研究

魔女の森の不法投棄、別次元からの漂流物か

投棄者が一人も見つからないことで問題となっていた魔女の森における不法投棄に関して、平行次元管理課(以下 管理課)から思わぬ可能性が示唆された。

なんと我々が不法投棄だと思っていたものは別次元からの漂流物だった、というものである。
管理課の調査によれば、魔女の森は大気中のマナ濃度が非常に高く、別次元へ繋がる“ひずみ”が生じやすい。投棄物はそのような“ひずみ”を介して我々の世界へとまさしく「漂流」してきたのだと言うのである。

今まで疑問に思われていた投棄物の謎は、「投棄者が見つからない」だけではない。「機械でありながら魔力炉を備えていない」「動力と見られるものが可燃性の液体のみである」などの特徴から、その出自についてかねてから疑問視されていた。
管理課の発表はこれらの謎に答えるものであり、可能性としては大いに説得力のあるものであった。

今回の発表が真実であれば、不法投棄物の山は平行次元調査の貴重な宝物庫になるだろう。しかし一方で、“ひずみ”発生の法則などについては、いまだに明らかになっていない。

引き続き管理課の調査に注目していきたい。

異世界からの手紙は真実だった? 都市伝説から考える「次元超越」の可能性

知らない言語やこの世界のこととは思えないような文書が存在するという、都市伝説がありますね。

実際、魔法書ネットには時折架空の文書と疑われるようなものが見受けられ、運営に削除されています。一部の界隈では「異次元のからの手紙では?」と言われてきましたが、昨今の研究であながち間違いではない可能性も出てきました。

今回は、酔狂な研究者が発表した研究成果を利用して異次元への可能性について考えたいと思います。

【本記事の内容】
・都市伝説「超越文書」
・そもそも次元を超えるなんて可能?
・他の次元へ行けるようになる?
・なぜ難しい? 転移魔法の限界
・まとめ

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ウロル国のパスダーピナ幻獣園、世界で初めてユニコーンの繁殖に成功

先月27日、ウロル国にあるパスダーピナ幻獣園でユニコーンの赤ちゃんが誕生した。

ユニコーンは、その希少性の高さから剥製目的で乱獲され、現在は大きく数を減らしている。そのため、様々な機関がユニコーンの絶滅を回避しようと研究を重ねているが、今回の件がそれらを大きく前進させることは間違いないだろう。

ウロル国立メルカヒルド大学幻獣学部の教授マルヒトッヒ・フリードリヒ氏は「ユニコーンの繁殖方法は長らく未知の領域だった。今回の記録は非常に貴重なものであり、必ずやユニコーンを救う鍵になる」とコメントした。

また、パスダーピナ幻獣園のユニコーン担当飼育員は「出産日前は心配で仕方なかったです。ユニコーンの出産は初めての連続で……。でも本当に無事に産まれて来てくれてよかったです。ある程度大きくなったらお披露目も考えていますので、ぜひ見に来てください!」と目頭を熱くして語っていた。

パスダーピナ市ではすでにユニコーンの赤ちゃんに乗じたグッズが展開されており、ユニコーンの赤ちゃんの市場効果への期待は高まっている。

パスダーピナ幻獣園のユニコーン親子は今月末までは休養させ、その後、状態をみて一般公開される予定だ。

使い魔界に新風吹く、トイケルベロス誕生

この度、ディジョアン国立魔法生物研究所は、ケルベロスの小型化、ひいては新種となるトイケルベロスの繁殖に成功したとの報告を発表した。

従来のケルベロスはその番犬としての性質の高さから、古くは神々の門番として生活を共にしてきた。人間界でも門番として彼らを迎え入れたがる一部の人々がいたが、その気性の荒さと飼育の難しさから悲劇的な事故が後を絶たなかった。

