研究

王立魔法生物学研究所よりお詫び

このたび、当魔法生物研究所の熱帯多雨林模倣飼育室より、指定魔法生物であるサソリの一種・ルナティックスパイク(medicamentum lymphatus)が、オスとメスの番で盗難されたことがわかりました。謹んでお詫び申し上げます。

ルナティックスパイクが有する毒は「万毒の祖」とも呼ばれ、特に体内の神経と魔力に作用し、強力な幻覚作用を引き起こします。あらゆる毒に悪用が可能な本種ですが、魔術的に空間を拡張して自然を再現した環境で飼育されており、個体数の確認が不十分だったため発覚が遅れました。また、当研究所の管理システムの記録を解析しても、外部犯より内部犯の可能性が高かったため、盗難された事実の確認がとれるまで時間を要しましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

ルナティックスパイクの飼育個体数が減少していたことは、半期に一度行っている、飼育下の全魔法生物の個体数調査を行った際に発覚いたしました。餌の減少量の記録から盗難時期を推定し、警備を行っていた職員の記憶を精査したところ、一部の職員において記憶の混濁が確認されました。外部犯の可能性が高まり、捜査当局へ詳しい調査を依頼したところ、盗難であることが確定いたしました。

ルナティックスパイクは、体長45センチメートルほどに成長する大型のサソリであり、頭がムラサキ色で尻尾にかけて深緑色のグラデーションがかかっていることが特徴です。このようなサソリを所持する人物を見かけたら、まずは十分な距離を取った上で、王立魔法生物学研究所などにご連絡ください。

皆様におかれましては、大変なご不安をおかけいたしますこと、誠に申し訳ございませんでした。

ジャングル奥地で未開部族発見される 3000年前の血筋か

レドルフランケ南部の未踏地域深奥にて、未開部族の実在が確認された。レドルフランケの一部地域では南部原生林に生きる古い部族の伝説が長老たちの間で語り継がれていたが、前魔法的な生活を送る部族の実在は驚きをもって受け止められている。

発見したのは、魔法植物学の専門家ガオ=ケレナ氏。部族は3000年以上前の吸血鬼の血族である可能性が指摘されている。

樹獣に追われた際に偶然遭遇

▲深い森に隠された村落


モロプス獣人であるガオ=ケレナ氏はほぼ1年を通して原生林の植生調査をしており、今回の遭遇も偶然だったという。

「体高18メートル程度でしょうか。運悪く成体の樹獣に見つかってしまったんです。あれは肝が冷えました」
原生林には未だ生態の解明されていない、巨大な樹獣が多数生息している。氏ほど経験のあるフィールドワーカーですら、犠牲になることもある。
「気付かないうちに、深奥に入り込み過ぎたんですね。もうだめだ、と目を瞑った時でした」
紙一重のところで、ケレナ氏は部族の一人に助け出された。秘密の森道を通り、氏は部族の村落に迎えられたという。

「人喰い族、だなんて噂を聞いていたので、最初は食べられてしまうのかと思いました。ほら、私って美味しそうでしょう?」
ケレナ氏はふわりとした体毛を掻きながら笑った。
「でも、違ったんです。彼ら、ベジタリアンなんですよ。ちょっと見た目は怖いけれど、優しく穏やかな民族です」

古き血脈のパド族

▲パド族に典型的な犬歯


ケレナ氏に接触した彼らは、“パド族”という古い古い民族だった。深い森に閉ざされ歴史に忘れられたパド族だが、決して閉鎖的でも排他的な訳でもない。少しだけシャイで、しかし友好的な人々だ。事実、ケレナ氏との邂逅以後は、少しずつだがレドルフランケ南部の村々と交流が始まっている。

パド族は、前魔法的な生活を営む牧歌的な民族だ。我々が渡す魔法の品々を、いつもおっかなびっくり受け取っていく。文字を保たないパド族は、数千年もの間、外界から隔絶された森の中で、魔法とは無縁な生活を営んできた。専門家の見解では、パド族は3000年以上前に断絶した、古い吸血鬼の血脈である可能性があるという。吸血鬼の魔力は、その血脈の古さに比例する。現在王国内で確認されている吸血鬼の血脈は200年来程度であり、パド族の歴史が事実であれば、その潜在魔力は計り知れない。

