皮をふんだんに使った高級品の絨毯が、跡形もなく吸い込まれてしまった」(人間族・L氏)

「生まれたばかりの息子が吸い込まれた。まだ十歳だったのに」(エルフ族・M氏)

「帰宅したら家と妻子が粉々になっていた」(人間族・J氏)

「ルバーンの爆発に巻き込まれたのでまた死んでしまった」(ゴースト・ニューヨークのマボロ氏)

モンドリ社はこれを受け、対策委員会を設置して原因究明にあたっていた。

 

まず余分なものを吸い込んでしまう不具合については、製品中枢部の「吸い込まれ物質定義術式」にミスが見つかったという。

「ラクレア語の「l」と古代エルフ文字の「I」が混在しており、術式が正しく機能しておりませんでした。それにより『汚れ』や『ゴミ』の定義が製品ごとに曖昧なものとなり、今回のような事態を引き起こすに至ったものと見られます」(開発室副長ニテツメ氏)

 

また、爆発するという不具合については、ルバーンを二台以上同時使用した場合にのみ起こっていることを確認。二台のルバーンが衝突したとき、ゴミ吸い込み重力場どうしが互いに吸い込みあうことで重力勾配が無限大に発散することが原因と見られる。

「開発室で再現実験をおこなったところ、重力場どうしの対消滅エネルギーによる爆発を確認しました。その余波で開発室は焼け野原になり、少なくとも八人の研究員が巻き込まれて消滅しています」(開発室長サンテツメ氏)

 

謝罪会見では購入者に対し使用中止を呼びかけるとともに

「製品はお近くのモンドリ社窓口までお持ちになるか、モンドリ社まで着払い梟便でお送りください」(広報部長ジュッテツメ氏)

と改めて通告した。

 

また、社長のゴーツクバリ氏は

「明らかにJE(術式エンジニア)たちのミスであり、社員への教育不足を痛感しております。彼らの処分については協議中ですが、他の製品については安全性が確保されていますので引き続きお使いいただければ」

と述べ、改めて自社製品の安全性を強調した。

被害者への補償内容については今のところ「ルバーンを二台進呈」が有力と見られる。

 

「JE(術式エンジニア)たちが劣悪な労働環境の中で術式を手書きさせられているという指摘もありますが」(記者)

という質問に対しゴーツクバリ氏は「ではこれで会見を終了させていただきます」と述べ、そそくさとその場を後にした。

省魔力で連絡できるサービス、実は…「電波通信」?

無線通信?

魔導開発企業ヴェルプラム・アンテグレイル社(以下WI社)より発表された省魔力通信サービス『EcoM(エコム)』に、ある疑惑が巻き起こっている。

『EcoM』は、WI社から発売された魔力ブリッジングアペラタス「EcoM Apparatus」を家庭などに設置する事で、利用者から発せられた魔導の想度を増幅し、従来の魔術単体による通信に比べて1/8、他の一般的なブリッジングアペラタスと比べても1/5 ~ 1/6(WI社発表)の省魔力で通信が可能になるという画期的な省魔力通信サービスだ。また使用が簡単で、子供やお年寄り、ドワーフやアンデッドなど、魔導コンセントレーションが難しい世代や、種族にとって、より簡単に通信が可能になるというメリットがあった。

しかしながら、発売直後から苦情が相次いだ。雷魔導師や電磁気に敏感な種族を中心に、「遠くで電雷を放っている生物がいる時のような感じがする」、「娘が使い始めると、詠唱中のようなピリピリとした感覚が現れるので、落ち着かない」といった報告がSNS「Mapitter」上で寄せられた。

また、ある利用者は、「ペットのメタロジェル(筆者注:体内に鉄やミスリルなどの金属を多く含むスライムの一種)の調子が悪くなってしまった」「病院に連れて行くと、『体内に磁力が蓄積されてしまっている。近くに電磁波を発するものはないですか』と聞かれた」という。

当然、電波による通信が禁止されているわけではない。だが、魔力と偽って電波による通信を行なっていたのだとすれば、利用者もガッカリだ。

この騒動を受け、WI社は昨日記者会見を開いた。会見の中では、「利用者にご迷惑をおかけし、申し訳ない」「電波による通信は行なっていない」「内部で何らかの魔力増幅機構が誤作動を起こしている可能性はある」「原因を究明する事に尽力する」と回答。合わせて、「解明までの間、体調不良や、身の回りに異変の起こっている方は、雷に対する防護魔導を付与するか、使用を控えてほしい」と呼びかけた。

魔導開発におけるスタートアップ企業の中でも1、2を争う業績を誇るWI社。その今後にとって、重い課題となりそうである。