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女子PPGA、マンマクラーレが大会新で連覇

空を翔ける「痛み」 唱え継がれる愛のまじない

第115回全国ペインペインゴーアウェイ選手権オリエント大会は11日、ウェルスマウント県ゼンデン市のハンゴンタン競技場で男女計8種を行った。女子ペインペインゴーアウェイ(以下PPGA)フリースタイルはメディケ・マンマクラーレが3,143kmで優勝。昨年の3,142kmという記録を自ら更新し、二連覇を達成した。

「呪文発祥の地であるオリエントで、満足のいく結果を出せて本当に嬉しい。このままでは私も飛んでいってしまいそう」とマンマクラーレは破顔し、記者団に語った。

かつての極東古代呪文のひとつ「痛痛飛行」というまじないを、治癒呪文として確立させ、競技化したのがこのPPGAである。

閉会式では、県PPGA連盟のカケバ会長、東方見聞社のカベニミ・ミアリ宣伝局長とショウ・ジニメアリー営業局次長らが「鍛錬を積み、また来年も怪我と誤射に気をつけながら力強い呪文を見せてほしい」と激励した。

大会の目玉となるか PPGA団体形

昨年新設されたPPGA団体形では、開催地であるウェルスマウント代表が男女共に優勝した。治療魔術に長けた種族を先祖にもつ彼らの強さは、やはり半端ではない。

この団体形は、3人で1チームを構成し、一つの形を同時に実演する。個人形同様に飛距離・正確さ・スピード・治癒力がその技術の合理性に適っているのかを競い合う。特に全員が息を合わせ、同じ形として呪文を唱えるため、その同調性が重要となってくる。パフォーマンス性も高く、大会の華と呼ばれる日もそう遠くはないだろう。

まだまだ競技としての歴史は浅く人口も少ないが、老若男女が親しめる競技として更なる発展が期待される。

※大会で使用された痛みは、運営局が責任を持って回収済み。

「時の流れ遅くならなかった?」報告相次ぐ=サテン町区

78週18日昼頃、カレス・ノワ中央部、サテン町区付近で、奇妙な報告が多数寄せられた。それは”時の流れが一時的に遅くなった”というものである。

サテン町区は、カレス・ノワ中央部の西に位置する居住者4,000名程度の町で、四方をヒュルレ山、ジフクサン山、呪泉地としても有名なジッポロ山岳等の険しい地形に囲まれている。また、町の南にはサテン銀鉱や南ブラテン・ミスリル鉱山などの鉱山が存在し、一期前から一種のマニアには観光地として話題となっていた。18日も観光団体などが訪れ、町の名所を満喫していたようだ。

そんなサテン町区で、時の流れが遅くなる現象「歪時」が観測された。事故や事件、呪術、集団幻覚によるものでは、と一時魔警隊に報告が相次ぐ事態になったようだ。

SNS「Witchila」に投稿された報告によると、およそ1分程度にわたって、最大で2/3程度の速度まで時間の流れが断続的・不安定に遅くなったとのことである。現在当該の投稿は削除されているが、さらなる事故・事件の可能性を警戒するよう呼びかける声もあった。

その後の調べによって、歪時は自然現象によるものだったということが判明し、意外な顛末に人々は驚きの声をあげている。

地学の専門家トゥヴィ・ケタシィ氏はこのように述べた。

「ヒュルレ山の地下水脈は、町の地下を貫く形で東から西へ伸びており、一種のトンネルのようになっている事が知られています。また、同じくヒュルレ山では時空性の魔石がしばしば発見されており、その純度は非常に高く、世界でも珍しいレベルのものです。先日の雨で増水した水脈によって流れてきた魔石が落石などで破壊され、今回の歪時を引き起こしたと考えられます。実際に、空間の歪曲を調べるシンチレータ上でも、町の地下から強い歪曲を検出していて、どういった過程で魔石が破壊されたかはともかく、自然現象ということでほぼ間違いないでしょう。非常に珍しい事象で、いくつかの古い文献に似たような事象が書き記されているだけとなっており、私も240年近く研究を続けておりますが、初めて聞きました」

また町区の広報担当者は取材に対し、「びっくりしましたが、事件でなくて本当によかった。むしろ、サテン町区の新しい目玉として積極的に売り出していきたい。まずは…もちろん、ご当地ウィッチド・クロック(※)からですね(笑)」とコメントした。

(※ウィッチド・クロック:強い魔力が込められた時計の一種。蓄積されている魔素が尽きるまで、何度かエネルギーを解放することで、使用する当人の時の流れを一時的にコントロールすることができる。その上非常に細かい時間を表示できるので、当人以外の時間の流れも正確に把握することができ、インテリアとしても魔具としても人気が高まっている)

