コラム

アンデッドの分類法、ついに改定!

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

ホラー。ホラーといえば、アンデッド。ゴーストの皆さんは、肝試しでは大活躍ですね!

今回は、そんなアンデッドの皆さんについて紹介します。

(その前に。一般にわかりやすいためアンデッドやアンデッド族という単語が広く使われていますが、魔法生物学上”アンデッド族”なる種族は存在しませんので、迷信にはご注意ください。)

さてアンデッドの存在は古来より知られ、その創出法は様々な古典魔術の経典に秘術として記されていたり、口伝によって受け継がれていたり、強大な王の伝承の中に存在が仄めかされていたりと、様々に伝えられ、多くの種族や派生系がいると考えられてきました。

また、古典的な死霊術の分類法を重視する声も強かったため、比較的若い魔法生物学の合理的な分類法とは独立して分類されてきました。

しかし、最近になってようやく新分類法が広く認められるようになりました。

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王立アトス大学の都市伝説に迫る 「大学図書館の魔法人形」

王立アトス大学の図書館には、古エルフ時代の魔法人形が住み着いている

そんな都市伝説をご存じだろうか?

レポートの資料探しに困ったら、大魔導師アトスが作った魔法人形“デウス・エクス・マギア”が手伝ってくれる…というのが、学生たちの間で広く流布されている噂の概要である。

伝説の真相に迫るため、私は「大迷宮」と呼ばれているアトス大学第8図書館へ足を踏み入れることにした。ここは教授や学生以外の外部魔法使いにも開放されている大学図書館だが、生半可な覚悟で入館していい場所ではない。

時空が歪むなどの現象が多発するアトス大学の中でも、混沌学部の関連書籍が集まる第8図書館は「大迷宮」にふさわしい“歪み”を有している。常識にとらわれない方向感覚、サバイバル能力、そして帰還する強い意志が必要な危険地帯であるということを先に述べておきたい。

魔法人形の探し方

まず大学内で囁かれる噂を精査し、魔法人形の探し方を定めるところから始めた。

まとめると、「本棚の中で不自然なスペースがあったら、そこへ魔法人形宛の手紙を置く。しばらくすると、魔法人形からの返事が本棚に入っている」というもの。

いかにも都市伝説的だが、まず「本棚の中の不自然なスペース」を見つけ出すのが難しそうだ。それは、棚に入るべき本は全て収まっているのに、なぜか1冊分のスペースが空いている…というものだという。

第8図書館を選んだのは、その構造が複雑で、さらに不定形であるからに他ならない。利用者が少ないため、本棚に空いたスペースは高確率で「あるはずのないスペース」になると予測できた。

なお、第8図書館をもっとも利用していると思われるアトス大学混沌学部長の■■■■=“ジーニー”・■■■■■■教授は次のように語る。

混沌学の書籍は高濃度の混沌を内包しており、周辺の法則や空間、時間を歪めることがある。第8図書館は、耐魔装備を複数装備した上で定期的に自我を認識しなおす必要があり、利用者は極端に少ない。私のように存在の一部を混沌に呑まれたくなければ、きちんと対処してから入館するように。

“ジーニー”教授は本名を混沌に呑まれ、通称を使っている。混沌学の研究者であればこそ、この程度で済んでいるが、素人が備えもなく第8図書館に入れば肉体ごと混沌に呑まれてしまうだろう。

魔法人形との接触

結論から言うと、私は魔法人形との接触に成功した。

混沌に認識を歪まされたものではない。事実、本棚の中にあるはずのないスペースが存在し、手紙を差し入れてしばらく待てば、そこにはなかったはずの書籍が本棚に収まっていた。

第8図書館に入ってから、耐魔効果のある水晶スマートフォンの時計では3日──その時点で、体感では5日──が経過した私は、完全に帰る道を見失っていた。

混沌を抜け出すためのセオリーは、「深いと思った方に行けば浅い」というものなのだが、そのセオリーを知った時点で混沌を浴びると「深いと思った方に行けば本当に深い」という状況に陥ってしまう。混沌学の難解さは主にここから生じており、この段階さえ乗り越えれば単位取得と卒業自体はさほど難しくはない。