しかしながら、研究を積むこと幾星霜。度重なる品種改良を経て、ようやく人間界でも馴染めるケルベロスが誕生し、近年は番犬として生活に溶け込むようになってきた。

その裏で、新たにケルベロスの飼育問題も起きている。

郊外等、居住スペースがある家であれば庭で放し飼いをするだけの十分な余裕が確保できるため、飼育に際して特段大きな問題は見受けられないが、都市部での飼育となると話はまた変わってくる。

人口密度の高い都市部ともなれば、飼育スペースの確保が難しいことやストレス発散のための散歩をすれば、「子供たちに襲いかかってきたら、責任はどう取るのか?」などの問い合わせが頻発することにより、近所の目を気にしながら世話をする飼い主、十分な散歩や遊びが出来ないケルベロスと共にストレスを抱えながら生活を送るという現状があった。

そうなってしまうと、都市部の飼い主は泣く泣く郊外のケルベロス保護施設へ愛犬を手放さなくてはならなかったりした。

こういった飼い主はまだ良い方であるが、中には無責任な飼い主もおり、「思っていた以上に大きく、世話が大変になった」との理由で成犬のケルベロスを捨てる者も後を絶たない。

このような無責任な飼い主に捨てられてしまったことにより、ケルベロスの野生化が近年問題視されている。(この問題は後日、使い魔の野生化問題で取り扱う予定である)

その一方、市場ではケルベロスを番犬として迎えたいと考えている人々は60%近くいるとの調査結果も同研究所より発表されており、飼育問題の効果的な解決作策も無いまま需要は高い。

そこで、ディジョアン国立魔法生物研究所では、都市部や単身者でも飼いやすいケルベロスを生み出すことはできないかと永らくケルベロスの小型化に携わってきた。

勿論、品種改良の研究に当たっては好意的な意見もあれば、「遺伝子を操作することは生命への冒涜だ」という批判的な意見も見受けられた。同研究所においては、この度の研究は「遺伝子操作(キメラ生成)」ではなく古来より取られている自然交種での改良であることを約束し、研究を進めてきた。

そして、この度めでたくその結果が実を結んだのだ。

今回、交配種として選ばれたのは古来種のトイプードル(オス5才)であり、父親になった彼は別室にてわが子の誕生を職員と一緒に見守っていた。

産まれた仔犬は、全部で3匹で、性別についてはオスの仔犬が2匹、メスの仔犬が1匹で母子ともに健康とのこと。仔犬の大きさはおよそ6~8センチ程であり、元来のケルベロスの仔犬の20分の1程の大きさである。成体についても最終的には30センチ程で成長が止まる見込みとのことだ。

メディアを含めた一般への公開に当たっては、仔犬たちが産まれて間もないことと、母体のケルベロスが出産直後とのこともあり、仔犬たちの公開時期については現在未定であるが、離乳時期を目処に公開を検討していると所長のシャリーゼ氏は発表した。

また今後、トイケルベロスの繁殖に当たっては特定のライセンスを持ち得るブリーダーにしか許可を出さない方針を同研究所は発表し、ライセンスの制定においては政府と相談しこれから調整をしていくとのことであった。

トイケルベロスが新たなパートナーとして人々の生活に馴染むのはまだもう少し先の話になりそうではあるが、まずは何より今回産まれた仔犬たちが無事に成長をすることをただただ願うばかりである。

人類種初、迷宮図書館200階層を突破 最新の魔術理論チームが快挙

世界で2番目に深いとされるダンジョン「ドワーフ族の迷宮図書館」に挑戦していた調査チームが、「現地時間の今日午前3時25分に、200階層への到達に成功した」と王国に無線糸電話で伝えたことが分かった。

迷宮図書館は、4000年前に当時のドワーフ王が蔵書保存のために建設したとされるダンジョン。
調査チームは当初の計画通り、60日で深度2500㎞を下り、地下200階層へ到達した。王国は先王の代から幾度も調査チームを派遣してきたが、200階層到達を達成したのは今回が初めて。
前回までの調査では危険な罠や凶暴な司書生物に阻まれ、最高到達記録は40階層に留まっていた。

