事件・事故

屏風絵が具現化 あわや大惨事に

昨晩11時ごろ、閉館後の国立美術館にて龍の絵が描かれた屏風の龍が具現化した。

龍が具現化しているのに気付いたのは、結界の異常を確認して駆けつけた警備員。龍が館内で暴れていると通報し、警視庁の対魔法武装隊が出動する騒ぎになった。

幸い怪我人は出なかったが、精霊の中でもかなり上位な幻想種に近い存在が具現化していたため、同館内の美術品が一部破壊される被害となった。

具現化の原因は、屏風に施されていた封印魔法が数百年の時を経て劣化していたのに加え、その屏風絵を鑑賞した客によるある種の信仰心が強くなったためとされている。

本来、魔法というものは祈りや願いに近いものであり、その数が数百、数千を超えてしまうと「まるでここから飛び出して動き出してしまいそうだ」というとてもあやふやな信仰でも上級魔法のような効力を発揮してしまうという。

古くから存在する世界的に有名な絵画がその域に至っているケースは少なくないと、専門家の春風彬氏は語る。ほとんどは作者や作品の管理者が具現化を防ぐために封印魔法をかけており、同様の事件が起こらないようになっている。また、同時に貴重な作品の具現化には細心の注意を払ってもらいたい、と述べていた。

今回のような事件は決して頻繁に起こるものではなく、普通に鑑賞している分には問題がないそうだ。ただし、その封印魔法をわざわざ解除したりするのは、絵に描かれた存在を従属化させる自信のある魔術師にしかおすすめはできないだろう。

隣国の王都ウィザナリア滅亡か

隣国の王都ウィザナリアがドラゴンの襲撃によって滅亡していることが、遠征隊の報告で明らかになった。王都ウィザナリアは瓦礫の山と化しており、ウィザナリア王の安否も確認できていない。ドラゴンの死骸が発見されていないことから、国はドラゴンへの警戒を呼びかけている。

我が国サーガシュの賢王エルドラ・サーガシュは、空を使う交通手段と連絡手段の停止を発表。ウィザナリアの領地内を単独で歩くことも禁止した。王国の外交官は、エルドラ王が29日にウィザナリアの災害状況を視察すると発表した。エルドラ王はこれに先立ち、「次の犠牲を出さないこと、これが第一だ」と声明し、救援隊を難民キャンプへと向かわせた。

被害の収束の目処は立っておらず、戦闘跡地で発見された鱗などからドラゴンの種類を調べる予定でいる。

保護施設スタッフ、魔法生物を横流しか

ギョット県立魔法生物保護施設(以下『保護施設』)の従業員、ケイパー・アヴィド容疑者(33)が、保護飼育中の魔法生物数十体を複数の市場に横流ししていたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。ギョット県警は、アヴィド容疑者が数年に渡り犯行を続けていたと考え、捜査を進めている。

「一定周期で生じる『民族料理ブーム』による食材としての魔法生物の需要に目を付け、犯行に及んだのではないか」と、ウロル国立メルカヒルド大学経済学部の准教授であるメニエ・ゴルトミュンツェ氏は分析する。

この捜査によって、能力を使って消失・脱走した生物に対する保護施設の杜撰な対応が明るみに出た。また、事件を受け、県内各地で魔法生物愛護団体によるデモ活動が発生しており、全国的に波及することを懸念する声もあがっている。

ルーンと毛生え薬で魔法暴発 頭髪が消失する重大な影響

先月27日、ルーン医療魔法で有名なドルイド高僧(532歳)が魔法を暴発させ、治療中であった60代男性の頭髪右半分を失う痛ましい事故が発生していたことが判明しました。

ドルイド側によりますと、60代男性の頭頂部に頭髪を発生させる処置を行っていたということですが、突如患者の全頭部が発光し始め爆発するなどして、処置のおよそ3分後には右半分の頭髪が消失していたということです。

医療ルーン魔法協会の調べによりますと、60代男性が普段から使用していた市販の毛生え薬「にょきにょき毛生え薬」とルーン魔法が異常な反応を起こし暴発したものであるということが判明しました。「まさか毛根まで持っていかれるとは思わなかった」と60代男性は肩を落としています。

医療魔法協会は「にょきにょき毛生え薬」を購入しているユーザー向けに、ルーン魔法を頭髪へ向けて行わないよう注意喚起のふくろう便を発送しているとのことです。

山林で遺体発見 ドラゴンによる被害か

王都ウィザナリア辺境の山林で大きなモンスターに噛みちぎられたとみられる身元不明の遺体が見つかっていたことが、王都遠征隊への取材で判明した。現場付近では昨年6月、ドラゴンに襲われたとみられる60代魔女が死亡したほか、毎年ドラゴンの目撃情報が相次いでおり、同隊はドラゴンによる被害の可能性もあるとみて死因や身元の特定を急ぐ。