湖に謎の生物? 目撃相次ぐ

グルテール王国南西部のノリッチ湖で、ここ数ヶ月の間に謎の生物が繰り返し目撃されているという。

ノリッチ湖は長さが50km、幅が10mと細長く、最大水深は250mにもなる淡水湖。

目撃者によると、謎の生物は人間の2倍以上もある大きな顔、そして細長い首を水面から出しており、こちらを見た途端再び潜っていったという。もちろん魚でもなければ、魔法生物でもないそうで、生物がいた場所に船で近づくと、始めは食べ物が腐ったような不快な臭いがするが何故か嗅ぐことをやめられず、やがてお酒に酔ったように気分が良くなっていくそうだ。

近所の村に住む男性(87歳)は、

「産まれてからずっとこの村に住んでいる。湖で泳いだこともあるが、そんな生き物がいたというのは初めて知った」

と話した。

噂は広まり、謎の生物を見るためにわざわざ隣国から来る人もいるというが、目撃できたという例は少ない。

新種の魔法生物か、はたまた誰も知らない未知の生物なのか。

報告を受けたグルテール王国は、近々調査隊を派遣すると発表した。

マンドラゴラのお酒が流行 悲痛な顔がSNS映え

若者の間で、マンドラゴラを漬けた酒が流行している。

元々は滋養強壮を目的とした地方特産の酒だったが、ハーブと一緒に漬けるなどして清涼感にこだわったものが発売されたのをきっかけに、全国的に知られるようになった。材料を自分で用意し、果実酒感覚で作れる自由度の高さも、人気の一因となっている。

この流行には、健康志向のほかにもう一つの側面がある。SNS映えだ。

ハッシュタグ「#マンドラゴラ酒」で検索すれば、マンドラゴラとハーブを漬け込んでオレンジ色を帯びた酒瓶の写真がずらりと並ぶ。

特に、人型に近く、苦しそうな表情をしているマンドラゴラほど反響が大きい。作者が顔マネして一緒に写真を撮るのも人気だ。

コメントには「飲みすぎて叫び声が聞こえてきた。このまま死ぬかもしれん」「漬け始めたけど、夜中に目が合って怖かったから倉庫の奥にしまうわ」「ベースの酒やハーブを変えて何種類も作ってます。インテリアにもなります」と楽しんでいる様子が見てとれた。

「猫の命、9個ではなかった」実態調査により判明

A cat has nine lives──“猫は9つの命を持つ”と信じられてきたが、アトス大学が新説を発表し、研究者の間で論争が巻き起こっている。

先日、王立アトス大学錬金経済学部は、猫の命は平均64,381.5個であることを報告。定説である9個を遥かに上回る6万超えという数値に、会場にはざわめきが起こった。

実態調査はマキフィアス・ル教授らを中心としたチームにより継続的に行われ、最終的には3431匹の猫がインタビューに応じた。動物語通訳の専門家を交え、綿密に計画された構造化面接によって得られたデータであり、サンプル数も充分に多く確度は高いという。

その衝撃的な命数に人類種の間では論争の種となっている一方、猫族からは「何万回も生きた猫なんて、一匹しか知らないよ」と、慎重なコメントが届いている。


(データ:王立アトス大学『年次報告書』78(2)より)

打刻遅延魔術疑惑のブラック結社を摘発 2次被害多数か

ここ数年間増加し続けているブラック結社に対し初の摘発が行われ、各方面より期待の声があがっている。

秋の訪れを感じる9月のこの頃、中央魔道局はかねてよりマークしていたヤマトのブラック結社「刻意」を打刻魔術改ざんの疑いで摘発した。

「刻意」は食品の保存容器などに使われる擬似時間停止魔術を開発し業界最大手とされていたが、以前から過酷な勤務体制のブラック結社として有名だった。

3年前から魔術結社に義務付けられている打刻魔術により、勤務時間をはじめとする勤務体制の問題が明るみに出ると思われていたが、「刻意」の記録に一切の不備はなく、退勤時間を調査しても通常の時間で業務を終了していた。勤務体制の実態は社員からの告発に頼るのみであったため、確実な物証を持たない中央魔導局は手を出せなかった。

ではなぜ今回摘発に成功したのか? それは先日発生した夏の風物詩、魔力嵐に原因がある。

魔力嵐は術式をかき乱し誤作動させてしまう性質があるため、この時期は結社も休みになることがほとんどなのだが、「刻意」は秘密裏に業務を敢行。その結果、打刻魔術にかけていた遅延魔術が魔力嵐によって暴走し、周辺の事物へ影響を及ぼしたことで打刻魔術改ざんが明らかになった。

遅延魔術の正体は、彼らの扱う擬似時間停止魔術の応用魔術。社内にかけることで時間の流れそのものを止め、その間業務を行っていたことが判明している。

中央魔道局は他にも類似した手法を用いている結社があると考え、近く一斉摘発を行う予定であると発表した。

なお、遅延魔法の暴走により近隣の結社、媒体、存在の時間が停止している可能性があり、中央魔道局は注意を呼び掛けている。

追記:いつの間にか2月になっていたの、これじゃん

【重要】更新停止についてのお詫び

いつもMaho-ONLINEをご利用いただき誠にありがとうございます。

長らく記事の更新を停止してしまい、読者のみなさまにご不便、ご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます。

