医療

減らない魔法薬被害(1) ネット販売で増える“効能詐欺”

近年身近な物になった魔法薬。

昔は専門の魔女(メイガス)がひっそりと作っていたが、今は魔法省が定めた法に従えば誰でも製作することができる。しかし、それ故に魔法薬販売における詐欺事件は増え続けている。

今回は、いまだ減る気配のない悪質な魔法薬販売の手法について書かせていただく。

使うまで効果が分からない…効能詐欺の仕組み

先日、ある魔法使い見習いが魔力強壮効果のある魔法薬(一般にエーテル等と呼ばれるもの)を購入したが、効果が得られないどころか、吐き気等の体調不良を訴える事例があった。

ウィザードタイムズの取材によれば、彼はその魔法薬をインターネットで購入したという。現在、魔法薬のネット販売についての特別な許可は法的には必要ない。しかし、ここに落とし穴があるのだ。

魔法薬というのは、基本的に効能を保証されるものではない。個人の体質や種族等によって調合を変えなければ、適正な効果は得られない。

ネット上で販売されている魔法薬は出来合いのもので、個人向けの調整等は一切されていない。それどころか、魔法薬学的にも効能を証明されていない悪質な素材調合がなされたものさえ存在する。

有り体に言ってしまえば、全く効能がないものを魔法薬として販売することさえ可能だ。そういった悪質な販売業者を摘発する法律は残念ながらまだなく、個人単位で警戒する以外の対処法はない。

街の魔法薬専門店が少々高価なのは、客ごとに魔法薬の調合を変えているからだ。便利になっていく世の中ではあるが、自分の体に使用するものくらいは、しっかりと安全を確保したいものである。

魔法薬に関する当コラム。次回は、「販売・譲渡に専門資格が必要となる薬草を用いた魔法薬を巡るトラブル」を取りあげる予定だ。

ポーション・スクロール 活用のすゝめ

昨年9月に行われた、魔法薬処方並びに医療魔法施術費改正に伴い、ポーション・スクロール(以下PS)を持参した場合に値引きがされるようになったのをご存知だろうか。

調合局利用者に訪ねたところ、知っているという方は4割程度に留まった。また、PS自体を所持していない方も多数いるようで、主人の代理として調合局に来た使い魔にも話が伝わっていないという様子だった。

未だ認知度が低いPSがどういったものなのか、説明していこう。

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整形魔術へ使用許諾 解呪までの期間に限定

失われた体の一部を、誰でも取り戻せる時代が来るのかもしれない。

先日、フラウジア医療魔術研究所が開発した新しい医療魔術へ限定的に使用許可がおりた。呪いによって治療魔術を受けられない人々のために開発されたもので、患者の体の一部を本物そっくりの代用品で補うというもの。外耳や鼻、四肢などの欠損に対し使用する。

代用品で補うため、体そのものを元通りにする医療魔術とは違う分野となる。フラウジア医療魔術研究所は、今回の新魔術を「整形魔術」と命名している。

整形魔術の臨床試験は、患者にかけられている呪いが解呪可能なものであること、呪いがとけるまでの期間のみ代用品を使うことなどの条件を満たした患者へ、本人の同意を得て行われる。

呪いによって治療を受けられない人は、政府の調査で判明しただけでも200万人を超える。差別意識の強い地域では、いまだに被差別種族が奴隷的な扱いを受け、種族の特徴的な部位を切断される事例が後を絶たない。

そういった傷は呪いを付与した刃物で負わされることが多く、解呪にかかる期間も長い。短命種族は治療を受けられないまま寿命を迎えることも多かった。代用品とはいえ体の一部を取り戻せる整形魔術は、心身ともに傷ついた人々の救いの手になる。

エルフ族のFさん(仮名)も、整形魔術の完成を心待ちにしていた一人だ。

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治療魔法と新たな可能性「再生魔法」

さて、みなさんは治療魔法はご存知ですか?