筆者は混沌学部卒業生として、第8図書館の脱出方法を習得しているつもりだったのだが、しばらく離れている間に腕が鈍ってしまったようだ。

そんな時に現れたのが、全169巻からなる混沌学の主要書籍■■■・■■■■■・■■著『混沌に■■る■■■■』が収められた本棚であった。

この本棚には1巻から169巻まですべての『混沌に■■る■■■■』が入っていたにも関わらず、50巻と51巻の間に不自然なスペースが存在した。魔法人形に接触するための条件を、3日目にしてようやくクリアしたのだった。

感動したのも束の間、持ち込んだ食料も持ち前の気力も尽きかけていた私は、用意しておいた魔法人形への手紙を無視して、取材用のメモに「ここから出る方法」と書いてちぎり、50巻と51巻の間に差し入れた。

それから、体感にして半日──耐魔水晶スマートフォン上では5分──ののち、まばたきをしている間に魔法人形デウス・エクス・マギアからの返答が現れた。

『混沌に■■る■■■■』の50巻と51巻に挟まれていたのは、懐かしき『パユパユペペリリマーン学入門書』だった。

なぜ混沌学部卒業生が、パユパユペペリリマーン学の入門書を懐かしく感じるのか? それは、第8図書館から出る方法が「思考を捨てること」であることに起因する。パユパユペペリリマーン学の記述は専門外の魔法使いにとって意味不明であり、思考を放棄するのにもっとも優れた混沌学部生必携の書籍である。

私は『パユパユペペリリマーン学入門書』を読みながら第8図書館を歩き、第1章を読み終わるころに出口へ到達した。以上が、魔法人形との接触の全貌である。

まとめ

デウス・エクス・マギアは、大魔導師アトスの書庫を管理する番人だったという。

姿こそ見られなかったものの、的確な書籍を選択し望む者のもとへ届けられるのは、かの魔法人形だけと言っても決して過言ではないだろう。

たとえ古エルフ時代の魔法人形、デウス・エクス・マギアそのものでなかったとしても、王立アトス大学の図書館には、迷った魔法使いに手を差し伸べるものが存在することが分かった。

研究、あるいは人生に行き詰まった魔法使いは、一度王立アトス大学の大学図書館を訪れてみてはいかがだろうか。魔法人形があなたの悩みに答えを出してくれるかもしれない。

その名は、神の供物

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

事実は小説より奇なり、という言葉を聞いたことはありませんか?

人が想像し得る限界は、その人が知りうる知識の限界に等しく、頭を固くしていては真実を見詰めることなど叶わないという、我々研究に携わるものすべての教訓となっている言葉でもあります。

さて、今回は知られている中で、最も巨大な魔法生物について紹介します。

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日刊森のアナグマ 「鳴る記憶」とは? オルゴール型記憶封入魔具に迫る

鳴る記憶、オルゴールのメロディの裏にいる人物とは?

魔法使いは時に、大切な物を箱にしまいこむ癖がある。読者の皆様の中にも心当たりがある人がいるだろう。

大切な物とはいうが魔法使いにおいてそれは物体だけには留まらないのは公然の秘密というもので、それは「色」だったり、「魔法」そのものだったり、時には「魂」のようなものまでさまざまである。もちろん魔石だったり、魔法の杖だったりもするが……

(ちなみに、最後の「魂」を箱に入れたものは、魔法省が禁じるところの“分霊箱”なので、皆様は御隠しにならないようご注意を。)

そういった大事な物を隠す箱──箱と言っても形は箱とは限らない──これを魔法省は「封入器」、もしくは「封入魔具」と呼んでいるが、この頃「オルゴール型の封入魔具」の存在が世間を騒がせているのはご存じだろうか?

