事件・事故

新発売の掃除魔具、不具合多発で全品回収へ

モンドリ社は昨日発売した自動掃除魔具「ルバーン」について謝罪会見を開き、現在製造済みの数百万点すべてを回収すると発表した。

致命的な不具合の多発が原因と見られる。

会見では不具合の原因を公表するとともに、使用中止を呼びかけている。事前の期待度が高かっただけに消費者の間にも動揺が広がっている。

 

「ルバーン」は円盤型の魔法器具で、指定した場所を自動的に清掃してくれるという商品だ。汚れや塵を吸い込んでまわり、魔力が切れそうになると魔力充填台まで戻る。

「掃除からの解放」をうたった広告で話題となり、発売日だけで数十万台を売り上げた。

しかし、発売後わずか数時間で「ゴミや汚れ以外も吸い込んでしまう」「突然爆発した」というクレームが多発。

「ヒフキヤモリの皮をふんだんに使った高級品の絨毯が、跡形もなく吸い込まれてしまった」(人間族・L氏)

「生まれたばかりの息子が吸い込まれた。まだ十歳だったのに」(エルフ族・M氏)

「帰宅したら家と妻子が粉々になっていた」(人間族・J氏)

「ルバーンの爆発に巻き込まれたのでまた死んでしまった」(ゴースト・ニューヨークのマボロ氏)

モンドリ社はこれを受け、対策委員会を設置して原因究明にあたっていた。

 

まず余分なものを吸い込んでしまう不具合については、製品中枢部の「吸い込まれ物質定義術式」にミスが見つかったという。

「ラクレア語の「l」と古代エルフ文字の「I」が混在しており、術式が正しく機能しておりませんでした。それにより『汚れ』や『ゴミ』の定義が製品ごとに曖昧なものとなり、今回のような事態を引き起こすに至ったものと見られます」(開発室副長ニテツメ氏)

 

また、爆発するという不具合については、ルバーンを二台以上同時使用した場合にのみ起こっていることを確認。二台のルバーンが衝突したとき、ゴミ吸い込み重力場どうしが互いに吸い込みあうことで重力勾配が無限大に発散することが原因と見られる。

「開発室で再現実験をおこなったところ、重力場どうしの対消滅エネルギーによる爆発を確認しました。その余波で開発室は焼け野原になり、少なくとも八人の研究員が巻き込まれて消滅しています」(開発室長サンテツメ氏)

 

謝罪会見では購入者に対し使用中止を呼びかけるとともに

「製品はお近くのモンドリ社窓口までお持ちになるか、モンドリ社まで着払い梟便でお送りください」(広報部長ジュッテツメ氏)

と改めて通告した。

 

また、社長のゴーツクバリ氏は

「明らかにJE(術式エンジニア)たちのミスであり、社員への教育不足を痛感しております。彼らの処分については協議中ですが、他の製品については安全性が確保されていますので引き続きお使いいただければ」

と述べ、改めて自社製品の安全性を強調した。

被害者への補償内容については今のところ「ルバーンを二台進呈」が有力と見られる。

 

「JE(術式エンジニア)たちが劣悪な労働環境の中で術式を手書きさせられているという指摘もありますが」(記者)

という質問に対しゴーツクバリ氏は「ではこれで会見を終了させていただきます」と述べ、そそくさとその場を後にした。

子供が夢に溺れた結末 危険なプール

15歳の人間と34歳のエルフの2人組が、彼らの通う学校のプールの中で意識を失っていたところを、夜間の見回りをしていた警備員の人間に発見され病院へ搬送された。幸いにも2人とも命に別状はなく、意識を取り戻している。

警備員の話によると、学園内を見てまわっている際、探知魔法によって不審者の侵入を知り、急いで駆けつけると2人の少年がプールいっぱいのゼリーの中で溺れていた。警備員はゼリーを削り、中にいる2人の少年を救出して病院に連絡をした。