更新停止に至った原因につきましては、編集部内で鋭意調査中となっております。また、更新停止の経緯について、今後各記者より随時報告いたしますので、続報をお待ちくださいますようお願いいたします。

Maho-ONLINEは「賢い魔法使いのための総合ニュースメディア」として、これからもみなさまの生活に役立つ情報を発信していきます。

今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。

2019年2月
Maho-ONLINE編集部

「服を着ていないような軽さ」 ウニシロ新作、奇抜なデザインで話題

魔法衣類メーカー「ウニシロ」が、有名デザイナーとのコラボを発表し、その奇抜なデザインで話題になっている。

ファッショニスタの間で特に注目の的となっている今回の夏の新作は、「愚者には見えないローブ」。

シースルーを題材に作られたコラボ商品は、初日で売り切れが相次いでいる。次回入荷は未定。

この「愚者には見えないローブ」を一番乗りで購入した、世界的長者でありファッションリーダーのハダ・カノオーサマ氏は「涼しくて快適。まるで衣服をまとっていないような軽さです」と絶賛している。

しかし、ウニシロ店舗周辺では「下着姿の魔法使いが大量にうろついている」といった魔法警察への通報が急激に増加しており、魔法省魔法道具管轄課は近く、「愚者には見えないローブ」の調査を開始する予定である。

カラスク皇帝陵発掘調査 ついに主体部を発見

今年で第3次を迎えたカラスク皇帝陵の発掘調査は、ついに主体部の解明に及んだ。

カラスク皇帝陵は、4000年前に北方アドラスに存在した大帝国“エラム帝国”を築いたカラスク・エラスムス帝の墓と考えられており、全長211mの巨大墳墓だ。盗掘を受けておらず、初期魔法時代における地域支配についての成果が期待されていた。

主体部は、墳墓北寄りの中央に竪穴式の石室として存在しており、中には豊富な石製の棺とともに豊富な副葬品が見つかた。それらは発掘を主導したエドルシア博物館で調査が進められている。

同館によれば、副葬品の中には簡易的な初期魔法道具が複数含まれていたという。そのひとつが炎と風の二属性を込めた青銅製の剣で、当時の技術水準の高さが見てとれる。いまだ謎の多い魔法道具の製造技術の起源について、新たな考察が望めそうだ。

教授のライア・サトラ-氏は、「カラスク皇帝陵は、他にも前期エラム朝の良質な資料を含んでいる可能性が高い。今回の成果によって彼らが支配に用いたとされる魔法道具の開発、普及について、さらなる考察の余地を与えた」としている。

じゃびる亭「汞餅」自主回収 人気『ゲテモノ』配信に警鐘

じゃびる亭(クーペフィーロ国マッキナ村)は7月5日、「汞餅(みづかねもち)」の自主回収を実施すると発表した。

予期せぬ国外への持ち出しが確認されたとの報告があり、クーペフィーロ国政府が他国へ呼びかけ、回収の協力を仰ぐという異例の事態となっている。

じゃびる亭は5年前に開業して以来、オートマタ族や鉱石族向けの菓子を製造販売しており、中でも「汞餅」は人気商品である。

水星の大気で風味付けされた水銀を、軟化魔術を施した石英で包んだもので、その美しさはSNSでも話題となっていた。昨月34日、MahoTubeでヒト型魔術師が「汞餅」を「機械人形の国のゲテモノ」と称し、実食する様を配信し、注目を浴びた。現在、該当する映像は削除されている。

その後注文が殺到したものの、じゃびる亭では元々他種族への商品販売を全て断っている。

しかし、SNSでは汞餅実食レポの掲載と食後の体調不良の報告が止まらなかった。原因として、転売目的での購入者がいると仮定した同店は、汞餅をはじめとする商品全般の販売中止・自主回収を決めたという。

店主であるオートマタ族男性(稼働3年)は「体調を崩された方は気の毒だと思うものの、“ゲテモノ”扱いされた商品を思うと複雑な気持ち。お客様の良識を信じていたが、それでは甘かったようで大変残念に思う。”お取り寄せ”が出来ないのにはちゃんとした理由があるので、どうか理解してほしい」と話した。

現在じゃびる亭はこの一件を受け休業中である。再開するかどうかは未定だという。

230年前の「アマルガムガム事件」は、人々の記憶から既に薄れているのだろうか。『蜘蛛に珈琲』ということわざがあるように、誰かにとっての嗜好品は、誰かにとっての毒かもしれないのだ。その逆も然り、である。当たり前のすぎることだが、改めて胸に刻むべきではないだろうか。

クーペフィーロ国は今年独立20周年である。自我を持った魔導人形や魔道具たちはこの事件を受け、なにを思うのだろうか。