パド族の人々は、その多くが金色の瞳と長い犬歯を持っている。この一見恐ろしげな容貌が「人喰い族」などといった噂の元だったのかもしれない。しかしケレナ氏が語るように、パド族はその全員がベジタリアンなのだ

吸血を忘れたベジタリアン

▲パド族が育てる“命の実”


宗教的に肉食が禁じられている……という訳ではない。パド族がベジタリアンになったのは、ひとえに森の恵みが豊かであった故なのだ。

「これが、パド族の主食です。驚きましたよ。何千年も前から、こんな美味しいものを食べてきたんですね」
植物学者のケレナ氏すら唸らせる、パド族の作物。彼らが“命の実”と呼ぶその赤い果実は、瑞々しく、ほのかな甘みが舌に心地良い。原生林深奥でしか育たないこの果実は、レドルフランケ地方で今ひそかなブームになっている。
「物々交換だけでも、相当な物資が集まってますよ。みんな食べたいんですよ、この“命の実”をね」
今やパド族との橋渡し役となったケレナ氏が、屈託のない笑顔を見せた。

“命の実”と引き換えに我々が「血液パック」をパド族に渡すと、不思議そうに味わった彼らは、すぐにおかわりを要求してきた。おもしろいことに、パド族の間では血液パックが流行しており、せっせと“命の実”を持ってくるようになっている。血液パックを飲んだパド族は、目を輝かせて笑ってみせる。確かに、ベジタリアンでももともとは吸血鬼の一族なのかもしれない。

最近では、ついにパド族は村落に観光客の受け入れを開始することを決めたという。パド族と魔法文明の友好的な関係は始まったばかりだ。今後の展開に期待したい。

新技術、回顧魔法を用いた遺物調査の難しさ

魔法技術の向上により、物の記憶を見る“回顧魔法”が考古学の分野でも用いられることが増加した。遺物のごく一部、数グラムを用いて物の年代を正確に知ることができる新技術によって、数々の新事実が判明したことは確かである。

しかし、その成果を安易に強調するのは危険性が伴うとする調査結果が、魔法考古学会の第472回総会において提出された。

回顧魔法自体はごく単純な魔法であり、いつの記憶を見たいかを設定することで写真のようにその様子を写すことができる。基本的には簡単な魔法で技術者を選ぶことは無いが、画像は古い記憶になるほど不鮮明になり、どの時点での記憶を見るのかを操作するには非常に高い魔法技術が求められる。その点において、考古遺物は数千年、数万年の記憶を保有しており、目当てとなる製作された年代、用いられた期間、廃絶された時期を断定することは難しい。遺物一つを鑑定するのに数年かかるという試算も提示された。

そんな中でも回顧魔法による成果が報告され続ける背景には、限界年代という概念が用いられたためである。これは回顧魔法が考古学において用いられるようになってから導入されたものであり、回顧魔法を使用できる年代の下限を調べることによって、それを製作年代に充てるものである。

しかし、回顧魔法に遺物の一部を消費して使用するゆえに、土器であれば使用した土、石器であれば石そのものが生成された、その形となった時代を示す可能性があり、年代が下がることを指摘した分析結果にも疑問が示される。

今回の調査を主導したアルハト・デジャル氏(アッサム考古博物館教授)は、「回顧魔法のみを用いた分析を絶対視することは難しいが、従来の編年研究に根差した分析に用いることはできるのではないだろうか。ただ、今後技術の発達によってより少ない資料で、緻密な研究が可能になるだろう。今回の報告は、あくまで現段階の物と理解していただきたい」と述べ、回顧魔法を用いた分析の今後に期待を寄せる考えを示した。

“名もなき花”は混沌の存在だった? 一部研究者に失踪の疑い

多くの詩人が言及しているものの、その実在性を確認できず種として認められていなかった“名もなき花”が混沌(平行世界の間に存在する“世界の狭間”)の存在であることが判明した。

(画像には“名もなき花”と関係のない植物を使用しています。)

トゥリエンデ・フローズ教授率いる魔法植物研究チームの発表によると、“名もなき花”そのものは混沌の中でも特に深い場所に存在するが、魔法の発動などで生じる“次元の歪み”によって“こちら側”に表出することがあるという。

そのため、“名もなき花”への理解を深めすぎたものは混沌に呑まれ、“こちら側”からは認識できなくなる。これまで“名もなき花”へ名前をつけられなかったのは、「名前をつけた瞬間に命名者が混沌に呑まれていたからだ」とフローズ教授は語る。