現場検証によると、少年2人がプールに貯まっていた水をすべてゼリーに変換する魔法を用いたことが明らかになった。プールの水をゼリーに変換した後に2人で乗って飛び跳ねていると足場が崩れて沈んでしまい、底に頭をぶつけて意識を失ったようだ。意識を取り戻した少年たちに事情を聴くと「プールの水をゼリーに変えたかった」「ゼリーにしたら弾んで遊べると思った」と自分たちの行いを認めている。

これらの事情を警備員に話すと「ゼリーに指を強く刺したら貫通するのが当たり前。ゼリーを大きくしてもかかる力が指から人体に変わったら沈むに決まってる」と呆れ混じりに語っていた。また、ゼリープールは職員たちの手によっておいしく処理された。

この2名には2週間の停学処分がくだされた。見通しは甘かったが、現実はゼリーのように甘くはなかった。

霊峰穿たれる 内部から謎の構造体出現

20日午前11時頃、標高3000mを超える霊峰カラグシの山腹が、融解魔法により直径100mにわたって抉られた。犯人はいまだ発見されていない。

魔法省は、周辺の魔力の残滓や溶け落ちた森林の痕跡から、カラグシの北東300mの距離にあるトラクヴォル峠からの狙撃だとみている。また、発生時刻当時、近辺の森に住んでいたエルフ族の一部が、構築していた魔法陣を外部より操作されたと証言している。このことから、犯人はなんらかの方法で周辺地域の魔力を収集し、大規模な融解魔法を行ったとみられている。

近頃、現場周辺では集落倉庫や魔力貯蔵施設など、多岐に渡る施設が破壊される事件が相次いでいた。魔法省は同一犯によるものとみて調査を行っている。犯人に関わる情報として、小柄で身の丈を超える大きな箒を持った不審人物の情報が届いているが、事件につながる確たる証拠は得られていない。

また、今回の事件によって抉られた山腹から謎の構造体が出現していることも明らかになった。霊峰の中枢に位置するこの構造体は、現在見られる技術体系とは大きく異なったものが用いられており、関係者一部ではデッドロックに関するなんらかの施設ではないかとの意見もあがっている。

幻術木天寥(トリップ・シルヴァイン)で 初の逮捕者

幻術木天寥で、初の逮捕者が出た。逮捕されたのは、ネコ科亜人種・ケットシー族の150歳の男。

警察の調べによると、男は「普通の木天蓼では酔うことができなくなり、手を出してしまった」と供述。家宅捜査の結果、男の自宅から自分で使用すると見られる「幻術木天寥」の他、売買用とみられる2キロ近い「乾燥幻術木天寥」を発見したことから、組織的犯罪も視野に入れ慎重に捜査を進めていくと発表した。

幻術木天寥はその名の通り、使用をすると強い幻覚症状や多幸感を得る麻薬の一種。使用後は深い酩酊状態に陥り、依存性が強い。1回の使用で死に至ることもあるため、国際魔法警察連盟が世界的に使用が禁止していることで知られる。近年では通常の木天寥と偽り販売をする手口等も出てきており、警察は木天蓼を購入する際には販売免許を取得している店舗で購入するよう呼びかけている。

※幻術木天寥とは※
主にネコ科亜人種のみに効くとされている、近年新たに開発された違法合成麻薬である。通常の木天蓼に幻術魔法、催眠魔法を長期間かけ、生成される。
使用方法としては、乾燥させたものを砕いて粉末状態にして燻し吸引をする方法が一般的であるが、近年では酒に漬けこみ飲酒する方法も報告があがっている。
依存性は木天蓼の数千倍とも言われており、1度使用すれば幻術木天寥なしでは生活不可能とされる。100年前から劇薬として使用が禁止されている。
なお、木天蓼においては免許があれば販売可能な嗜好品である。