「鳴る記憶」、メモリーオブメロディと呼ばれているそれは、手のひらサイズの木製の箱に入ったオルゴールで、ふたの裏にどこぞの魔女のものと思わしき刻印が一つ付いている以外は、開けるとシンプルなメロディを奏でるなんの変哲もないただのオルゴールである。

だが、一点、“オルゴールから鳴るメロディを聞いたものに記憶を付与する”という特性が、“自鳴琴”から“封入器”へと名称を変えさせているのだ。

付与される記憶はオルゴールのメロディによって違い、一つとして同じメロディは見つかっておらず、世界の各地で見つかっている。

このオルゴールが最初に発見されたのは、なんと魔法省の違法魔具取締局に在籍する、ある職員のデスクからだった。

不審に思った職員の一人がオルゴールを開いたところ、そのメロディを聞いた人間すべてに対し、そのデスクで作業をしていた職員が裏で不正を行っているという記憶が付与されたのだ。

本人に問いただしたところ、数年前に遡って定期的に不正を繰り返していたことが発覚し、またある一部の不正の記録が本人の記憶から不自然に抜けていたことも発覚した。

何故オルゴールがそこにあったか、誰が置いたか、なにかもが不明な不明瞭極まるこの事件。この事件の最も恐ろしい所は、魔法省受付の数人と、魔具取締局にいた全員の“オルゴールが発見される数分前”の記憶が抜けている、または不鮮明だということだ。

これが真実ならば、オルゴールを置いた人物は真正面から魔法省に入り、違法魔具取締局に行き、オルゴールを置いた後、自分を見た全員の人間の記憶を抜き去ったということになる。

他人の記憶を封入器に入れることは、魔法省において犯罪行為に該当するものであり、またそれ自体が高度な魔法使いでないと為せぬ技である。今回奪われた記憶はどこかのメロディとなって響いているのだろうか。

そして、何故魔法生物についての記事が専門である私が、この記事を書いているのか? と疑問に思っている読者のために説明するのであれば、それは「鳴る記憶」の名前が知られるようになった頃、私宛に一つのオルゴールがフクロウ便で届いたからである。

題名は数か月前の日付と共に「またお会いしましょう」とだけ書かれているが、私はこれが一体なんなのか全く記憶に無く、そもそもその日はグリフォン便の取材で誰とも会っていなかったはずなのである。

ただの悪戯か、私が覚えてないだけか、それとも本当に記憶が抜かれているのか、私はオルゴールの蓋をいまだに開けられずにいる。

今日送る一言は、2400歳の上のエルフ、エレンディエルが昔の事を聞かれた際に決まって言う言葉から抜粋してこの記事を閉じたいと思う。

記憶というのは氷のようだ。どんな形であれ溶けてなくなり、蒸発して何時しかそこに氷があったという事実さえなくなっていく。

不確かなドラゴン (Phantdracoidae科)

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

突然ですが、クイズです。

ドラゴン学において、もっとも研究が難しいドラゴンとは、どのようなドラゴンでしょうか?

おそらく夏休みの自由研究なのでしょうか、王魔生研にもこのような質問がやってくる季節になりましたので、お答えします。

答えの前に、ドラゴンの研究を難しくする要因を考えます。

  1. 発見が困難な種であること
  2. 気性が荒い種であること
  3. 存在が不確かな種であること
  4. 生活環境が非常に厳しいこと
  5. 仲間を助けようとする他のドラゴンへの対処が必要なこと

などが挙げられます。これらの要因で、研究を一番困難にするものはどれでしょうか。

世界の果てに住むドラゴンなどは生活環境が厳しく、一種一個体しか発見されていないものもいますが、発見自体は難しくありません。

気性が荒い種の生活を観察することは、難しいですが、死後の個体などを入手できないわけでもありません。

同様にドラゴンの生活環境が厳しい場合、飼いならすことは難しいですが、自然の中でのドラゴンの観察は、十分な準備があれば可能です。

そして採取した卵に対する反応など、たいていのドラゴンは仲間を助ける意識が強いため、特定の種において、ドラゴンの対策が必要というわけではありません。

概念上のドラゴンを除いて一番難しいのは、存在が不確かなドラゴンです。

特にPhantdracoidae科のドラゴンがそれにあたります。それどころか、この科のドラゴンは存在そのものが疑問視され、議論が絶えません。他の魔術的な要因が、ドラゴンのような幻影を見せているのではないか、という議論はおいて、現在、目視による観察と、この科のドラゴンが残した痕跡を基に研究が進められています。この科のドラゴンに共通する大きな特徴は、触れることができず、映像や写真に残すことができないこと、さらに、遠くから観察すると大きく見え、近くで観察すると小さく見えることです。