今回、大きく到達階層を伸ばした調査チーム。その快挙の秘訣はなにか。

「最新の魔術理論を全面的に導入したのが大きい」

と語ったのは、第19次調査チーム代表グニルダ・カシナート氏(王立アトス大学近代魔導学科教授)。
今回の調査チームは、近代魔術、精霊学、異界物理学、応用呪術等、最新の魔術理論のエキスパートによって構成されている。さらに地表では、現代錬金術師、魔術医療師、専門祈祷士等のスタッフが万全のバックアップ体制で調査チームを支えている。

現地の調査チームは、

「ドワーフ族はいまだに科学や工学といった迷信に縋っている。我々人間種の魔術師が迷宮を踏破し、彼らに正しい道を示す時がきたのだ」

とコメント。

一方、迷宮図書館を代々管理している氏族のドワーフ技師は、

「迷宮は3万階層あるんだから、エレベーターを使った方がいいんじゃないかなあ」

と、疑念を提示した。

今回の成功を受け、人間種の魔術師協会もドワーフ族の啓蒙に本腰を入れる姿勢を明らかにした。今月中には大隊規模のサキュバス団を派遣し、無意識面から啓発を開始する見込みだ。

極東の魔術師、最大級の魔導機械開発

昨日未明、現在鎖国中である極東の国、倭国が大型魔導機械を新たに発表した。

同国が声明を出すのは52年前の水晶式映像中継の発表以来である。

今回発表された魔導機械は世界初、起動に魔術師による詠唱を必要としない魔法陣を展開するというもの。詠唱者を介さないため、人が立ち入ることのできない場所などの調査が、従来の方法と比べてより容易になることが期待されている。

しかし、魔術師を必要としない代わりに、莫大な量の魔力リソースを必要とするなどの問題点は山積みだとトスリック国立研究所は指摘した。

未だ謎に包まれた国、倭国が発明した水晶式映像中継は50年の時を経て全世界に普及し、愛されている。この発明もそう遠くない未来、人々のあいだで広く浸透し、愛されるようになるのだろうか。

MSDS(魔法技能低下症候群)の治療用魔法をWHOが発表

魔法技能低下症候群(Magic Skill Decrease Syndrome、MDMS)に対する治療と研究を続けてきたWHO(魔術師保健機構)は、6月21日に研究成果のレポートをバベルへと提出した。

MSDSの症状は、突如として魔法の使用が困難になる、あるいは技能そのものを失ってしまうもので、罹患すると魔法の使用で生活が成り立つ現在では致命的ともいえた。

WHOは、MDMSを「個々で貯蔵する魔力源から魔力を取り出す際の不具合」と結論付けた。

魔法を使用する際、体内に魔力を貯蔵する「魔力源」が、魔力を通す「疑似神経」に接続される。擬似神経を通じて魔力を指向性のある形で任意の場所に集めることで、魔法という形で世界に映し出される。その構造上、魔法が使えない原因は、魔力源に接続する疑似神経の不具合により魔力を取り出せないか、そもそも魔力自体が枯渇しているかのどちらかとされていた。

今回研究された魔法は、上記のどちらの場合でも対応できる、極めて画期的なものとなった。

その内容は「外部から疑似神経を通して魔力を流し、魔力源の回復と疑似神経の回復を同時に図る」というものだ。

バベルの定める医療魔法は「体に直接作用するもの」となっており、これまで体に重なった別次元にある魔力源と疑似神経へ作用する医療魔法は存在しなかった。

今回の魔法では、別次元にあるため直接手をさすことのできなかった魔力源と擬似神経へ直接作用する。転移魔法を使用する際の「次元・空間超越の技術」を応用し、体とは別の次元に存在する魔力源及び擬似神経に干渉する、医療魔法と転移魔法を組み合わせたものだ。

実際に運用するにはバベルの認可が必要だが、WHOの発表した画期的な魔法の今後に期待と関心が集まっている。

答えは“無”だった!「あの論争」ついに解決

賢明なる読者の皆様の中にはこの見出しでお気付きになった人もいるだろう。獣の月第7夜の今日「あの問題」がついに解決したのである。そう、重力魔法は土魔法なのか闇魔法なのか、である。