サハギン長老 静電気で重体

21日未明、ネトル県カモマイル市に住んでいるサハギン長老ヤヴィ・コルテさん(69)が、静電気によるショックで重体に陥り緊急搬送された。

近所の住民によると、コルテさんの家に塩を届けに行ったところ応答がなかった。鍵が開いていたので中に入ると、普段は設置されていない金属製のドアノブの前でえら呼吸の停止したコルテさんを発見し、魔法局救急科に緊急連絡を取ったとのことである。

コルテさんは魚人族専門病院に搬送され、治療を受けている。依然として意識不明の状態が続いており、サハギン族には動揺が広がっている。

捜査当局は、隣に住む電気ネズミ族の男が事情を知っているとみて任意同行を求める方針である。

電気ネズミ族の男とコルテさんの間ではトラブルが絶えなかったとの情報もあり、当局は現在行方が分からなくなっている電気ネズミ族の男を追っている。

住宅街で火災、原因は発火ネズミ

4月10日、ロズラス国ヒリシニユ市の住宅街で住宅一棟が焼け、そこに住む家族4人が死亡する事件が起こった。災害対策局火災部の話によると、今回の出火の原因は発火ネズミの死骸ということだ。

都市環境を研究するロールローレンツ卿は「一昔前はネズミ殺し用のハーブ薬の効果が薄く、発火ネズミ対策に火喰い鳥を飼うことが一般的だった。しかし近年、薬の調合の変化により効果が高まったことで、世話が大変で費用もかかる火喰い鳥より、薬を採用する家庭が増えてきた。発火ネズミは生体よりも死体の方が出火しやすく、今後このような事件が頻発する可能性が非常に高い」と分析した。

ただ、今回の事件は住宅にかけられていた防火魔法の劣化も大きな要因となっており、災害対策局火災部は防火魔法の点検とMサイズ以上の水吐草の導入を呼びかけている。

モンスターの卵、盗難相次ぐ

辺境の村、ソルバのワイバーン人工ふ化施設などで、ワイバーン計56匹の卵が持ち去られていることが、先月分かった。村内では同様の手口でキマイラの卵も盗まれている。関係者は、錬金術で使用するモンスターの卵の需要が高くなったことで卵に希少価値が出たことが背景にあるとみて、警戒を強めている。

王都ワイバーン増殖事業協会(王都ウィザナザレ)によると、管理しているソルバのふ化施設で25日朝、職員が飼育場近くのワイバーンが暴れているのを見つけた。原因を調べると卵が持ち去られていた。持ち去られた卵は56個、その内数個は、王都の飛龍隊に送られるはずの卵だった。

ソルバの西地区でも9日、キマイラ25匹の卵が盗まれていたという。いずれも職員不在の間に何者かが侵入したとみられ、協会は犯人を探し出すために、王都飛龍隊と冒険者に依頼を出すことを検討している。

星屑祭にファイオン襲来、三万人以上が死傷

1月31日、火を操る大型の獣ファイオンがバーデン国のイグルボナ市を襲撃し、三万人以上が死傷、約一万七千戸が全焼した。

ファイオンとは翼の生えた火を操る大型の獣であり、その火力は大規模魔法にも劣らないとされている。本来は砂漠のような場所を好み、滅多に人里には現れない。ウロル国立メルカヒルド大学幻獣学部の教授であるマルヒトッヒ・フリードリヒ氏は「今回の襲撃は昨今急速に広まった砂漠緑化活動により、住処を奪われたと感じたファイオンが報復措置を行なったのではないか」と分析する。

襲撃時、イグルボナ市は毎年1月31日に行われる星屑祭の真っ最中であり、多くの人が訪れていた。治安維持局、災害対策局の話によると、突如として現れたファイオンが街を焼き始め、パニックを起こした人々が街に溢れかえった結果二次災害が起こり、被害が拡大したとのことだ。

現在、元凶であるファイオンは捕獲され、この事件は解決されたが、治安維持局巨獣対策課に所属するバヤルド・グリーデマン氏、ロッド・スキマーニ氏の2名と災害対策局火災部に所属するホーネット・ヤードラ氏の計3名が殉職した。また、バーデン国は犠牲になった人々の慰霊祭を2月12日に執り行う予定だ。

