生物

調理の杖 〜グリフォン〜

グリフォンとは、その多くがコーカサス地方の山中に生息している、鷲の上半身に獅子の下半身を持つ魔法生物である。魔法界ではその気高さ、厳かさから、古来より王家の紋章に入れられることが多く、王の象徴ともされたという。

第1回目は、この王家の獣、グリフォンを「食」の観点から紹介する。

グリフォンを「肉」として見たことのある魔法使いはほぼ居ないだろう。そもそも、誇り高く賢いグリフォンを狩るのはドラゴンに鼻炎薬を飲ませるのと同じほど難しく、心得のある狩人でなければ狩りは不可能である。そして、その肉も非常に高価であり、今や「グリフォンを食べる」という文化自体が薄れつつあるのが現状だ。

しかし、実際グリフォンの肉にはスタミナと魔力の増強効果があり、さらに大昔には、「戦の前に戦士たちが皆グリフォンの肉を生で食べて精をつけていた」という文献が残っているほど、グリフォンとは魔法使いに身近な食材であった。

まず調理法だが、グリフォンを食べるにあたり、グリフォンは成熟すると肉が固くなり、味もかなり獣臭くなってしまうという難点がある。ハーブとショウガ、マンドラゴラ(別名マンドレイク)の葉をすり潰して混ぜたものでよく揉み、一晩ほど漬ければ獣の臭みは消えるが、肉の硬さは消えない。また、グリフォンの細胞は魔法に抵抗を持ち、魔法をほとんど通さない為、切り裂き魔法等の調理魔法は効果がない。

しかし、グリフォンの体の緊張を解く効果がある瑪瑙(めのう)を用いて肉をよく叩くことで、肉がほぐれ、ほどよい柔らかさになる。あとはこれをオーブンで焼くだけだ。

グリフォンの肉は鶏肉に似た食感を持ち、まろやかにした山椒のような風味が特徴だ。味付けにスパイスやソースを加える必要のないその独特な風味は、決して他の獣にはない、グリフォンならではの味わいだろう。

かつては知恵と王家の象徴にされた獣。

貴方も是非1度、彼らを味わってみてはいかがだろうか。

新種? 「ざしきわらシルキー」発見

グローバル化の進行により国際結婚、異種族間結婚も珍しくない時代になったが、このたび非常に珍しい、妖精と妖怪の異種族間結婚による新種が発見された。

仮称は「ざしきわらシルキー」。その名の通り座敷童とシルキーの間に生まれたと考えられ、実際に発見された当時は座敷童の住む旅館(写真)にて、シルキーと座敷童の間に挟まれる形で仲睦まじく寄り添っていた。

親のシルキーは、イギリスの古い魔法使いの家系に代々仕えている妖精である。当代主人が日本に留学する際に着いていき、座敷童と出会ったと考えられている。

「ざしきわらシルキー」の見た目は二種の中間であり、真っ白な肌にプラチナブロンドの髪をおかっぱに切りそろえ、白い絹の小袖を着ているという。

王立アトス大学精霊学部教授コルネリア・ライバドール氏は、「過去に例のない交配種です。シルキーは家の手伝いをする妖精、座敷童は家に幸運を与える妖怪です。どちらも“家”につく精霊であるため、お互い親しみを持ったと考えられます。新種を妖精と分類するか、妖怪と分類するかはいまだ議論中です」と発表した。

 

山林で遺体発見 ドラゴンによる被害か

王都ウィザナリア辺境の山林で大きなモンスターに噛みちぎられたとみられる身元不明の遺体が見つかっていたことが、王都遠征隊への取材で判明した。現場付近では昨年6月、ドラゴンに襲われたとみられる60代魔女が死亡したほか、毎年ドラゴンの目撃情報が相次いでおり、同隊はドラゴンによる被害の可能性もあるとみて死因や身元の特定を急ぐ。

同署によると25日午前8時40分ごろ、行方不明者の捜索をしていた同隊員らが、うつぶせで倒れている遺体を発見した。損傷が激しく性別は不明。黒いローブらしきものを着ていたが、身元特定につながる所持品はなかった。近くに杖が落ちていたことから、遺体の持ち物とみて照合し調べを進めている。

付近では、マンドラゴラなどを取りにきていた王都在住の魔法使いの男性(66)が14日から、付近の村の男性(78)が18日からそれぞれ行方不明になっており、近くで2人のホウキが発見されている。

決め手はもふもふだった 梟と結婚する女性現る

古くから魔法使いたちが使役し生活を共にしてきた愛すべき猛禽類、梟。使い魔としてのみならず、家族として親しみを持つ魔法使いも多いのではないだろうか。そんな梟と永久の愛を誓ったという驚くべき女性が現れた。

女性の名前はロゼッタさん(29歳)。多くの魔法使いが暮らす閑静な港町で、ポプリの専門店を営む魔女だ。彼女は幼い頃に両親を亡くし、それ以来使い魔の梟であるバドくんと共に、一人と一匹で暮らしてきた。