今回は、その中でも研究の進んでいる2種について紹介します。

 

Phantraptor incertus

この種は、主に群れを成して生活しており、牧畜を襲ったり、大型の草食獣などを捕食したりしています。羽は生えておらず、地上を二足で走るしなやかな体をしています。

しかし、その体の半分は抽象化されたようにのっぺりとしており、歯なども顔の半分にしか存在していないように見えます。また、全身がねじ曲がって見え、後肢は左右で交差しています。尾も同様にねじれて垂れ下がっているため、体長を目視によって測定することは難しかったのですが、残された爪痕や歯型、多くのスケッチなどを基に、約1.2~1.5メートルだと考えられています。

このP. incertusは、100メートルほど離れたところから観察すると、体長が約5メートルほどに見えますが、1メートルまで近づくと、体長は約30センチほどに見えます。

また、P. incertusの鳴き声は、ヤギを絞め殺した声と言われるほど不気味であり、死を告げるドラゴンとしても有名です。

 

Irregula regula

この種の一番の謎は、出現するのが孤島に限られ、しかも単独であるということです。I. regulaは、5メートルほどに近づくまで視直径7.2°の大きさを保ちます。そのため、1キロほど離れたところから観察すると、体長が約250メートルほどに見えます。I. regulaが残した爪痕や、歯形などからは、体長約15~20メートルほどだと推測される一方で、1キロメートル離れた地点で観察した際のI. regulaが歩行すると、ひと足で木々をなぎ倒すのが観測され、実際に足跡を確認できることから、P. incertusとは異なり、体サイズが可変であることが知られています。

また、P. incertusと異なり、I. regulaの体はねじ曲がっていませんが、頭の上半分どうしが合わさったような一対の上あごをもち、左右対称の頭が地面に平行に存在するため、通常のドラゴンなどと比較すると、顔を90°ひねって鏡写しになったように見えます。

I. regulaも羽を持たず、後肢による二足歩行をしています。そして、捕食するのは比較的小さな草食獣で、噛みついて丸のみにします。I. regulaは出現した孤島の小型~中型動物を食べ尽くすと、いつの間にか消滅している、という性質を持つため、同一個体が孤島間を転移していると考えられていますが、実証が難しく、不明なままです。

このI. regulaは、絶滅の危険がある動植物を荒らす暴君として、孤島の動植物保護団体からは半ば災害のような扱いを受けており、その美しい鳴き声にも関わらず、大変不人気なドラゴンでもあります。

【注意喚起】ショックバトンにご用心

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

海、山、川、魔界、天界などの自然に触れるレジャーは楽しいものです。

特に南国の、河口からジャングル内の川を遡上するツアーなどは、普段図鑑などでしか見ることのできない魔法生物に触れる大チャンスです。

そんな旅行に際して、王魔生研より注意喚起をいたします。

ショックバトンの誤用にご注意ください。

ショックバトンは、電撃魔法と衝撃波魔法を、害獣対策用に特化させて組み込んだ杖です。最近、効率化や安全対策の向上が重ねられ、とても便利になってきていますが、毎年悼ましい事故が発生しています。特に、安全対策が甘い、旧タイプのショックバトンでの事故が多く報告されています。

それは、マッドカッター (Novacula tenebra) と呼ばれる、手のひらサイズのカニのようなエビと関連した事故です。
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気まぐれ魔導書レビュー(マジックマーケット編)

瑞々です!

暑さもますます厳しくなってきましたが、皆さんしっかり耐えてますか?

自分は休みの日でも氷魔法が調節されているところを探して外に出歩くようにしてます。

最近やっぱり気候おかしくなってません?

水魔法使うとぬるま湯が出てきません?

自分の魔法の鍛錬が足りないだけ?

……そんなことはさておき、

自分のような魔導書界隈の端くれにいる者にとっては、この時期の風物詩ともいえるイベントが近づいてきました。

「第163回マジックマーケット」!

