医療

密猟被害のカーバンクル、合成宝石で回復へ

先日、大都市近郊の廃城から数匹の宝石を失ったカーバンクル(宝石獣)が保護された。これを受けて、魔法動物保護団体(MAPO)と魔宝石協会が共同研究し、宝石を失ったカーバンクルの額に新たな合成宝石を施すことで回復させることに成功した。回復したカーバンクルたちは、念の為王立動物園で保護され経過を観察されるという。

合成宝石は宝石と同成分の石を魔術的に合成し、カットしたもの。一般的な市場に出回る合成宝石ではカーバンクルに定着しなかったため、今回は魔法動物学者の手を借りてよりカーバンクルの紅玉に近い成分を実現した。MAPOによると、カーバンクル用の合成宝石は相当量の魔力と労力を要するため、現時点での量産は不可能とのこと。

本来カーバンクルは額の宝石を通じて魔力を得て生きる、おとなしい生物である。宝石そのものの効能は明らかにされていないが、魔力がろ過されるということで、古くから天然の魔力清浄機として神聖視されていた。そのため古来は一部の貴族や王族が権力の象徴として飼っていた記録が残っている。産業革命後は養殖も試されてきたが、効果は見られず、依然として数は少ない。それにもかかわらず、宝石やペットとしての需要は高く、絶滅も危惧されている。

近年の天然鉱石の大幅な減少により、カーバンクルの密猟およびその額の紅玉の盗難が年々増加している。カーバンクルの紅玉の密猟を行った場合は、その量により定められた期間中は商品売買を禁止され、最悪の場合懲役刑が課される。くれぐれも手を出さないようにしていただきたい。

新種発見で鳥のささやき病に進展 病気ではなかった可能性

原因不明の奇病として扱われてきた“鳥のささやき病”について進展があった。幻聴と思われていた「鳥のささやき」は、実在する鳥の鳴き声だったことが判明した。近く、世界医療魔法連盟が声明を発表する。

鳥のささやき病は、周りに鳥がいないのにさえずりのような音が聞こえる病気。ンジルンダ島で春の期間に限り発症が確認されている。一時的な集団精神汚染や幻術魔法の暴走により発症すると推測されていたが、発症する環境に統一性はない。

先日魔法動物省の研究チームが発表した内容によると、ンジルンダ島には「姿の見えない鳥」が生息していた。ンジルンダ島の固有種とみられ、研究チームはこの鳥を「ンジルンダカラカゴトリ」と名付け新種として登録した。

ンジルンダカラカゴトリは、幻術魔法を帯びた羽根で周囲の景色と同化しており、外敵から身を守っている。互いの姿が見えないため、繁殖期に入ると鳴き声で異性にアピールするのではないだろうか。

(魔法動物省 研究チームの発表より)

発表を受け、ンジルンダ市長は「住民の長年の悩みだった病に答えが出たことは素直にうれしい。しかし、高齢の住民を中心に、心理的に受け入れられない発表だった。魔法動物省の担当者と連携を取り、住民のみなさまに丁寧に説明していく必要がある」と発表した。

病気ではなかった鳥のささやき病。住民がその事実を受け入れるまで、まだ時間がかかるのかもしれない。

アグニ炎症患者数 過去最多に

世界魔法学医療機構は本日、今シーズンのアグニ炎症患者数が過去最多の2273万人となったことを発表した。

アグニ炎症は、増幅した空気中の炎魔力の影響によって体内の魔力均衡が崩れることで、発熱・発火などの症状が引き起こされる魔力疾患。大人であれば重症化することはほとんどないが、魔力均衡の不安定な子どもや老人、炎魔力に対する抵抗力の弱い水属性の精霊などがアグニ炎症にかかった場合は、火傷や魔力枯渇による意識混濁などを引き起こすこともあり、注意が必要。

王立ミケア施療院のプリストス医師は、今回の感染拡大の要因のひとつに「月照時間の長さ」があると指摘した。

「月明かりには昂る魔力を鎮静化する作用があり、我々魔法使いにとっては必要不可欠なものであるが、今年は月照時間が例年に比べ3割ほど長く、気温も上がらなかった。そのため、例年であれば冬眠しない地域のサラマンダーの多くが冬眠してしまい、地表から出る炎の魔力が吸収されることなく空気中に放出されてしまったのだろう」(プリストス医師)

アグニ炎症患者が解熱や消火のために市販の水属性魔力の増強薬等を使用すると、魔力均衡を司る器官の変質が起こり、重篤な後遺症が残る可能性もあるという。

「アグニ炎症が流行っている時期は特に、素人判断で市販の薬を服用するのではなく、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてほしい」(プリストス医師)

