コラム

コラム:古代呪文を読み解く【第1回】ゼンベイガナイタ

何をどうすれば、他者の興味を引けるのだろうか。

ものづくりに携わる者であれば、一度は考えたことがあるのではないだろうか。

価値を理解してもらえる唯一に出会うだけでもいい、という方もいるだろう。

しかしその”唯一”に出会うためにも、大勢の元へ届けなければならない。どんなに素敵な発明であっても、無言で渡してしまっては受け取った者は首を傾げて終わってしまう。けれど大勢に懇切丁寧に説明をする手間も時間も魔道具もない、と頭を抱える魔術師もいることだろう。

そんなときは、先人の知恵を借りようではないか。古い呪文を使ってみるのも、気分転換になるかもしれない。

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増加する「留年スラム」 止まらない若者の浮世離れ

留年、失踪、転生──学部を4年間で卒業できる大学生が6割に満たないという統計がある。

特に留年した学生たちが地下のダンジョンに作りあげる「留年スラム」は、社会問題として近年注目を集めている。

名門として知られる王立アトス大学もまた、「留年スラム」を多く抱える大学の一つ。筆者は所在地の秘密を守る条件で、アトスにおける留年スラムへの特別取材を許された。

「ここには何でもある。単位以外はね」

リム・メイ君は、魔法デザイン学部の5回生だ。昨年の春に留年が確定して以来、ずっとこのダンジョンの外には出ていないという。彼の言葉通り、薄暗いはずの迷宮には人工太陽が浮かび、乱雑に立ち並ぶ出店は活気に満ちていた。衣服に食事、娯楽さえもが留年スラムには流通している。

「時空が歪んでいるんです。気付いたら留年していました。ひどい話ですよ」

ユグドラうどんを立ち食いしながら、リム君の声に怒気が滲んだ。アトス大学周辺では、魔法実験の影響により実際に時間の流れが歪むことがある。彼もまた、そうした歪みの犠牲者なのかもしれない。

(△留年スラム居住区。地上から流れ着いた廃品が活用されている)

「卒業研究とか、就活とか、ピンとこないし。いっそ、現世を離れちゃってもいいかなって」

そう語るのは、儀式学科36回生のパパゼ・スパリボル君。30年以上の留年歴を誇る重鎮だ。身体に青色の炎を纏っている彼は、昨年度からこのスラムで精霊転化の儀式を始めたという。

「授業がない分、儀式に集中できるんだ。もう存在位相の7割は精霊界に移しちゃってるよ」

パパゼ君の笑顔は半透明で、彼の肉体を通して背後の景色が垣間見えた。

熱くないんですか。そう尋ねようとした次の瞬間には、パパゼ君の姿は煙のように消えていた。それからパパゼ君のことをスラム中に聞いて回ったが、一人として彼のことを覚えている留年生はいなかった。

現代の若者文化は、確実に浮世離れを始めている。魔法学生の闇は深い。

(追記:本記事の公開直後、当該スラムは大学当局の安全衛生委員会・突撃司書隊の手で完全撤去された)

治療魔法と新たな可能性「再生魔法」

さて、みなさんは治療魔法はご存知ですか?

治療魔法は、

  • 傷の修復
  • 炎症抑制

の2つが主な目的で使われる魔法です。

しかし、この魔法では命に関わるような重大な怪我には対応しきれないという弱点があります。

その弱点の克服のため、昨今新たな魔法の研究も進められています。

魔法の名前は「再生魔法」。

今回は治療魔法との差異も含めて説明していきます。

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「名付けの儀式」 原始の魔法忘れるべからず

暗闇から誰かが覗いている気がする。そう、あなたの部屋の戸棚の、ちょっとした隙間から…視線があなたを見つめている…。

「それはいたずら妖精の仕業だよ」

現代の魔法使いは軽く笑い飛ばすだろう。だが、その行為こそが原始的な魔法の一つ「名付けの儀式」である…ということはご存知だろうか?