「バドはとても賢くて優しいんです。私は今までなんとかして家族が欲しくて、色々な男性とお付き合いをしてきました。けれど今まで一人で散々自由に生きてきたから、どうにもうまくいかなくて。それで、最近ようやく気がついたんです。私が心を許せるのは、世界でただ一匹、バドだけだって。バドのふわふわの毛並みに触れている時、私は世の中で一番の幸せ者だって思います」

幸せそうに語るロゼッタさんの肩の上で、バドくんがどこか誇らしげな顔をしていた。

ロゼッタさんは昨年12月に魔法市役所にバドくんとの婚姻届を提出し、なんと先月2日にこれが正式に受理された。この驚くべき出来事に対し、婚姻届を受理した市役所の職員は「これをきっかけに、狼男や半魚人などの異種族との婚約も気兼ねなくできるようになればと思った」と、最近問題視されている異種族間での婚約について触れた。

バドくんとロゼッタさんは来月、結婚式を開く予定である。式にはバドくんの友人の梟も呼び、ネズミやコオロギなどの料理も振るまわれる。

【気象情報】各地に異常寒波襲来 氷竜不調か

季節外れの寒波が襲来し、政府が防寒の徹底を呼びかけている。

原因について、専門家たちは「アイスドラゴンの風邪」とおおむね一致した見解を出している。

筆者が国境なき魔法医師団に取材を試みたところ、拠点はもぬけの殻であり、机の上には「氷竜に風邪薬を届けに行ってきます」とメモだけが残されていた。

アイスドラゴンは『世界の果て』に棲む1頭の巨大な竜である。この竜が一日に一度吐き出す氷点下の息は、世界の果てからはるばる海を渡ってこの大陸までやってくる。海を渡るあいだに温度が上がり、たくさんの水蒸気を含んだ空気の塊となって大陸へ到達、各地に雨をもたらすのである。

しかしアイスドラゴンが風邪をひいてしまった場合、吐き出す息の温度は絶対零度付近にまで下がり、息は氷点下のまま大陸に到着してしまう。

今回の寒波はそれが原因であると予想されている。

温暖な気候で知られるアンガスの森では、数百年ぶりに樹木に霜が降りた。

アンガスの森で暮らすエルフたちも異例の事態にてんてこ舞いだ。

「耳当てがね、ないんですよ」

エルフ族・ヴェイナ氏は語る。

防寒着の備えがなかったため町に出ていろいろと買い込んだはいいものの、耳当てだけが見つからなかったという。

「ほら、私たちって他の種族より耳が長いでしょう? 普通の耳当てだと、飛び出しちゃって意味がないの。だからって無理に折り曲げると痛いし、ねえ」

ヴェイナ氏の両耳には、机の脚に着けて床に傷が入るのを防止するためのカバーがすっぽりと被せられていた。

「あっ、これは代用してるだけなの。あんまり見ないでっ」

人々は寒そうに俯き、足早に行き交う。普段は活気がある町もなんだか静まりかえっている。と思ったら、公園のほうからは元気そうに遊ぶ子供たちの声が響いてきた。

「アイスドラゴンさんがいる『世界の果て』って、とっても寒いんでしょう? 風邪ひいちゃうぐらい寒いところにずっといるなんてかわいそう。わたし、いつかアイスドラゴンさんにも着られるようなおっきなコートとマフラー編んで、届けにいってあげるの!」(公園で遊んでいた女の子)

寒空の下で取材してまわっていた私は今にも凍えそうであったが、心はほかほかと温まった。

アイスドラゴンの棲む『世界の果て』までは最短でも1週間かかるため、寒波もあと1週間は続くとみられている。

風邪などをひかないよう、しっかりと防寒対策をおこなってほしい。

雨期到来。可愛い”妖怪”にご用心!

今年も雨の多い季節がやってきた。
視界が悪くなり、事故も増えるこの時期、注意しなければならないものがもう一つある。

それは、最近この地域でも時折みられるようになってきた極東の妖怪「すねこすり」である。

すねこすりは、極東のとある地域に生息している小型の犬や猫(※通常種)と同等の大きさの生物であるとされ、雨の降る深夜に出歩いている人間の足の間に体を擦りつけていく”妖怪”である。

見た目は犬や猫に似ているとされているが、その生態はまだよくわかっていない。

普通に歩いていたらなにか毛の塊が足を撫でていった、足をこすっていった、という証言が時折聞かれる程度である。

歩きにくくなる以外は大きな被害は出ないが、力の弱い子供や高齢者などはそのまま転倒する恐れがあるため、注意が必要である。

しかしその一方で、すねこすりを一目見たい、触れ合ってみたいという魔法使いが増えており、雨の日の深夜にわざと外に出る人が増加している。

害のある妖怪という訳でもないため、すねこすりを無暗に怖がらせたりしないよう、東洋魔術協会から警告が出ている。

七人御佐姫、平均5.8人である事が判明 少子化影響か

【社会面・話題】
七人御佐姫
平均5.8人であることが判明 少子化影響か

厚生労働省によると2017年6月時点での全国国霊調査により判明。

七人御佐姫は一般的に7人で現れ、1人をとり殺すと現メンバーの1名が成仏、新たにとり殺された1名が新メンバーとなるシステムで運用されている。

しかし近年では1名が補充される前に既存メンバーが主に「飽きた」「別の尊みを見つけた」「メンバーとの音楽性の違い」などの理由から任意に成仏してしまう事例が増えているとのこと。