アグニ炎症の流行には地域差があるが、特にレドルフランケ地方では流行レベルが4まで引き上げられている(最大5)。レドルフランケ地方連続放火事件の跡地からは未だに小さな火の粉が発生することがあり、その影響で炎の魔力が増幅しやすくなっているためだと考えられる。

流行レベルの高い地域では、一定期間炎の魔力を溜めこんでおく性質のあるヒエンソウの種を撒くほか、眠っているサラマンダーたちを一体一体起こしていくなどの地道な対策がなされており、今後は徐々に鎮静化していくとみられる。そのほか、世界魔法学医療機構は「外に出るときは水属性の魔力障壁を張るように心がける」「サラマンダーの鱗などでできた装飾品を身につけ、余分な炎魔力の吸収を抑える」などの感染予防を呼びかけている。

減らない魔法薬被害(1) ネット販売で増える“効能詐欺”

近年身近な物になった魔法薬。

昔は専門の魔女(メイガス)がひっそりと作っていたが、今は魔法省が定めた法に従えば誰でも製作することができる。しかし、それ故に魔法薬販売における詐欺事件は増え続けている。

今回は、いまだ減る気配のない悪質な魔法薬販売の手法について書かせていただく。

使うまで効果が分からない…効能詐欺の仕組み

先日、ある魔法使い見習いが魔力強壮効果のある魔法薬(一般にエーテル等と呼ばれるもの)を購入したが、効果が得られないどころか、吐き気等の体調不良を訴える事例があった。

ウィザードタイムズの取材によれば、彼はその魔法薬をインターネットで購入したという。現在、魔法薬のネット販売についての特別な許可は法的には必要ない。しかし、ここに落とし穴があるのだ。

魔法薬というのは、基本的に効能を保証されるものではない。個人の体質や種族等によって調合を変えなければ、適正な効果は得られない。

ネット上で販売されている魔法薬は出来合いのもので、個人向けの調整等は一切されていない。それどころか、魔法薬学的にも効能を証明されていない悪質な素材調合がなされたものさえ存在する。

有り体に言ってしまえば、全く効能がないものを魔法薬として販売することさえ可能だ。そういった悪質な販売業者を摘発する法律は残念ながらまだなく、個人単位で警戒する以外の対処法はない。

街の魔法薬専門店が少々高価なのは、客ごとに魔法薬の調合を変えているからだ。便利になっていく世の中ではあるが、自分の体に使用するものくらいは、しっかりと安全を確保したいものである。

魔法薬に関する当コラム。次回は、「販売・譲渡に専門資格が必要となる薬草を用いた魔法薬を巡るトラブル」を取りあげる予定だ。

ポーション・スクロール 活用のすゝめ

昨年9月に行われた、魔法薬処方並びに医療魔法施術費改正に伴い、ポーション・スクロール(以下PS)を持参した場合に値引きがされるようになったのをご存知だろうか。

調合局利用者に訪ねたところ、知っているという方は4割程度に留まった。また、PS自体を所持していない方も多数いるようで、主人の代理として調合局に来た使い魔にも話が伝わっていないという様子だった。

未だ認知度が低いPSがどういったものなのか、説明していこう。

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整形魔術へ使用許諾 解呪までの期間に限定

失われた体の一部を、誰でも取り戻せる時代が来るのかもしれない。

先日、フラウジア医療魔術研究所が開発した新しい医療魔術へ限定的に使用許可がおりた。呪いによって治療魔術を受けられない人々のために開発されたもので、患者の体の一部を本物そっくりの代用品で補うというもの。外耳や鼻、四肢などの欠損に対し使用する。

代用品で補うため、体そのものを元通りにする医療魔術とは違う分野となる。フラウジア医療魔術研究所は、今回の新魔術を「整形魔術」と命名している。

整形魔術の臨床試験は、患者にかけられている呪いが解呪可能なものであること、呪いがとけるまでの期間のみ代用品を使うことなどの条件を満たした患者へ、本人の同意を得て行われる。

呪いによって治療を受けられない人は、政府の調査で判明しただけでも200万人を超える。差別意識の強い地域では、いまだに被差別種族が奴隷的な扱いを受け、種族の特徴的な部位を切断される事例が後を絶たない。

そういった傷は呪いを付与した刃物で負わされることが多く、解呪にかかる期間も長い。短命種族は治療を受けられないまま寿命を迎えることも多かった。代用品とはいえ体の一部を取り戻せる整形魔術は、心身ともに傷ついた人々の救いの手になる。

エルフ族のFさん(仮名)も、整形魔術の完成を心待ちにしていた一人だ。

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治療魔法と新たな可能性「再生魔法」

さて、みなさんは治療魔法はご存知ですか?

