研究

ユエル悪魔生贄条約改正に合意 『生贄』の範囲拡大へ

およそ20年の間、悪魔界にて渉外大臣カラクス・モーム氏との会談を続けていたユエル黒魔術集会交渉チーム『小さな鍵』が、本日未明悪魔界より帰国。「生贄は魂あるものでなければならない」とされていたユエル悪魔生贄条約の改正に合意したことを発表した。

「黒魔術」と一般に呼称される魔術には様々なものがあるが、その中でも特に有名なものが、相応の生贄を捧げることで悪魔を呼び出し、彼らの助力を乞う召喚魔術である。

悪魔は強い力を貸し与える代わりに、人や動物の魂を喰らうものが多い。軽率に悪魔召喚に手を出した魔法使いたちが、徐々に魂を蝕まれ破滅していく事件は古今東西後を絶たない。

悪魔を召喚し契約を交わす際は通常、自らの願いに相応する『生贄』を捧げさえすれば術者の魂にまで手を出されることはない。しかしこれまでの条約には、その『生贄』は魂あるものでなければならないとする制約があった。昨今は動物愛護の観点からそれらを準備することが難しくなっており、術者が魂を悪魔に奪われる事件のほとんどは、生贄を他のもので代用したことが原因となっている。

そこでユエル黒魔術集会ではウィリアム暦136年、生贄の制約を定めた条約を改正するための交渉チーム『小さな鍵』を結成。集会に所属する最高峰の黒魔術師たちの力を集結して門を開き、悪魔界への訪問、交渉を実現した。長引く会談の様子に集会内では不安の声もあがっていたが、交渉チームの全員が五体満足、精神の安定した状態での帰還となったことに、集会の会員からは喜びの声が上がっている。

この条約改正により新たに生贄とすることができるようになったものは、質の良い果実、純度の高い魔力鉱石、魂を込めて制作された芸術品など。サンプルとして『小さな鍵』が持ち込んだ物品の中では、極東のマンガ本が特に好評であったという。

『小さな鍵』代表シェバート・レアム氏は「歴史的にも大変意義のある会談となった。これにより、黒魔術は国内に広く普及していくことになるだろう。私自身も、黒魔術のさらなる発展のため尽力していきたい」と述べた。

また、カラクス渉外大臣はこの会談の結果について「古くからの制約を撤廃することには反対意見も多くあるだろう。だが、時代は絶えず変化している。我々のあり方もまた柔軟に変化していくべきだ」と述べた上で「なお、どうしても納得ができないという者は私を倒しに来るといい。私の心臓を手に入れた者には渉外大臣の椅子をくれてやる」と悪魔界内の反対派を牽制する姿勢をとった。

改正されたユエル悪魔生賛条約は次の新月の日から施行開始となる。黒魔術が安全・安心な魔術として世界に広がる日も近いのかもしれない。

新たな知見、珠世界概念の提唱

異世界研究の第一人者であるセルタニアウス・ナ・ミア氏は異世界の概念について新たな知見を明らかにした。

時、空間、意識で形作られている我々の三次元世界は、多次元的展開をしても時、空間、意識からは大きく離れない。

並行世界は縦を時間軸、横を可能性軸、そして点を意識と置けば考えやすいであろうか。

我々は三次元に生きているが、意識を高次元に持っていき、俯瞰から除けば我々の三次元は広い布に落ちた点である。これをセレタニアウス氏は織世界と名付けた。

それを念頭においた新たな概念が珠世界である

珠世界とは、どこにでもいていつでもあって個が全であり全が個である世界だ。

この世界では時間がくるくると回っている。

と共に固定の場所がない。

もし我々、織世界の意識が珠世界に行ってしまった場合、珠世界に溶けて消える。

セレタニアウス氏は妖精や神霊の類はこの世界線で存在していると思われると語った。

精霊分野はまだまだ不明瞭なことが多く、また研究もしづらいため、この概念を用いれば彼らの世界を我々の意識に落とし込めるかもしれない。

並びに珠世界概念が発展し、呪文に流用できるようになれば不完全であった永久保存魔法や時の加速、時間の干渉を超えた研究などさまざまな分類が発展するであろう。

この新たな概念は是非深まっていってほしいものである。

テレポートデブ解消!? 魔法が解けると溶ける肉ダイエットに迫る

昨今の流行語にもノミネートされた「テレポートデブ」。

自分を別の空間や位置に転移させるテレポーテーションは比較的高度な魔法であるが、皮肉にもそれを使いすぎてしまったがため運動不足となり、肥満に陥ってしまった個を指して自虐的に用いられる言葉だ。