治療魔法は、

  • 傷の修復
  • 炎症抑制

の2つが主な目的で使われる魔法です。

しかし、この魔法では命に関わるような重大な怪我には対応しきれないという弱点があります。

その弱点の克服のため、昨今新たな魔法の研究も進められています。

魔法の名前は「再生魔法」。

今回は治療魔法との差異も含めて説明していきます。

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ルーンと毛生え薬で魔法暴発 頭髪が消失する重大な影響

先月27日、ルーン医療魔法で有名なドルイド高僧(532歳)が魔法を暴発させ、治療中であった60代男性の頭髪右半分を失う痛ましい事故が発生していたことが判明しました。

ドルイド側によりますと、60代男性の頭頂部に頭髪を発生させる処置を行っていたということですが、突如患者の全頭部が発光し始め爆発するなどして、処置のおよそ3分後には右半分の頭髪が消失していたということです。

医療ルーン魔法協会の調べによりますと、60代男性が普段から使用していた市販の毛生え薬「にょきにょき毛生え薬」とルーン魔法が異常な反応を起こし暴発したものであるということが判明しました。「まさか毛根まで持っていかれるとは思わなかった」と60代男性は肩を落としています。

医療魔法協会は「にょきにょき毛生え薬」を購入しているユーザー向けに、ルーン魔法を頭髪へ向けて行わないよう注意喚起のふくろう便を発送しているとのことです。

あの頃に戻って素直な気持ちで 幼児期退行セラピー

大人になるにつれて忘れてしまった気持ち。
子供時代、本当はこうして欲しかったという思い。

人によってそれぞれ違えど、誰しもに思いあたる節があるのではないだろうか。

この度、WHOでは新たな魔法心理療法を試験的に導入すると発表した。今回発表された療法の名前は「RIT(Regression of infancy Therapy、幼児期退行療法)」(※以下、RITと記す)。

本来であれば、時間退行魔術は歴史的な流れや対象者の運命等を変更してしまう恐れがあるため、使用を禁止されている。

しかし今回の心理療法においては、約30項目程度の厳しい条件下で発動をする場合にのみ、免責となる。以下はその条件の一部である。

・時間退行魔術の目的が医療行為を含んだものであること

・施術者においては、魔法医師免許と魔法心理療法士免許の2つを所有しており、かつこの度制定されたRIT施術者免許を取得した者であること

・退行時期は、各種族における幼児期に限る(※人間種であれば1歳から満6歳まで)

・退行時間は施術より72時間(これ以上の時間は元に戻った際、人格への影響が懸念されるため)

・施術をする前には、最低100時間以上のカウンセリングを行い、しっかりとしたラポールを相互構築した上で施術をすること

なお、現在この施術ができる有資格者は全世界で20人であるが、WHOは今後需要が高まる分野であることを予見し、更なる施術者の増員を目指す。

これにともない、RIT資格取得の試験を全世界で毎年2月に施行すること、資格取得のための対策セミナーの開校を予定していることを同時に発表した。

WHOによれば、来月末RITを実際に受けた治験者達の体験談を開催する。(体験談の様子については追って本誌で紹介していく)

体験談の詳細について気になる方は、WHOの担当窓口に問い合わせを承るとのことだ。

現時点では未知の部分が多いRITではあるが、新たなセラピー療法として新風を起こせるのか今後の動向を見守りたい。

闇魔法使用に伴う、若者の精神病

闇魔法を使う若い世代で「闇魔法病」と呼ばれる心の病が流行している。この病気の難点は、患者が周囲の理解を得にくいことだ。魔法病は心身的理由で魔法が一切使えなくなるが、「闇魔法病」の場合は闇魔法を使おうとすると気分が沈み込んだ状態が続くものの、ほかの魔法を詠唱すると普通に発動する。

こうした状況を周囲が見て、「あいつは魔法病みたいだけど、よく見ると他の魔法は使えるときのほうが多いな。本当は仮病じゃないか」といった誤解を招き、患者に対する偏見に結びついている。と、王都病院精神科のローリー医師は語る。