治療魔法は、

  • 傷の修復
  • 炎症抑制

の2つが主な目的で使われる魔法です。

しかし、この魔法では命に関わるような重大な怪我には対応しきれないという弱点があります。

その弱点の克服のため、昨今新たな魔法の研究も進められています。

魔法の名前は「再生魔法」。

今回は治療魔法との差異も含めて説明していきます。

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ルーンと毛生え薬で魔法暴発 頭髪が消失する重大な影響

先月27日、ルーン医療魔法で有名なドルイド高僧(532歳)が魔法を暴発させ、治療中であった60代男性の頭髪右半分を失う痛ましい事故が発生していたことが判明しました。

ドルイド側によりますと、60代男性の頭頂部に頭髪を発生させる処置を行っていたということですが、突如患者の全頭部が発光し始め爆発するなどして、処置のおよそ3分後には右半分の頭髪が消失していたということです。

医療ルーン魔法協会の調べによりますと、60代男性が普段から使用していた市販の毛生え薬「にょきにょき毛生え薬」とルーン魔法が異常な反応を起こし暴発したものであるということが判明しました。「まさか毛根まで持っていかれるとは思わなかった」と60代男性は肩を落としています。

医療魔法協会は「にょきにょき毛生え薬」を購入しているユーザー向けに、ルーン魔法を頭髪へ向けて行わないよう注意喚起のふくろう便を発送しているとのことです。

あの頃に戻って素直な気持ちで 幼児期退行セラピー

大人になるにつれて忘れてしまった気持ち。
子供時代、本当はこうして欲しかったという思い。

人によってそれぞれ違えど、誰しもに思いあたる節があるのではないだろうか。

この度、WHOでは新たな魔法心理療法を試験的に導入すると発表した。今回発表された療法の名前は「RIT(Regression of infancy Therapy、幼児期退行療法)」(※以下、RITと記す)。

本来であれば、時間退行魔術は歴史的な流れや対象者の運命等を変更してしまう恐れがあるため、使用を禁止されている。

しかし今回の心理療法においては、約30項目程度の厳しい条件下で発動をする場合にのみ、免責となる。以下はその条件の一部である。

・時間退行魔術の目的が医療行為を含んだものであること

・施術者においては、魔法医師免許と魔法心理療法士免許の2つを所有しており、かつこの度制定されたRIT施術者免許を取得した者であること

・退行時期は、各種族における幼児期に限る(※人間種であれば1歳から満6歳まで)

・退行時間は施術より72時間(これ以上の時間は元に戻った際、人格への影響が懸念されるため)

・施術をする前には、最低100時間以上のカウンセリングを行い、しっかりとしたラポールを相互構築した上で施術をすること

なお、現在この施術ができる有資格者は全世界で20人であるが、WHOは今後需要が高まる分野であることを予見し、更なる施術者の増員を目指す。

これにともない、RIT資格取得の試験を全世界で毎年2月に施行すること、資格取得のための対策セミナーの開校を予定していることを同時に発表した。

WHOによれば、来月末RITを実際に受けた治験者達の体験談を開催する。(体験談の様子については追って本誌で紹介していく)

体験談の詳細について気になる方は、WHOの担当窓口に問い合わせを承るとのことだ。

現時点では未知の部分が多いRITではあるが、新たなセラピー療法として新風を起こせるのか今後の動向を見守りたい。

闇魔法使用に伴う、若者の精神病

闇魔法を使う若い世代で「闇魔法病」と呼ばれる心の病が流行している。この病気の難点は、患者が周囲の理解を得にくいことだ。魔法病は心身的理由で魔法が一切使えなくなるが、「闇魔法病」の場合は闇魔法を使おうとすると気分が沈み込んだ状態が続くものの、ほかの魔法を詠唱すると普通に発動する。

こうした状況を周囲が見て、「あいつは魔法病みたいだけど、よく見ると他の魔法は使えるときのほうが多いな。本当は仮病じゃないか」といった誤解を招き、患者に対する偏見に結びついている。と、王都病院精神科のローリー医師は語る。

背景には、昔と今の教育の違いが挙げられる。昔は各魔法の適性を上げていったが、今は基礎だけを学び、後は生徒の興味がある魔法を伸ばす教育方針をとっているため、闇魔法の耐性が低いのではないかとローリー医師は指摘する。

闇魔法はセキュリティ面に関わることもあり、企業などで使用される機会も多い。現代の生活を営む上で必須と言っても過言ではない。魔法省はこれを期に、教育プログラムを見直すことを検討している。