吟遊詩人をはじめとした詩人は、我々よりも直感的に世界を見つめている。“名もなき花”の異質性・危険性を理解していたからこそ、“名もなき花”という通称を使用し、人々に危険を知らせていたのだろう。

混沌が表出しやすい地質のハウザル地方では、魔法使いの失踪が多く、その中の一部は“名もなき花”が原因で混沌へ呑まれている可能性がある。

“名もなき花”研究に協力した王立アトス大学混沌学部学部長の■■■■=“ジーニー”・■■■■■■教授は、“名もなき花”の危険性についてこのように述べた。

魔法植物研究チームの研究室には、複数の魔法使いが混沌に呑まれた形跡があった。その中には混沌学者も含まれており、混沌の深度がうかがえる。一度“名もなき花”への研究を止め、混沌への潜行と失踪者のサルベージを行う必要がある。

この発表を受け、王国危険生物管理委員会は“名もなき花”の危険度をA-からSSに変更した。今後、“名もなき花”に触れる際には混沌学学士級の資格が必要となる。

アンデッドの分類法、ついに改定!

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

ホラー。ホラーといえば、アンデッド。ゴーストの皆さんは、肝試しでは大活躍ですね!

今回は、そんなアンデッドの皆さんについて紹介します。

(その前に。一般にわかりやすいためアンデッドやアンデッド族という単語が広く使われていますが、魔法生物学上”アンデッド族”なる種族は存在しませんので、迷信にはご注意ください。)

さてアンデッドの存在は古来より知られ、その創出法は様々な古典魔術の経典に秘術として記されていたり、口伝によって受け継がれていたり、強大な王の伝承の中に存在が仄めかされていたりと、様々に伝えられ、多くの種族や派生系がいると考えられてきました。

また、古典的な死霊術の分類法を重視する声も強かったため、比較的若い魔法生物学の合理的な分類法とは独立して分類されてきました。

しかし、最近になってようやく新分類法が広く認められるようになりました。

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その名は、神の供物

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

事実は小説より奇なり、という言葉を聞いたことはありませんか?

人が想像し得る限界は、その人が知りうる知識の限界に等しく、頭を固くしていては真実を見詰めることなど叶わないという、我々研究に携わるものすべての教訓となっている言葉でもあります。

さて、今回は知られている中で、最も巨大な魔法生物について紹介します。

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「ふえるおかねちゃん」実用化に目処 錬経研、増殖する黄金の開発に成功

王立アトス大学錬金経済学研究所のンゼロ・リンリカ教授率いる研究グループが、金属ベースの粘菌生物から自己増殖する生体黄金の開発に成功した。金の精錬は全錬金術師の悲願であり、賢者の石開発につながる成果として期待される。

同グループは、一般にメタルスライムとして知られる腐肉食性の粘菌生物種「ヒトクイテツフグリ」をベースに、多数の魔法生物を儀式的に掛け合わせることで、生体魔素を分解し黄金の子実体を形成する新種を開発。実用試験を重ね、開発名称を「ふえるおかねちゃん」へと改称した。

生体黄金の問題は、飼料の変換効率が悪い点にあった。これまで同グループは、サラマンダーやウンディーネの精霊肉を始めとする高級飼料を用いていたが、より安価で安定的な飼料の発見に成功。コストパフォーマンスの問題を解消し、実用化に目処が立った。「貧困や飢餓、人口爆発などの経済問題は、やがて過去のものとなるでしょう」とリンリカ教授は意欲を見せている。

ふえるおかねちゃんの幼生
▲魔法瓶に収められた「ふえるおかねちゃん」の幼生

「ふえるおかねちゃん」は、僅か5センチほどの幼生から1年で約3メートルにまで成長。与える食料にもよるが、魔法肉を食べることで平均して純度75%ほどの黄金として体積を増加させる。実験室で飼育されている個体は、昨年度では約7.5トンの巨体にまで成長した。

「ふえるおかねちゃん」実用化を受け、王立アトス大学は錬金経済学部の大幅増員を決定した。有望な若手研究者の確保、増員が狙いとみられる。

前年度では錬金経済学部の学生のうち62%にあたる約1300名が失踪。例年にない失踪者数に、同学部は定員割れを起こしたことで知られる。今回は特例として入学金・入学試験免除と、広く魔法使いを募集する姿勢だ。リンリカ教授も「最先端の研究に携わるチャンスです」と話している。