この問題は200年前、魔法界きっての奇人と呼ばれたツヴァイトアイゼン氏が重力魔法を発見したことに端を発する。新魔法実験の過程で重量の増加、果てには光すらも捻じ曲げる謎の力場が発生したのである。これを受け、中央魔法協会は暫定的に光のような非物質にも「重さ」という「力」を与える魔法として「重力魔法」という呼称を定めた。

そして、当時の実験の結果、土・闇のどちらかを基礎としたものであると一応の決定がなされた。魔法が用途による分類のほか、属性による分類が存在するのは言うまでもないが、今回はここに問題が発生した。

この重力魔法は他の魔法との親和性があまりにも高すぎたのである。これを受けて、土、闇の各魔法団体は、重力魔法が自分たちの固有のものであるとそれぞれが主張を始め、「闇なんていう根暗は家でカーテン締め切って寝てろ」「そんなに土いじりが好きなら畑でも耕せばいいだろ」などと議論に関係のない中傷まで叫ばれた。混乱を鎮めるため、ツヴァイトアイゼン氏に聞こうにも氏はこの時すでに魔法実験の失敗により没してしまっている。故に、この問題が今日まで残ってしまったままになっている。

果たして、この問題はいかにして解決されたのか? 理屈は簡単である。中央魔法協会第四支部魔導解析課、通称「智慧の司書」がこの魔法の理論解析に成功し、効果は低いながらも「確認しうる全ての属性」の魔導師が行使に成功してしまったのである。もはや問題は、土魔法なのか闇魔法なのかというところにはない。この結果を受け、中央は見解を変更。この重力魔法を含め、今後同様のイレギュラーが発生したときに備え、新たに「無属性」の魔法を制定したのである。

こうして200年わたる魔導論争が1つ決着を迎えたが、どちらに転ぶかを楽しみにしていた者にとっては、砂利を噛んだような、暗がりに放置されたようないささか味気の「無」い結論を迎えてしまったことは確かだろう。

晴天魔法特許 懸念を払拭

カレンツァ皇国のテロメノ魔導研究所所属の研究員が、通称『晴天魔法』の特許の取得をしたとの発表があった。

テロメノ研究所のマーティン・ラザ・ナーチス所長は報道陣に対して「こんなにも晴れやかな気分なことはない」と笑顔で応える。

従来、天候を雨空から晴天へと変える魔法は、雨雲を消滅させる手段が用いられていた。そのため、誤った対象に用いた場合に大きな被害が出る懸念があった。その改良のために多くの研究所で試行錯誤が行われる中、マーティン所長は厚い雨雲をより広範囲に拡散する方法を模索。しかし、形が常に変動し続ける雨雲を術者の思う通りに動かすのは、繊細なコントロールが必要となり、至難の技であった。

そこで雲が動く方向に指向性を持たせることにし、雲自体が自然に晴れるように動かそうと目論んだ。

そして、雲を動かすのは呼び水の魔法の応用によって実現された。雲が水で構成されているのを利用し、水を引き寄せる呼び水の魔法に着目した。

ただし、従来の魔法式では近くの民家や川からも水を引き寄せてしまう。これに対して、魔法式の改良を行った。

気象再現器具を用いて再三の失敗を繰り返し、2年9ヶ月の時間を経て、吸い寄せる対象を一定以上の高度に限定した独自魔法の開発に成功した。そうして出来た魔法を彼ら研究員達は各国家の共同研究者達に共有。国の四方八方で同時に発動することによって、雨天を晴天へと導いた。

写真はマーティン所長が雲を散らすことの成功に歓喜を表してガッツポーズを決めたところである。マーティン所長は「既存の概念をなぞり、壊し、創り出す。この過程でどれだけの時間を創り出すことに費やしたことか。これまで創造してきた先人達の気持ちがよくわかった。こんなにも晴れやかな気分なことはない」と述べた。その晴れ晴れしさが筆者達にも伝わってきた。