一度詠唱法を覚えてしまった個にとってみれば、テレポートの頻度を下げる事はなかなか難しい。肥満は病気などにも繋がりやすいため、テレポート可能な魔法使いの悩みの種になっている。

そういった人たちにとって”強い補助魔法”になりそうなダイエット法が、今流行の兆しを見せている。それが「溶け肉」ダイエットだ。

溶け肉とは、動物の肉に極力近付けて魔法で作られた魔導的生成物で、形や柔らかさ、匂いなども普段食事している肉に近いという優れもの。

名前の通り、体内で一定時間が経過した後に溶け、ほぼ水や二酸化炭素、魔素などのような物体となり消えてしまうのが特徴で、エネルギー摂取も同じ重さの肉を食べた時に比べ数%程度(つまり、90%超のカット)と非常に低い。

魔法による生成物は、一般的に時の経過や強い衝撃などで消えてしまう場合が多く、食品としては非常に限られたシーンでのみ使われてきた。

しかし、イルヴァディナ地方・コド西部のヒーユ魔導総合研究所の研究チームによって、消えてしまうという特性を逆手に取ったダイエット法として考案・開発され、「対象者の5%の脂肪が(このダイエット方法によって)消滅した」と発表されたのち、イルヴァディナをはじめ、各所でブームとなった。

チームのル・オタ・フモール研究員は「ともかく、皆さんに健康的に、そして心理的にも万全に受け入れてもらえてよかった。『溶け肉』の他にも、『溶け野菜』『溶けエーテル』なども開発し、幅広い種の方のダイエットを応援したい」「研究チームにもいわゆるテレポートデブのオークがいるが、彼のダイエットも無事成功した。『溶け肉ダイエットという魔法が、ずっと解けないといいね』と言うと、『ほっとけ』と返してくれた」と話した。

また、専門家は当編集部に対し、「おいしく食事をしながらダイエットができるのはとても良い事」「(溶け肉は)当然消えてしまうので、栄養の管理は今まで以上に大切。運動を大切に、また種族や身体に合わせた栄養素・魔素を摂取し、栄養失調にくれぐれも気をつけてください」とコメントした。

未踏深域<Gokshqi>ついに踏破! 調査隊74年ぶり快挙

世界には、まだ知られていない謎が無数にある。誰も足を踏み入れたことのない場所――”未踏深域”もその一種だ。

世界地理院を初めとして、多くの政府・団体が長年にわたり調査を進めているが、踏破に成功したのはいまだ全体の一割にも満たないと言われている。

そんな未踏深域のひとつである<Gokshqi>、一般名「アーカー地下大空洞」をついに踏破したとして、探検家エシュラ氏の率いるエシュラ調査隊が地表への凱旋を成し遂げた。前回、大空洞の構造に関する有力な情報が得られた本調査から、実に74年もの時を経て、再びその名を世界に轟かせることとなった。

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魔女の森の不法投棄、別次元からの漂流物か

投棄者が一人も見つからないことで問題となっていた魔女の森における不法投棄に関して、平行次元管理課(以下 管理課)から思わぬ可能性が示唆された。

なんと我々が不法投棄だと思っていたものは別次元からの漂流物だった、というものである。
管理課の調査によれば、魔女の森は大気中のマナ濃度が非常に高く、別次元へ繋がる“ひずみ”が生じやすい。投棄物はそのような“ひずみ”を介して我々の世界へとまさしく「漂流」してきたのだと言うのである。

今まで疑問に思われていた投棄物の謎は、「投棄者が見つからない」だけではない。「機械でありながら魔力炉を備えていない」「動力と見られるものが可燃性の液体のみである」などの特徴から、その出自についてかねてから疑問視されていた。
管理課の発表はこれらの謎に答えるものであり、可能性としては大いに説得力のあるものであった。

今回の発表が真実であれば、不法投棄物の山は平行次元調査の貴重な宝物庫になるだろう。しかし一方で、“ひずみ”発生の法則などについては、いまだに明らかになっていない。