同署によると25日午前8時40分ごろ、行方不明者の捜索をしていた同隊員らが、うつぶせで倒れている遺体を発見した。損傷が激しく性別は不明。黒いローブらしきものを着ていたが、身元特定につながる所持品はなかった。近くに杖が落ちていたことから、遺体の持ち物とみて照合し調べを進めている。

付近では、マンドラゴラなどを取りにきていた王都在住の魔法使いの男性(66)が14日から、付近の村の男性(78)が18日からそれぞれ行方不明になっており、近くで2人のホウキが発見されている。

大型飛空艇『ステビア・ソルビット号』の初飛行にて異常事態。飛空艇の行方は…

本日、トスリック魔法王国にて行われた大型飛空艇『ステビア・ソルビット号』の初飛行において不測の事態が発生した。

 

飛行機メーカーであるウトシュログマ社が開発製造していた、次世代に向けた持続可能なリサイクル飛空艇『ステビア・ソルビット号』。飛空艇は10年以上の歳月をかけてようやく今日初飛行を迎える予定であった。それが、初飛行前の飛空艇外装へ最後の銘入れを行った際に飛空艇は突如として稼働し、安全術式の固縛陣を引きちぎって空の遥か彼方へと飛び立ってしまったという話だ。

この時、幸か不幸か飛空艇内部には誰一人として乗組員はいなかったそうだ。

 

通報を受けた航空管理局の局員らが接近を試みたようだが、飛空艇は竜種の固有魔法である“ハウリング”や“ドラゴンブレス”を使用して逃走した後は行方が分かっていない。

 

ウトシュログマ社の開発関係者によると、「あの船には大型竜種の遺骨を再利用しているからね。我々の製品の出来栄えがあまりに良すぎて魂が戻って来てしまったのかもしれないね。」と話しており、職人冥利に尽きると言わんばかりの楽し気な様子で本件について語ってくれた。

 

ウトシュログマ社は原因の究明に全力を挙げるとのみコメントを発表している。レーヴァ国立ホルユキープ大学魔法学部飛行術式学科のヒルデカーヌ・ポツマオリ教授にも協力の依頼を出していることから、同社の本気度が伺える。

193人を植物に変身させたとして250歳エルフ人女性を逮捕

25の6の月、フローウェル州のとある教会で、魔法薬を噴霧するタイプの手榴弾がステンドグラスを破って突然投げ入れられ、祈りを捧げていた210人のうち193人が魔法薬の影響を受けて植物に変えられた。

魔法薬の影響を逃れた者による通報を受け、憲兵は教会を背に写真を撮っていたエルフ人の女、クラッズ=クロックハート(250)を逮捕した。

憲兵団によると、教会からは赤紫色の煙が漏れており、教会の中は何十年も使われていないかのように植物が生い茂っていたという。

クロックハート容疑者は容疑を認めており、「花が好きだからやった」と供述した。

しかし、逮捕から数時間後、憲兵団事務所が“Dr.クロックハートと愉快な仲間たち”を名乗る集団に襲撃され、拘置所に移送される予定だったクロックハート容疑者とともに逃亡。憲兵団事務所内に格納されていた武器類なども強奪された。

逃走したクラッズ=クロックハート及び“Dr.クロックハートと愉快な仲間たち”について、憲兵団は現在も捜査中。かけられている魔法が複雑なため、植物に変えられた被害者の解呪作業は難航している。

新発売の掃除魔具、不具合多発で全品回収へ

モンドリ社は昨日発売した自動掃除魔具「ルバーン」について謝罪会見を開き、現在製造済みの数百万点すべてを回収すると発表した。

致命的な不具合の多発が原因と見られる。

会見では不具合の原因を公表するとともに、使用中止を呼びかけている。事前の期待度が高かっただけに消費者の間にも動揺が広がっている。

 

「ルバーン」は円盤型の魔法器具で、指定した場所を自動的に清掃してくれるという商品だ。汚れや塵を吸い込んでまわり、魔力が切れそうになると魔力充填台まで戻る。

「掃除からの解放」をうたった広告で話題となり、発売日だけで数十万台を売り上げた。

しかし、発売後わずか数時間で「ゴミや汚れ以外も吸い込んでしまう」「突然爆発した」というクレームが多発。

「ヒフキヤモリの皮をふんだんに使った高級品の絨毯が、跡形もなく吸い込まれてしまった」(人間族・L氏)

「生まれたばかりの息子が吸い込まれた。まだ十歳だったのに」(エルフ族・M氏)

「帰宅したら家と妻子が粉々になっていた」(人間族・J氏)

「ルバーンの爆発に巻き込まれたのでまた死んでしまった」(ゴースト・ニューヨークのマボロ氏)