半期に一回開催されるマジケ。M163となる今回も、いろんな意味で熱いことになりそうです。

こんな記事を読んでる物好きの皆さんなら、今更マジケの説明なんて不要だと思いますが、この時期のマジケは、命に関わるレベルでやばいので、注意喚起もかねて。

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研究中間報告 ドラゴンが卵生を選択する理由

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

古来より根強い人気があり、それ自体でひとつの学問体系を成すドラゴン学(Dragonology)。

今回はドラゴンが卵生を選択することについて、新たな知見が得られたため紹介します。

ドラゴンの卵。初級錬金術の教科書でも紹介される最高の魔法触媒のひとつであり、同時に、採取においても最高難度の素材であることが知られています。昨今のドラゴン飼育法の改善にもかかわらず、いまだ天然のドラゴンの卵が効能においても最上であることから、高額で取引され偽物も多く出回っています。

さて、このドラゴンの卵に関して、このような疑問を持ったことはないでしょうか。

“卵で生まれてこなければ、盗られることもないのに”と。

ドラゴンの生態の多くは謎に包まれています。群れを成すものから単独生活を行うものなど様々であり、仔育てについても共通しません。卵を守り、孵った後も餌付けをする種から、自分のテリトリーの外に卵を産み付けたら放置をする種、さらに有史以来いまだ産卵が確認されていない種まで様々であることが報告されています。

しかし、これらすべての種に共通するのが、営巣地から卵が移動したのを感知する能力を持つことです。

もちろん、この能力にも種間で差があるため、留守を狙って卵を採取できる種もあれば、何千里も離れていたにもかかわらず、卵の採取が発覚してドラゴンが街ごと滅ぼした例もあります。新種のドラゴンによる被害について、この卵の採取仮説も含め、様々な仮説が王魔生研内でも検証され始めています。

近年まで、ドラゴンはこの特殊な知覚能力を持つため、卵生を選択すると考えられてきました。

ドラゴンは闘争が絶えない種であり、妊娠を選択した場合の戦闘における胎児の死亡リスクが高いことがひとつ。また、生態系の頂点に君臨し、営巣地に近づく他の動物が少ないことから、卵生の方が生存率が高くなると考えられます。

しかし、最近の研究結果から、どうやらそれだけが理由ではないことがわかってきました。

寒冷地に住むフロストリザード(Glaciatus属)の一種など、胎生のドラゴン近縁種における研究から、生活環境が著しく厳しい場合、かつて卵生だった種が胎生に進化することが明らかになりました。フロストリザードは、卵生であるフォレストレッサードラゴン(Acerunguis lustrum)が寒冷地に適応し、胎生へと進化した種であると考えられています。

このように、ドラゴンは厳しい環境に適応するため、胎生に進化するのが一般的です。

ドラゴンは、より強大で希少な種であるほど、他の生物では生存も難しい環境で生活することが報告されています。また、多産のドラゴンでも出卵数は胎生の動物種の出産数と大きく変わらないことから、出卵数を増やすといった生存戦略をとっていないことが知られています。

では、どうして卵生を選択し続けるのでしょうか。

ドラゴン学の権威であるアンダーソン教授との共同研究に、1,000年前の地層から発見された古龍の卵を孵化させ、飼育するプロジェクトがあります。現在、3つの卵のうち、2つを孵すことに成功し、ドラゴンの研究を大きく進歩させることに成功しました。この成果から見えてきたことがあります。

それは、ドラゴンの卵は条件を満たさなければ孵化しない、ということです。この孵化の条件については今後も研究が必要ですが、より一般的な種ほど単純な条件で孵化すると考えられています。また、もしドラゴンが胎生を選択するならば、この孵化の条件が出産の条件となり、条件を満たすまで胎児を抱えることとなる可能性が示唆されました。

つまり、より一般的なドラゴン種では、闘争時における胎児の死亡リスクと卵を盗まれるリスクの間のトレードオフで卵生を選択し、より希少な種では、出産条件を満たすまで胎児を抱えるリスクと厳しい環境リスクの間のトレードオフで卵生を選択したと考えられました。