引き続き管理課の調査に注目していきたい。

異世界からの手紙は真実だった? 都市伝説から考える「次元超越」の可能性

知らない言語やこの世界のこととは思えないような文書が存在するという、都市伝説がありますね。

実際、魔法書ネットには時折架空の文書と疑われるようなものが見受けられ、運営に削除されています。一部の界隈では「異次元のからの手紙では?」と言われてきましたが、昨今の研究であながち間違いではない可能性も出てきました。

今回は、酔狂な研究者が発表した研究成果を利用して異次元への可能性について考えたいと思います。

【本記事の内容】
・都市伝説「超越文書」
・そもそも次元を超えるなんて可能?
・他の次元へ行けるようになる?
・なぜ難しい? 転移魔法の限界
・まとめ

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ウロル国のパスダーピナ幻獣園、世界で初めてユニコーンの繁殖に成功

先月27日、ウロル国にあるパスダーピナ幻獣園でユニコーンの赤ちゃんが誕生した。

ユニコーンは、その希少性の高さから剥製目的で乱獲され、現在は大きく数を減らしている。そのため、様々な機関がユニコーンの絶滅を回避しようと研究を重ねているが、今回の件がそれらを大きく前進させることは間違いないだろう。

ウロル国立メルカヒルド大学幻獣学部の教授マルヒトッヒ・フリードリヒ氏は「ユニコーンの繁殖方法は長らく未知の領域だった。今回の記録は非常に貴重なものであり、必ずやユニコーンを救う鍵になる」とコメントした。

また、パスダーピナ幻獣園のユニコーン担当飼育員は「出産日前は心配で仕方なかったです。ユニコーンの出産は初めての連続で……。でも本当に無事に産まれて来てくれてよかったです。ある程度大きくなったらお披露目も考えていますので、ぜひ見に来てください!」と目頭を熱くして語っていた。

パスダーピナ市ではすでにユニコーンの赤ちゃんに乗じたグッズが展開されており、ユニコーンの赤ちゃんの市場効果への期待は高まっている。

パスダーピナ幻獣園のユニコーン親子は今月末までは休養させ、その後、状態をみて一般公開される予定だ。

使い魔界に新風吹く、トイケルベロス誕生

この度、ディジョアン国立魔法生物研究所は、ケルベロスの小型化、ひいては新種となるトイケルベロスの繁殖に成功したとの報告を発表した。

従来のケルベロスはその番犬としての性質の高さから、古くは神々の門番として生活を共にしてきた。人間界でも門番として彼らを迎え入れたがる一部の人々がいたが、その気性の荒さと飼育の難しさから悲劇的な事故が後を絶たなかった。

しかしながら、研究を積むこと幾星霜。度重なる品種改良を経て、ようやく人間界でも馴染めるケルベロスが誕生し、近年は番犬として生活に溶け込むようになってきた。

その裏で、新たにケルベロスの飼育問題も起きている。

郊外等、居住スペースがある家であれば庭で放し飼いをするだけの十分な余裕が確保できるため、飼育に際して特段大きな問題は見受けられないが、都市部での飼育となると話はまた変わってくる。

人口密度の高い都市部ともなれば、飼育スペースの確保が難しいことやストレス発散のための散歩をすれば、「子供たちに襲いかかってきたら、責任はどう取るのか?」などの問い合わせが頻発することにより、近所の目を気にしながら世話をする飼い主、十分な散歩や遊びが出来ないケルベロスと共にストレスを抱えながら生活を送るという現状があった。

そうなってしまうと、都市部の飼い主は泣く泣く郊外のケルベロス保護施設へ愛犬を手放さなくてはならなかったりした。

こういった飼い主はまだ良い方であるが、中には無責任な飼い主もおり、「思っていた以上に大きく、世話が大変になった」との理由で成犬のケルベロスを捨てる者も後を絶たない。

このような無責任な飼い主に捨てられてしまったことにより、ケルベロスの野生化が近年問題視されている。(この問題は後日、使い魔の野生化問題で取り扱う予定である)

その一方、市場ではケルベロスを番犬として迎えたいと考えている人々は60%近くいるとの調査結果も同研究所より発表されており、飼育問題の効果的な解決作策も無いまま需要は高い。