なお、国際環境保護連盟は今回の件を受けて、砂漠緑化活動団体を認可制にする為の審議とともに、地球環境保護政策の抜本的な見直しを行なっている。

フライラグ社製の空飛ぶ絨毯、またも暴走か

4月20日、バーデン国シルビータルト市に住むパルスティン・ヒートルノ氏が所有するフライラグ社製の空飛ぶ絨毯(商品名:ラグK-30)が突如暴れ出し、ヒートルノ氏を振り落として飛び去った。

ヒートルノ氏は高さ300M付近から落下したが、近くを飛んでいたラギンレード・ビビビルフ氏に拾われ、怪我はなかった。

ビビビルフ氏は「最初人が落ちていくのが見えた時はビックリしたよ! でも、毎年ハウザルの方に女の子を受け止めにいっていたおかげで拾うことが出来たんだ! 何はともあれよかったよ! 人が潰れるとこなんてみたくないからね!!」と語った。

今回は大事にいたらなかったが、ここ数日、シルビータルト市では同様の事件が頻発しており、死亡者もでている。

これについては、レーヴァ国立ホルユキープ大学魔法学部飛行術式学科のヒルデカーヌ・ポツマオリ教授が「フライラグ社のラグK-30はその魔術式の構造上、設定された目的地まで行くことしかできず、速度や動きも設定されている。

製品の欠陥というよりは、何者かが飛行を妨害しているのではないか」と分析する一方で、同大学の魔法歴史学部のマヤジデ・バイゼ教授は「空飛ぶ絨毯について言えば、魔術式が意図しない結果を生んでしまった例が沢山ある。

今回の件については、第三者による徹底した魔術式の調査が必要だ」と主張しており、未だ原因ははっきりしていない。

なお、フライラグ社はラグK-30に欠陥の可能性があるとして、販売を中止、全品回収すると発表した。治安維持局はフライラグ社の過失と何者かによる犯行の二つを視野に捜査を開始するとしている。

数百人が『心無き者』へ アストラル界の調査を開始

昨日午後、イソル国・テルナッド州で「知人が心無き者に成り果てている」と数百件もの通報が警察署に押し寄せた。

この事件について、警察署は同時期に起きたアストラル体の集団消滅事件が起因していると断定。冒険者ギルドとの協力体制を掲げ、アストラル界にて多数のアストラル体を消滅させた犯人の捜索活動を続けている。

しかし、捜査に協力するはずの冒険者たちはあまり協力的ではなさそうだ。

「俺らは聖人でもなければ賢者でもねぇ、荒くれ稼業の野蛮人だ。だがな、捨て駒みてぇに扱われて『はいはいわかりました』とホイホイついていくような馬鹿じゃあねぇ」

「アストラル体が失くなったら心も失うって? 嫌だねぇ……」

「サツと協力? そんなら俺ぁ便所で飯でも食っとくか」

「マッポと動くとタマに足が生えやがんだ。歩いてどっか行くって言うんだぜ? 俺は俺のもんなのによ」

非協力的な姿勢の背景にあるのは、やはり扱いの悪さだろうか? 一部冒険者によると、冒険者を前線に置き警察は後方から指示を出すのみであるという。

そうした扱いが冒険者たちに不満を抱かせるのは至極当然だ。

警察は協力を要請した側だというのになにをしているのか。
──コメンテーター、ヴィギル氏

心無き者について、専門家は以下のようにも述べる。

「心無き者になると生存に必要な食事・排泄以外のことを行えなくなり、食事の用意などには必ず介護人の助けが必要となる。身近な人が心無き者となった場合、心の身体であるアストラル体の回復を待ち、被害者の介護に努めていただきたい」

警察署も、単身世帯の被害者に関しては餓死に至るおそれがあると考え、犯人の捜索とは別に単身世帯の家々を訪問して回っていると発表。身近に一人暮らしをしている人がいる場合には、何らかの手段で確認を取っていただきたい。