6000年の威光が崩壊の危機 強引な学術調査に批判が集中

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6000年の間存在していたアクストゥム神殿の荒廃が、ここ半年で大幅に進んでいる。

アクストゥム神殿は、現在ではすでに失われた人柱による時間停止魔法が使われていると考えられており、その調査は失われた古代魔法の解明に向けた大きな一歩になると思われた。試掘調査ののち、半年前から長期にわたる発掘調査が続けられているが、それに伴いアクストゥム神殿の荒廃が一気に進んでいることが問題視されている。

アクストゥム神殿が建立された理由は定かではない、しかし、確かなのは6000年の間に様々な災害、戦災に巻き込まれたと言うことである。エラム帝国滅亡時において、エラム王族が神殿に立てこもった際に反乱軍による攻撃が行われたものの、傷一つ付かなかったという。実際に保存行為が一切行われていないにもかかわらず、石製の床には一条の傷もなく、壁にはしみ一つなかった。

しかし、現在の神殿は見る影もなく荒廃している。真っ白だった壁は剥がれ落ち、黄金に美しく輝いていた鐘は錆が目立つ。荘厳な柱は既に折れる寸前のようなありさまだ。その原因は、おそらく発掘調査によって見つかった数百人に及ぶ死者の遺体を持ち出したことにある。その遺体はおそらく神殿建立時に埋められたものとみられるが、つい先ほどまで生きていたような瑞々しい状態を保っており、人柱による時間停止魔法の証明であると現場は歓喜に包まれた。詳細を調べるため、神殿外に遺体を持ち出したところ、6000年の時を埋めるように腐敗が進み、翌日には白骨化してしまったと言う。この時、柱に亀裂が走るような音を聞いたと調査員が複数いたことが報告されている。

調査以前から時間停止魔法が解除された場合の危険性には様々な学者から指摘がなされており、調査団はその反対意見を押し切る形で調査を開始した。現在も調査責任者は沈黙を保っているが、このまま調査を続行するのか、はたまた保存を優先して新たな方法を模索するのかは定かではない。どちらにしても、強引な学術調査を行うその研究姿勢には今後も批判が集まりそうだ。

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