人は夜を恐れ、暗闇から現れる者たちを恐れた。それらには「名前」がなかった。

それは何者なのか。
なぜ現れるのか。
それはどんなものなのか。

人間たちは「よくわからないもの」を恐れた。それらが暗闇からにじり寄り、這いでてくることを恐れたのである。そこで行われたのが、恐れ…恐怖の正体への「名付けの儀式」、原始的な魔法のひとつだったのだ。

誰もいないのに、突然すねをくすぐる感覚がある…それらは「すねこすり」と名付けられた。

宵闇の森の中、暗がりから恐ろしい狼の遠吠えをきいた…それらは「送り狼」と名付けられた。

夜の墓場、うすぼんやりと明るい火の玉がゆらり、ゆらりと浮かんでいる…それらは「狐火」と名付けられた。

これらは東の国で名付けの儀式によって生まれた妖怪たちの話である。だが、不思議なことに、世界各地でも「よくわからないもの、現象」に対して名付けの儀式が行われたのが確認できるのだ。

悪いことが起きるのは悪霊のせい。
腰が痛むのはどこかの魔女の呪いのせい。
誰かが睨んでいる気がするのはいたずら妖精のせい…。

人々は「よくわからないもの」に「名を付ける」ことで、恐怖に打ち勝ってきた。名を付けられたものたちは妖怪として、魔法生物として、あるいは魔法現象として扱われ、恐れられることは少なくなっていった。名前のあるものは(直接触れられなくとも)そこに存在する「何か」である、と定義づけられているからだ。

だが、忘れないでほしい。

人間たちが名付けたのは世界の一部分だけだということを。まだ名付けられていない「得体のしれないもの」が存在することを。あなたを暗闇から見つめる名もなき「何か」を、忘れてはいけない。

「理解したつもり」でそれらに立ち向かうのは賢者ではなく、ただの愚か者なのだから。

「恐れよ! 怖れよ! 畏れぬ者どもは月夜に溺れ、底抜けの闇へと墜ちていくのだ!」
(歌劇フォルトゥーナ第四幕 アン・ターシャ訳より)

人権侵害か? 企業による魔力搾取の是非

背広に腕を通し、通勤電車に揺られ、席に着けば魔力帯を履く。

一般的なサラリーマンによく見る朝の風景だが、そんな風景も近く形を変えるかもしれない。

デスクワーク系のサラリーマンではよく見られる「会社支給の魔力帯を履く」という行為が人権侵害に当たるのでは? という声があがり始めているのである。

会社勤めでない読者のために説明すると、魔力帯とはいわゆる「魔力抽出装置」であり、これによって企業は運営に必要な魔力を得ている。

しかし、高魔力児の誕生増加に伴う企業専属魔術師の増加や、「魔力は生命の力であり、それは家族や己の人生に使うべき」といった価値観の変化によって、「専属魔術師以外に魔力の提出を求めるのは搾取なのではないか?」という考え方が若者の間で広まっている。

従来からの伝統を重んじる企業からは「会社は家族であり、家族を助けるのは当然ではないか」という声もあがっているが、一部では若者に賛同して献魔法式で魔力を集める企業も出始めている。

また、専属魔術師互助会からは「たしかに一般人よりも魔力換算能力は高いが、専属魔術師も人であり、高負荷を強いれば共倒れになってしまう。企業に対する専属魔術師の数は足りているとは言えず、企業との共存を目指していきたい」との声明を出している。

公を取るか私を取るか、判断を誤ればどちらも失うというのが人の世の常である。

調理の杖 〜グリフォン〜

グリフォンとは、その多くがコーカサス地方の山中に生息している、鷲の上半身に獅子の下半身を持つ魔法生物である。魔法界ではその気高さ、厳かさから、古来より王家の紋章に入れられることが多く、王の象徴ともされたという。

第1回目は、この王家の獣、グリフォンを「食」の観点から紹介する。

グリフォンを「肉」として見たことのある魔法使いはほぼ居ないだろう。そもそも、誇り高く賢いグリフォンを狩るのはドラゴンに鼻炎薬を飲ませるのと同じほど難しく、心得のある狩人でなければ狩りは不可能である。そして、その肉も非常に高価であり、今や「グリフォンを食べる」という文化自体が薄れつつあるのが現状だ。

しかし、実際グリフォンの肉にはスタミナと魔力の増強効果があり、さらに大昔には、「戦の前に戦士たちが皆グリフォンの肉を生で食べて精をつけていた」という文献が残っているほど、グリフォンとは魔法使いに身近な食材であった。

まず調理法だが、グリフォンを食べるにあたり、グリフォンは成熟すると肉が固くなり、味もかなり獣臭くなってしまうという難点がある。ハーブとショウガ、マンドラゴラ(別名マンドレイク)の葉をすり潰して混ぜたものでよく揉み、一晩ほど漬ければ獣の臭みは消えるが、肉の硬さは消えない。また、グリフォンの細胞は魔法に抵抗を持ち、魔法をほとんど通さない為、切り裂き魔法等の調理魔法は効果がない。