6000年の威光が崩壊の危機 強引な学術調査に批判が集中

6000年の間存在していたアクストゥム神殿の荒廃が、ここ半年で大幅に進んでいる。

アクストゥム神殿は、現在ではすでに失われた人柱による時間停止魔法が使われていると考えられており、その調査は失われた古代魔法の解明に向けた大きな一歩になると思われた。試掘調査ののち、半年前から長期にわたる発掘調査が続けられているが、それに伴いアクストゥム神殿の荒廃が一気に進んでいることが問題視されている。

アクストゥム神殿が建立された理由は定かではない、しかし、確かなのは6000年の間に様々な災害、戦災に巻き込まれたと言うことである。エラム帝国滅亡時において、エラム王族が神殿に立てこもった際に反乱軍による攻撃が行われたものの、傷一つ付かなかったという。実際に保存行為が一切行われていないにもかかわらず、石製の床には一条の傷もなく、壁にはしみ一つなかった。

しかし、現在の神殿は見る影もなく荒廃している。真っ白だった壁は剥がれ落ち、黄金に美しく輝いていた鐘は錆が目立つ。荘厳な柱は既に折れる寸前のようなありさまだ。その原因は、おそらく発掘調査によって見つかった数百人に及ぶ死者の遺体を持ち出したことにある。その遺体はおそらく神殿建立時に埋められたものとみられるが、つい先ほどまで生きていたような瑞々しい状態を保っており、人柱による時間停止魔法の証明であると現場は歓喜に包まれた。詳細を調べるため、神殿外に遺体を持ち出したところ、6000年の時を埋めるように腐敗が進み、翌日には白骨化してしまったと言う。この時、柱に亀裂が走るような音を聞いたと調査員が複数いたことが報告されている。

調査以前から時間停止魔法が解除された場合の危険性には様々な学者から指摘がなされており、調査団はその反対意見を押し切る形で調査を開始した。現在も調査責任者は沈黙を保っているが、このまま調査を続行するのか、はたまた保存を優先して新たな方法を模索するのかは定かではない。どちらにしても、強引な学術調査を行うその研究姿勢には今後も批判が集まりそうだ。

不確かなドラゴン (Phantdracoidae科)

王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。

突然ですが、クイズです。

ドラゴン学において、もっとも研究が難しいドラゴンとは、どのようなドラゴンでしょうか?

おそらく夏休みの自由研究なのでしょうか、王魔生研にもこのような質問がやってくる季節になりましたので、お答えします。

答えの前に、ドラゴンの研究を難しくする要因を考えます。

  1. 発見が困難な種であること
  2. 気性が荒い種であること
  3. 存在が不確かな種であること
  4. 生活環境が非常に厳しいこと
  5. 仲間を助けようとする他のドラゴンへの対処が必要なこと

などが挙げられます。これらの要因で、研究を一番困難にするものはどれでしょうか。

世界の果てに住むドラゴンなどは生活環境が厳しく、一種一個体しか発見されていないものもいますが、発見自体は難しくありません。

気性が荒い種の生活を観察することは、難しいですが、死後の個体などを入手できないわけでもありません。

同様にドラゴンの生活環境が厳しい場合、飼いならすことは難しいですが、自然の中でのドラゴンの観察は、十分な準備があれば可能です。

そして採取した卵に対する反応など、たいていのドラゴンは仲間を助ける意識が強いため、特定の種において、ドラゴンの対策が必要というわけではありません。

概念上のドラゴンを除いて一番難しいのは、存在が不確かなドラゴンです。

特にPhantdracoidae科のドラゴンがそれにあたります。それどころか、この科のドラゴンは存在そのものが疑問視され、議論が絶えません。他の魔術的な要因が、ドラゴンのような幻影を見せているのではないか、という議論はおいて、現在、目視による観察と、この科のドラゴンが残した痕跡を基に研究が進められています。この科のドラゴンに共通する大きな特徴は、触れることができず、映像や写真に残すことができないこと、さらに、遠くから観察すると大きく見え、近くで観察すると小さく見えることです。

今回は、その中でも研究の進んでいる2種について紹介します。

 