そこで、ディジョアン国立魔法生物研究所では、都市部や単身者でも飼いやすいケルベロスを生み出すことはできないかと永らくケルベロスの小型化に携わってきた。

勿論、品種改良の研究に当たっては好意的な意見もあれば、「遺伝子を操作することは生命への冒涜だ」という批判的な意見も見受けられた。同研究所においては、この度の研究は「遺伝子操作(キメラ生成)」ではなく古来より取られている自然交種での改良であることを約束し、研究を進めてきた。

そして、この度めでたくその結果が実を結んだのだ。

今回、交配種として選ばれたのは古来種のトイプードル(オス5才)であり、父親になった彼は別室にてわが子の誕生を職員と一緒に見守っていた。

産まれた仔犬は、全部で3匹で、性別についてはオスの仔犬が2匹、メスの仔犬が1匹で母子ともに健康とのこと。仔犬の大きさはおよそ6~8センチ程であり、元来のケルベロスの仔犬の20分の1程の大きさである。成体についても最終的には30センチ程で成長が止まる見込みとのことだ。

メディアを含めた一般への公開に当たっては、仔犬たちが産まれて間もないことと、母体のケルベロスが出産直後とのこともあり、仔犬たちの公開時期については現在未定であるが、離乳時期を目処に公開を検討していると所長のシャリーゼ氏は発表した。

また今後、トイケルベロスの繁殖に当たっては特定のライセンスを持ち得るブリーダーにしか許可を出さない方針を同研究所は発表し、ライセンスの制定においては政府と相談しこれから調整をしていくとのことであった。

トイケルベロスが新たなパートナーとして人々の生活に馴染むのはまだもう少し先の話になりそうではあるが、まずは何より今回産まれた仔犬たちが無事に成長をすることをただただ願うばかりである。

人類種初、迷宮図書館200階層を突破 最新の魔術理論チームが快挙

世界で2番目に深いとされるダンジョン「ドワーフ族の迷宮図書館」に挑戦していた調査チームが、「現地時間の今日午前3時25分に、200階層への到達に成功した」と王国に無線糸電話で伝えたことが分かった。

迷宮図書館は、4000年前に当時のドワーフ王が蔵書保存のために建設したとされるダンジョン。
調査チームは当初の計画通り、60日で深度2500㎞を下り、地下200階層へ到達した。王国は先王の代から幾度も調査チームを派遣してきたが、200階層到達を達成したのは今回が初めて。
前回までの調査では危険な罠や凶暴な司書生物に阻まれ、最高到達記録は40階層に留まっていた。

今回、大きく到達階層を伸ばした調査チーム。その快挙の秘訣はなにか。

「最新の魔術理論を全面的に導入したのが大きい」

と語ったのは、第19次調査チーム代表グニルダ・カシナート氏(王立アトス大学近代魔導学科教授)。
今回の調査チームは、近代魔術、精霊学、異界物理学、応用呪術等、最新の魔術理論のエキスパートによって構成されている。さらに地表では、現代錬金術師、魔術医療師、専門祈祷士等のスタッフが万全のバックアップ体制で調査チームを支えている。

現地の調査チームは、

「ドワーフ族はいまだに科学や工学といった迷信に縋っている。我々人間種の魔術師が迷宮を踏破し、彼らに正しい道を示す時がきたのだ」

とコメント。

一方、迷宮図書館を代々管理している氏族のドワーフ技師は、

「迷宮は3万階層あるんだから、エレベーターを使った方がいいんじゃないかなあ」

と、疑念を提示した。

今回の成功を受け、人間種の魔術師協会もドワーフ族の啓蒙に本腰を入れる姿勢を明らかにした。今月中には大隊規模のサキュバス団を派遣し、無意識面から啓発を開始する見込みだ。

極東の魔術師、最大級の魔導機械開発

昨日未明、現在鎖国中である極東の国、倭国が大型魔導機械を新たに発表した。

同国が声明を出すのは52年前の水晶式映像中継の発表以来である。

今回発表された魔導機械は世界初、起動に魔術師による詠唱を必要としない魔法陣を展開するというもの。詠唱者を介さないため、人が立ち入ることのできない場所などの調査が、従来の方法と比べてより容易になることが期待されている。

しかし、魔術師を必要としない代わりに、莫大な量の魔力リソースを必要とするなどの問題点は山積みだとトスリック国立研究所は指摘した。

未だ謎に包まれた国、倭国が発明した水晶式映像中継は50年の時を経て全世界に普及し、愛されている。この発明もそう遠くない未来、人々のあいだで広く浸透し、愛されるようになるのだろうか。