背景には、昔と今の教育の違いが挙げられる。昔は各魔法の適性を上げていったが、今は基礎だけを学び、後は生徒の興味がある魔法を伸ばす教育方針をとっているため、闇魔法の耐性が低いのではないかとローリー医師は指摘する。

闇魔法はセキュリティ面に関わることもあり、企業などで使用される機会も多い。現代の生活を営む上で必須と言っても過言ではない。魔法省はこれを期に、教育プログラムを見直すことを検討している。

『魔力飢餓病』に注意喚起。政府による定期喧伝

全国で長年に渡り問題視されている魔力飢餓病。魔力の根幹となる精神力が枯れてもなお魔法を使い続けることが原因であると指摘されている精神疾病だ。年々、若者を中心に患者が増加傾向にある。

魔力飢餓病になると魔力の枯れている状態が続き、思うように魔法を使えなくなる。魔法が使えなくなることにより、主には日常生活に支障を来たすようだ。更には精神力も損なうため常に不安を感じてしまい、学業や仕事も手につかなくなるという症状が恐ろしい。まるで人の心に住み着き魔力を喰らう魔物である。

昨日午後、政府は「不安感や焦燥感を覚えたら、直ちに魔法の使用を中止してほしい。魔力飢餓病への対抗策は未だ見つかっていない」という旨の発表を行った。これからも魔法の使い過ぎには充分な注意が必要である。

この発表に対する街の人々の反応は様々だ。

「怖い。魔法がなければ生きていけないわ」
「使い過ぎなければ問題ないとはいうが、冒険者はそうも言っていられないんでね」
「精神疾病を恐れるなんて、瞑想もできないのかしら? 初等部で教えられているはずでしょう」

レスターク帝国所属、イソル国の冒険者ギルド長にも意見を伺ってみたところ、

「そういう者は出ていない。ウチには益荒男しかいないものでね」

と快然な様相を見せてくれた。冒険者の発病が懸念されていた魔力飢餓病だったが、冒険者達は精神面でも打たれ強いようだ。

これからも、私達は魔力飢餓病を恐れながら生きていくことになるのだろうか? 不安の声は依然として募るばかりだ。

MSDS(魔法技能低下症候群)の治療用魔法をWHOが発表

魔法技能低下症候群(Magic Skill Decrease Syndrome、MDMS)に対する治療と研究を続けてきたWHO(魔術師保健機構)は、6月21日に研究成果のレポートをバベルへと提出した。

MSDSの症状は、突如として魔法の使用が困難になる、あるいは技能そのものを失ってしまうもので、罹患すると魔法の使用で生活が成り立つ現在では致命的ともいえた。

WHOは、MDMSを「個々で貯蔵する魔力源から魔力を取り出す際の不具合」と結論付けた。

魔法を使用する際、体内に魔力を貯蔵する「魔力源」が、魔力を通す「疑似神経」に接続される。擬似神経を通じて魔力を指向性のある形で任意の場所に集めることで、魔法という形で世界に映し出される。その構造上、魔法が使えない原因は、魔力源に接続する疑似神経の不具合により魔力を取り出せないか、そもそも魔力自体が枯渇しているかのどちらかとされていた。

今回研究された魔法は、上記のどちらの場合でも対応できる、極めて画期的なものとなった。

その内容は「外部から疑似神経を通して魔力を流し、魔力源の回復と疑似神経の回復を同時に図る」というものだ。

バベルの定める医療魔法は「体に直接作用するもの」となっており、これまで体に重なった別次元にある魔力源と疑似神経へ作用する医療魔法は存在しなかった。

今回の魔法では、別次元にあるため直接手をさすことのできなかった魔力源と擬似神経へ直接作用する。転移魔法を使用する際の「次元・空間超越の技術」を応用し、体とは別の次元に存在する魔力源及び擬似神経に干渉する、医療魔法と転移魔法を組み合わせたものだ。

実際に運用するにはバベルの認可が必要だが、WHOの発表した画期的な魔法の今後に期待と関心が集まっている。