モンドリ社はこれを受け、対策委員会を設置して原因究明にあたっていた。

 

まず余分なものを吸い込んでしまう不具合については、製品中枢部の「吸い込まれ物質定義術式」にミスが見つかったという。

「ラクレア語の「l」と古代エルフ文字の「I」が混在しており、術式が正しく機能しておりませんでした。それにより『汚れ』や『ゴミ』の定義が製品ごとに曖昧なものとなり、今回のような事態を引き起こすに至ったものと見られます」(開発室副長ニテツメ氏)

 

また、爆発するという不具合については、ルバーンを二台以上同時使用した場合にのみ起こっていることを確認。二台のルバーンが衝突したとき、ゴミ吸い込み重力場どうしが互いに吸い込みあうことで重力勾配が無限大に発散することが原因と見られる。

「開発室で再現実験をおこなったところ、重力場どうしの対消滅エネルギーによる爆発を確認しました。その余波で開発室は焼け野原になり、少なくとも八人の研究員が巻き込まれて消滅しています」(開発室長サンテツメ氏)

 

謝罪会見では購入者に対し使用中止を呼びかけるとともに

「製品はお近くのモンドリ社窓口までお持ちになるか、モンドリ社まで着払い梟便でお送りください」(広報部長ジュッテツメ氏)

と改めて通告した。

 

また、社長のゴーツクバリ氏は

「明らかにJE(術式エンジニア)たちのミスであり、社員への教育不足を痛感しております。彼らの処分については協議中ですが、他の製品については安全性が確保されていますので引き続きお使いいただければ」

と述べ、改めて自社製品の安全性を強調した。

被害者への補償内容については今のところ「ルバーンを二台進呈」が有力と見られる。

 

「JE(術式エンジニア)たちが劣悪な労働環境の中で術式を手書きさせられているという指摘もありますが」(記者)

という質問に対しゴーツクバリ氏は「ではこれで会見を終了させていただきます」と述べ、そそくさとその場を後にした。

子供が夢に溺れた結末 危険なプール

15歳の人間と34歳のエルフの2人組が、彼らの通う学校のプールの中で意識を失っていたところを、夜間の見回りをしていた警備員の人間に発見され病院へ搬送された。幸いにも2人とも命に別状はなく、意識を取り戻している。

警備員の話によると、学園内を見てまわっている際、探知魔法によって不審者の侵入を知り、急いで駆けつけると2人の少年がプールいっぱいのゼリーの中で溺れていた。警備員はゼリーを削り、中にいる2人の少年を救出して病院に連絡をした。

現場検証によると、少年2人がプールに貯まっていた水をすべてゼリーに変換する魔法を用いたことが明らかになった。プールの水をゼリーに変換した後に2人で乗って飛び跳ねていると足場が崩れて沈んでしまい、底に頭をぶつけて意識を失ったようだ。意識を取り戻した少年たちに事情を聴くと「プールの水をゼリーに変えたかった」「ゼリーにしたら弾んで遊べると思った」と自分たちの行いを認めている。

これらの事情を警備員に話すと「ゼリーに指を強く刺したら貫通するのが当たり前。ゼリーを大きくしてもかかる力が指から人体に変わったら沈むに決まってる」と呆れ混じりに語っていた。また、ゼリープールは職員たちの手によっておいしく処理された。

この2名には2週間の停学処分がくだされた。見通しは甘かったが、現実はゼリーのように甘くはなかった。

霊峰穿たれる 内部から謎の構造体出現

20日午前11時頃、標高3000mを超える霊峰カラグシの山腹が、融解魔法により直径100mにわたって抉られた。犯人はいまだ発見されていない。

魔法省は、周辺の魔力の残滓や溶け落ちた森林の痕跡から、カラグシの北東300mの距離にあるトラクヴォル峠からの狙撃だとみている。また、発生時刻当時、近辺の森に住んでいたエルフ族の一部が、構築していた魔法陣を外部より操作されたと証言している。このことから、犯人はなんらかの方法で周辺地域の魔力を収集し、大規模な融解魔法を行ったとみられている。

近頃、現場周辺では集落倉庫や魔力貯蔵施設など、多岐に渡る施設が破壊される事件が相次いでいた。魔法省は同一犯によるものとみて調査を行っている。犯人に関わる情報として、小柄で身の丈を超える大きな箒を持った不審人物の情報が届いているが、事件につながる確たる証拠は得られていない。

また、今回の事件によって抉られた山腹から謎の構造体が出現していることも明らかになった。霊峰の中枢に位置するこの構造体は、現在見られる技術体系とは大きく異なったものが用いられており、関係者一部ではデッドロックに関するなんらかの施設ではないかとの意見もあがっている。