しかし、グリフォンの体の緊張を解く効果がある瑪瑙(めのう)を用いて肉をよく叩くことで、肉がほぐれ、ほどよい柔らかさになる。あとはこれをオーブンで焼くだけだ。

グリフォンの肉は鶏肉に似た食感を持ち、まろやかにした山椒のような風味が特徴だ。味付けにスパイスやソースを加える必要のないその独特な風味は、決して他の獣にはない、グリフォンならではの味わいだろう。

かつては知恵と王家の象徴にされた獣。

貴方も是非1度、彼らを味わってみてはいかがだろうか。

“奴隷の価値も無かった” 大富豪ハルフェンの壮絶人生

魔術師ならば知らぬ者はいない魔法薬・魔術触媒製造の最大手、ダイスクリーム魔術化学社。

その創業者にして現CEO、ハルフェン・ダイスクリームはエルフ人種の女性とオーク人種の男性の間に生まれた。

オーク人種とエルフ人種の対立と差別の問題は今でこそ解決の兆しが見えているが、今から90年前、ダイスクリーム氏がまだ少年だった頃はオークとエルフは互いにいがみ合い、貶し合い、殺し合っていた。

「私の母は戦争捕虜としてオーク人種の同盟軍に捕らえられ、強引に妊娠させられました。それが私だったのです。当時は中絶魔法が無く、私は健康体でこの世に産み落とされましたが、母は私の存在を忌まわしいものとして捉えていました。
エルフ人種は異常なまでに血統や純血を重んじる種族です。それは母も例外ではありませんでした。しかもその混ざっている血がオーク人種のものとなれば尚更のこと。私は物心つく前から虐待を受けていました。

ある日、母は虐待に飽きたのか、それとも他のエルフの人々からイジメを受けることに耐えかねたのか、私を奴隷商に売ろうとしました。しかし奴隷商は、オークとエルフの混血なんて誰も買わないと言って拒否しました。私には奴隷の価値もなかったのです」

ダイスクリーム氏はまるで他人の人生のように、自身の壮絶な過去を淡々と語る。

「この時私は家を出て母のもとを離れることを決意しました。このままでは母は私を殺そうとするか、自殺するだろうと思ったからです。

私は家を出て早速仕事を探しました。人種を悟られないように肌を泥や布で隠して、街中の商人や職人に頭を下げました。そしてやっと、ある一人の商人の方が私を小間使いとして雇ってくれたのです。私は死にものぐるいで働きました」

ダイスクリーム氏はそこで商いの方法や数学、文字の読み書きを勉強し、商人として独立したという。もちろん、顔や肌は隠しながら。

「私は魔術を学び始め、魔法薬の売買に興味を持ちました。魔法化学が比較的得意だったのもありますが、理由はなによりも、魔法薬を買っていく魔術師たちが私の容姿を気にする様子が無かったからです」

ダイスクリーム氏は商品を魔術師向けの魔法薬や魔術触媒に絞った。彼がドーランや布で顔を隠さなくなったのもこの時期らしい。

「魔術師の方は少し変わった人が多いのですが徹底した実力主義者で、魔法薬の質が良ければ私の容姿や血筋のことはまったく気にしませんでした。私はそれがとても嬉しかった。純粋に私の努力だけを見てくれたから」

小さな街の魔法薬屋からスタートしたダイスクリーム社はいまや年商約600億ライラの大企業だ。ダイスクリーム氏本人も、毎年発表される世界の大富豪トップ100の上位に君臨している。

「私はもう母のことは恨んでいません。ダイスクリーム社のビルが建ったあたりから金をせびりに来ましたが。

もちろん、私が産まれる前に姿を消した父のこともです。今では彼に会いたいとすら思っていますよ」

ダイスクリーム氏はそう言って笑う。

最後に、月並みな質問ではあるが、彼に成功の秘訣を聞いた。

「自分を無駄な存在だと思わないことです。“自分はこれができない、あれができない”と思った時は、できるようにしようと思う。ですが、“自分は無駄な存在だ”と思ってしまうと、何をしても虚しくなって、何もできなくなる。誰に言われてもどれだけ言われても、自分は絶対に生まれてきた意味があるんだと信じ続けることです」

ダイスクリーム氏は小さな魔法薬屋の頃から毎年欠かさず、子どもを保護する施設や人種差別解消運動を行なっている団体への寄付を続けているという。

いつもより少し大胆に、CAROLより新シリーズ コスメ発売!!