Phantraptor incertus

この種は、主に群れを成して生活しており、牧畜を襲ったり、大型の草食獣などを捕食したりしています。羽は生えておらず、地上を二足で走るしなやかな体をしています。

しかし、その体の半分は抽象化されたようにのっぺりとしており、歯なども顔の半分にしか存在していないように見えます。また、全身がねじ曲がって見え、後肢は左右で交差しています。尾も同様にねじれて垂れ下がっているため、体長を目視によって測定することは難しかったのですが、残された爪痕や歯型、多くのスケッチなどを基に、約1.2~1.5メートルだと考えられています。

このP. incertusは、100メートルほど離れたところから観察すると、体長が約5メートルほどに見えますが、1メートルまで近づくと、体長は約30センチほどに見えます。

また、P. incertusの鳴き声は、ヤギを絞め殺した声と言われるほど不気味であり、死を告げるドラゴンとしても有名です。

 

Irregula regula

この種の一番の謎は、出現するのが孤島に限られ、しかも単独であるということです。I. regulaは、5メートルほどに近づくまで視直径7.2°の大きさを保ちます。そのため、1キロほど離れたところから観察すると、体長が約250メートルほどに見えます。I. regulaが残した爪痕や、歯形などからは、体長約15~20メートルほどだと推測される一方で、1キロメートル離れた地点で観察した際のI. regulaが歩行すると、ひと足で木々をなぎ倒すのが観測され、実際に足跡を確認できることから、P. incertusとは異なり、体サイズが可変であることが知られています。

また、P. incertusと異なり、I. regulaの体はねじ曲がっていませんが、頭の上半分どうしが合わさったような一対の上あごをもち、左右対称の頭が地面に平行に存在するため、通常のドラゴンなどと比較すると、顔を90°ひねって鏡写しになったように見えます。

I. regulaも羽を持たず、後肢による二足歩行をしています。そして、捕食するのは比較的小さな草食獣で、噛みついて丸のみにします。I. regulaは出現した孤島の小型~中型動物を食べ尽くすと、いつの間にか消滅している、という性質を持つため、同一個体が孤島間を転移していると考えられていますが、実証が難しく、不明なままです。

このI. regulaは、絶滅の危険がある動植物を荒らす暴君として、孤島の動植物保護団体からは半ば災害のような扱いを受けており、その美しい鳴き声にも関わらず、大変不人気なドラゴンでもあります。

史上初の「絵画魔法化」で絵画猫の大量召喚が発生

アーティセンナ美術館に展示されている絵画が魔法暴走を起こし、初めて「絵画魔法化」が確認された。

魔法暴走を起こしたのは、それまで絵画魔法ではないとみなされていた絵画『猫の集会』。多様な猫が庭でくつろいでいる様子がのびやかに描かれ、猫派の魔法使いを中心に人気の絵画だった。

『猫の集会』に描かれる主なモチーフは猫で、絵画魔法に必要な複数のモチーフや、属性を決定する統一された方向性がなく、絵画魔法師が「魔法陣のようなものを読みとれない」と結論付けたものだった。

今回の絵画魔法化、及び魔法暴走では、『猫の集会』を中心に猫が“湧きでてくる”現象が確認された。現在はレイラインの影響が薄いメンナ絵画魔法研究所に移され、魔法暴走は沈静化している。

湧きでた猫は「紙のように軽く、画材特有の匂いがした」と、魔法暴走に遭遇し事態の対処に協力した観覧客は語る。

メンナ絵画魔法研究所の発表によると、『猫の集会』の魔法暴走は別地点、あるいは別時空に存在する猫を召喚するものではなく、絵画と同じ素材でできた“絵画猫”を生成するもの。一連の騒動で絵画魔法師の管理外へ出てしまった絵画猫がいる可能性もあり、メンナ絵画魔法研究所は魔法使いへ回収を呼びかけている。

また、今回の絵画魔法化について、絵画魔法研究家の『花の帽子飾りをつけた若き魔女』氏は以下のようにコメントしている。

「『猫の集会』とても穏やかな絵画。絵画魔法になったのは、絵を見た人が抱いた感情が絵画に集まったためでしょう。癒されたい、猫と触れ合いたいというような感情に応えようとして、今回の魔術暴走に繋がったのでは」

このコメントを受け、アーティセンナ美術館は魔法暴走の再発防止策を提示。現在公開中の一部絵画について、『花の帽子飾りをつけた若き魔女』氏の協力で聞き取り調査を行うと発表した。