識者によると「少子化が背景にある。子供の山や海辺での活動が減少し、七人御佐姫との遭遇数そのものが減少していることがあるようだ。

また狐・狗・狸による神隠しや山への誘導も通信機器技術の発達により減少している。

こちらとの関連も調査が必要」とのことで、詳細な調査の実施が待たれている。

史上最年少のドラゴン遣い誕生 “最凶”のドラゴンを手懐ける

魔法使いとドラゴンの間で発生した大規模な戦争の影響で一時荒れ果て、最近復興を果たしたばかりのタルムの森で先日、驚くべき出来事が起こった。

「息子が大きな金色の卵を持って帰ってきたときは、本当に驚きました。危険だから捨てるように言ったのですが、言いつけを破ってずっと隠していたみたいで……」

戸惑いを隠しきれない様子でそう語るのは、先の戦争で多くのドラゴンを討伐した英雄、ジャネットさん(32歳)だ。彼の一族は古くから凶暴なドラゴンを討伐し、魔法界の平和を守ることを生業としてきた。

そんな中、彼の一人息子であるオリバー君(6歳)が驚くべきことを成し遂げた。我々魔法族を脅威に晒してきたドラゴンの中でも「最も危険」と言われるアルファルド・ドラゴンの卵を孵し、手懐けることに成功したのだ。

「名前はヴィーっていうんだ。もちろん僕が名付けました。ヴィーは甘えん坊で、いつも僕にくっついて離れないんだ。僕たち、とても仲良しなんだよ」

そう語るオリバー君の腕の中で、ドラゴンの子供が丸まって眠っていた。

この出来事は魔法生物学会に大きな衝撃をもたらし、多くの魔法生物学者たちを震撼させた。世界的権威とも言われるランドン・アンダーソン博士(156歳)は「今まで多くのドラゴンを研究してきたが、人間の腕の中で眠るアルファルド・ドラゴン種というものは見たことがない。この種はドラゴンの中でもとても凶暴であり、それ故に研究データもとても少ない。今回の一件で、魔法族とドラゴンの関係に大きな変化が訪れるだろう」と述べている。

長年争いを続けてきた魔法使いとドラゴンの間に、革新が巻き起こるかもしれない。小さなドラゴン遣いの誕生に、今後も目が離せない。

マンドレイク「抜いてみた」で青年3人重軽傷

動画サイト「Magitube」で人気を集めるマギチューバーの青年3人が、動画配信中に重軽傷を負った。

配信内容は「マンドレイク抜いてみた」。マンドレイクは数百年ほど前まで各地で多く見られた植物だが、現在はその数が激減し、国によっては天然記念物に指定されている。過去には魔法薬の原料として重宝されていたが、株数が減り、代替となる材料が多く見つかったため、マンドレイクが市場に出回ることはほとんどない。

青年たちは「マンドレイクを抜くと、伝承通り正気を失うのか?」というテーマで動画配信を開始。マンドレイクが生息するマリトーラの原生林(写真)に入り、見事に大ぶりなマンドレイクを発見した。

しかし、不用意に引き抜いたところ伝承通りの大絶叫。青年3人のうち2人はその場にうずくまり、その後めちゃくちゃな動きをしながら近くの木に頭を打ちつけるなどして、額を3針縫う大怪我を負った。残る1人は事前に耐魔力を込めた薬を耳に塗っていた為、ふらついて転び、膝を擦りむいただけだった。

現在生息するマンドレイクは他の野生種と交雑を繰り返しており、伝承のマンドレイクほど毒性が強くない。絶叫を浴び、発狂の末昏倒した青年たちも数時間後に目を覚ましたが、配信の前後のことはまったく覚えていないという。

マリトーラ原生林の管理人は、「まねしてマンドレイクを探しに来る人たちが出るので、これに懲りたら今後はこのようなことをするのはやめてほしい」とコメントした。

もふもふしたい人集まれ! カーバンクル品評会

最近疲れている、癒しが足りない……。
そんなあなたに、可愛らしいイベントのお知らせです。

来月1日~3日の3日間、イッシュヴゥリテ地区にて、カーバンクルの品評会が開催されます。

本品評会は出場枠が3部門に分かれており、ネコ型、ウサギ型、リス型の各部門で入賞した上位2組が、この秋に開催される国際大会の出場権を手にします。

品評会の審査基準は、額の宝石の輝きのほか、毛並み、特技、飼い主とのパートナーシップの強さなど、10項目ほどに渡って厳しく審査されるとのことです。

また今回のイベントでは、品評会と並行して、カーバンクルとの触れ合いコーナーや里親募集コーナー、ブリーダーによる育成アドバイスなどの企画も充実。昨年の地区チャンピオン達によるデモストレーションも開催されます。

この機会にぜひとも愛らしい彼らに会いにいきませんか? 癒しとともに新たな出会いがあるかもしれませんよ。

イベントに関する問い合わせは、カーバンクル品評会委員会までご連絡くださいませ。