若い世代の魔法が前時代化?その意外な理由とは

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魔法の発展において、「術式の簡略化」「発動の高速化」は長らく大きな課題とされてきた。

余分な過程を省略し、速く、正確に、狙った効果だけを発動させる。それが優れた現代魔法の条件である。

しかし近年、若い世代で古い形式の魔法が流行しているという。細かい魔法陣を描き、長い時間をかけ、派手な光や爆発と共にやっと小さな魔法がかかる……そんな時代錯誤な魔法に、若者たちは意外な観点から価値を見出していた。

「だって、派手な魔法は《映える》じゃないですか」

筆者がインタビューした王立アトス大学2年のリリーナ・アイビィ(仮名)は、そう言って鉱石型スマートフォンの画面をスクロールしてみせた。流れていくのは鮮やかな光や色をまとう、害も益もない魔法と笑顔の若者たちの写真。

「これは先週末、友人と一緒に撮りました。花の精霊を呼び出す魔法なんですけど、ほら、魔法陣から既にカワイイじゃないですか」

精霊のつかさどる植物をかたどった魔法陣を、その花の色のインクで描いていく。確かに面倒だが、過程からして美しい魔法ではある。

「多少めんどくさくても、綺麗な魔法は使ってみたいし、友達みんなで協力して何か一つの魔法をかけるのって楽しいです」

魔法をかける過程から写真に残し、SNSのMapitterや、Toristagram(写真投稿中心のSNS)に投稿するのだという。

奇妙なきっかけではあるが、古典魔法に若い世代が価値を見出したという事は貴重な事象である。今後は学問の分野でも何か新しい発見が期待できるだろう。

 

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