現在、ドラゴンの近縁種であるレッサードラゴンや大蛇種の卵生・胎生選択から、中程度の環境リスクであると考えられる地域に生息する比較的孵化条件の緩いドラゴンが胎生を選択する理由について、研究を進めています。

今後の報告をご期待ください。

進まぬ改善 ついに始まったグリフォン便のストライキに迫る(追記あり)

現代の魔法界に欠かせない郵送手段となったグリフォン便。

そのグリフォン便を扱う日本の魔法郵便局で先日、労働環境の改善を求めるストライキが打たれた。

同サービスは便利さと手軽さで年々利用者が増加しており、ストライキによって各所に影響が出ている。それでもストライキが止まらないのは、以前『日刊森のアナグマ』で報じられたように、労働環境が過酷すぎるためだろう。

日刊森のアナグマ グリフォン便の今に迫る。

「グリフォン便労働組合」の声明によると、具体的な改善案が提示されるまでストライキを続けるとのことだ。

近日中に私は日本の魔法郵便局とグリフォン便に従事する人々のもとへ赴き、両者の言い分を聞きに行きたいと考えている。

願わくばこのストライキから、よりよい魔法郵便の形に繋がっていくことを望んでやまない。

2018.8.2

追記(2018.8.11)

グリフォン便に従事する騎手とグリフォンたちのもとへ取材に行ったものの、剣呑な雰囲気にあてられたグリフォンたちに蹴り飛ばされつつき回され、全治半年の病院送りにされた。

騎手の方々がうまく抑えてはくれたようだが、“自分たちは本気だ”と理解させるための贄とされたようだ。

読者諸兄、覚えておいてください。グリフォンキックはやばい。

用心して対衝撃魔法のかけられた革衣を着ていたのだが、鋭い爪痕が衣と記憶に深々と刻まれる結果となった。「それがなければ自身の背中をじっくり見ること」になったとは主治医談。

追記(2019.2.2)

怪我が治ってようやく自分の仕事机に戻ってみれば、半年前の取材記事が残されたままであった。

どうやら去年の夏の魔力嵐による遅延魔術の暴走が原因で当社の時間も進まず、世に出されぬままになっていた模様。すでにストライキは収束しているものの、再びグリフォンに蹴られて病院送りにされるものがいないように世に出しておく。

余談ではあるが、久しぶりにペンを持てばグリフォンのくちばしを思い出してしまい、字がのたうつ蛇のようになった。フクロウ便のフクロウにさえ一瞬身構えてしまう。しばらく鳥類への取材は控えておこうと思う…。

読者のみなさまへのお詫びと報告

いつもMahoONLINEをご利用いただき誠にありがとうございます。
長らく記事の更新を停止してしまい、読者のみなさまにご不便、ご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます。

更新停止に至った原因につきましては、編集部内で鋭意調査中となっております。また、更新停止の経緯について、今後各記者より随時報告いたしますので、続報をお待ちくださいますようお願いいたします。

(編集部本部からのお詫びから引用)

瑞々です。

……上のように本部は言っていますが、実のところ全く分からないんですよね。

いや、別に自分が怠惰だからとかいうのはなくて。

何分、突然本部と連絡がとれなくなって、送った記事も返ってこないし。

基本的に記者の方々の書いた記事は、本部にいる編集担当による校正などを経て発信されるのですが、その報告が全くなし。

送信に問題はなさそうなので、記事は届いているはずなのに、音沙汰なし。

魔法連絡を投げてみても反応なし、公式掲示板にも何も出てきません。

で、しょうがないんで本部に直接出向くことにしました。

自分の好きな時間に外出できるのがこの仕事の楽しみなのに……

そしたらですよ。

本部、なくなってたんですよ。

正確には、本部のある建物ごと、なくなってたんですよ。

謎のジョークとかじゃなくて、真面目に。

街の人々とか、他の記者さんも同じこと思ってたみたいなんですけど、誰一人として真相がわからないみたいです。

(というか、このままじゃ給料未払いでは……?)

記事は仕事なんでこれからも書き続けますが、本部の方の調査も続けていきますね。

本部無くなったのに、記事がまた出始めたのが、最大の疑問です。

この原稿も、規定の通りに本部へ送りますが、果たして届くのか……。