可愛らしく幻想的なパッケージと高い品質で幅広い種族から支持をされている『CAROL』から、新しいコスメシリーズが発売されることが決まった。

その名もずばり『Mange Moi』。
かなり、セクシーなネーミングである。

CAROL社の商品開発部によれば、今回のコンセプトは『fascination』。
好きな人、憧れの人、特別な人とデートをする時に、ぜひともこのシリーズを使って演出をして欲しいとのこと。

また今回のシリーズには、同社が独自に開発し特許を取得した魅了魔法を成分化したものが配合されている。
この魅了魔法について、詳しいことは企業秘密のため取材NGだったが、従来の魅了魔法とは異なり、特定の状況下においてのみ発動するようになっているという。

今回CAROL社がしかけた魔法がどのようなものか気になる方は、来月7日~21日にかけてCAROL社の各ショップで開催される先行体験会へ足を運んでみてはいかがだろうか。

なお、今回のラインナップは以下の通り。

☆ファンデーション(リキッド・パウダータイプ)各種全6色

☆リキッドルージュ 全21色

☆ティントチーク 全4色

☆アイシャドウパレット 全10種

※発売日は8月中旬予定。

気まぐれ魔導書レビュー(生活実用編)

どうも、瑞々です!

前回は、実際に魔法を使うことを目的とした場合、どんな魔導書を使えばよいのかを少し説明してみました(あくまで私見)。

今回は、

「細かいことは抜きにして、魔法を生活で使いたい」

「一人暮らしを始めるので必要な魔法を習得したい」

「学校で習った魔法だけでは不安」

といった方へ、実践的に魔法を使うことに特化した魔導書を紹介していきます!

さっそく始めましょう……。

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豆腐小僧の豆腐品種改良へ

豆腐小僧の豆腐と品種改良

豆腐(Tofu)と言えば、そのヘルシーさから
昨今は世界中で注目を集めている、ヘルシー食品であるが、日本では雨季に入るこの時期、
やたらと豆腐を勧めてくる、妖怪がいる。

彼らの名前は「豆腐小僧」
何とも安直なネーミングと思っても、決して本人達に向かって言ってはいけない。
言ってしまったが最後、肩を落として、
落ち込む姿はあなたの良心を痛めることになるだろう。

豆腐小僧の容姿は日本古来の子供達の姿を反映している。
蓑で作られた傘を被り、髪型は坊主頭が主流。
着物と草履。そして片手には自作の豆腐。
年齢で言えば5~6歳程。
ふっくらとした頬に、くりくりとしたつぶらな瞳の子供である。

彼らはその愛らしさを活かして、自作の豆腐を食べるように、勧めてくるのだが、
その姿に絆されて豆腐を食べてしまってはいけない。
何故ならば、その豆腐を食べてしまったが最後、身体中にカビが生えてしまい、その様はまさに、巨大ケサランパサランと言った具合である。
そして彼らはと言えば、いたずら成功したとばかりに楽しそうに「ケラケラ」と笑って去って行く。
豆腐を食べた人びとは、真っ白なカビに覆われ、ケサランパサランあるいはイェティの如くなったとしても、そのあまりの無邪気さに
大抵は、怒ることもなく“引っかかってしまった”と思うのだとか。

因みにこの白カビはお風呂に入ってしっかりと
身体を乾かせばすぐに取れ、また病的要因になり得るカビでは無いとのことが近年では解明されている。

また、この豆腐小僧の豆腐であるが食べた際に
カビが身体中に生えるのは人間種だけであることも分かってきた。
WHOの研究によれば、豆腐小僧の妖術と
人間種のみが持つ抗体が反応をしてカビが生えるとのことである。

この度、研究結果を受けて、豆腐小僧一族では、
人間種が食べても、人体にカビの生えない豆腐を作るべく品種改良に着手を開始したとの発表をした。
新製品については今年中の完成、
来季販売を目標にしているとのことである。

因みに、豆腐を食べてもカビが生えなくなるという
今回の品種改良については、彼らのアイデンティティーの根幹を揺るがすことにはならないのか、
気になり、弊社より問い合わせをしたところ、
直筆にて回答があったため以下に掲載させて頂く。
なお、彼らの手紙を公表することは了承済みである。

この手紙を読んだ瞬間、彼らのあまりのいじらしさに
私がうるっと、来てしまったことはここだけの
秘密にしていただきたい。

豆腐小僧一族の豆腐については
「カビさえ生えなければ、毎日食べたい」と
いう、ファンもいるほど味には定評があるため、新製品の完成が楽しみである。

そして、食べても『カビが生えなくなる』とのことであれば、2回目以降の勧誘を断り、彼らの肩を落とす姿に良心が痛む日もなくなることだろう。

どんな種族でも、子供に似合うのは笑顔の他には無いのだろうから。