日刊森のアナグマ グリフォン便の今に迫る。

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「グリフォン便」、少しばかり割高ではあるがフクロウ便や古来からある煙突便に比べると、配達時間のぶれも無く、また煤で汚れてたりもしないことで人気を博した郵便、宅配方法。

今や宅配業者だけではなく、地方の魔法郵便局ではなくてはならない存在となっている。だがそのせいでグリフォンとその騎手たちは過酷な労働を強いられているようだ。

日本がグリフォン便に使うグリフォンは、メキシコから輸入されてきた多くのメキシカン・ブラックレッグ種と少数の日本原産チャイロタカジシ(英名にするとジャパニーズ・ホークアイ種)によって構成されている。

ブラックレッグ種は、大きい体と太く黒い足が特徴的なグリフォンであり、その体の大きさを生かした宅配が主となっている。

一方で、チャイロタカジシは、数百メートル下の獲物さえも見えるという優れた視力、急降下して獲物を狩るために必要な小さい体、その体を包むような特殊な翼のたたみ方をするグリフォンで、こちらは主に郵便を担当している。

どちらも優れたグリフォンで、時には人間を日本の南の端から北の端まで運べるほどの持久力も持ち合わせているのだが、その持久力でもさえも参るくらいの仕事量が押し寄せているのが現状なのだ。

「グリフォンたちも休憩なしで働きづめです。私たちと同じく日に三食は必要なのに、昼食は飛びながら鼠を数匹というありさまで、中には食べられない子もいます。また騎手たちも地面に降りたら走って荷物を届けてまた駆け足でグリフォンに乗ると急上昇。昼食昼休み返上で働いており、空にいる時間の方が多いこともあります」

そう語るのは魔法郵便局に勤める、高鷲元博さん(32)である。彼はグリフォンの乗り手であり、この業界に入って12年目となるベテランだ。

「また、魔法生物の規制が厳しい日本では、グリフォンに乗るために様々な試験を受けなければなりません。これが人数不足理由の一つでもあります。さらに多くのグリフォンは一度乗せた相手以外の者を乗せたがらないという習性も相まって、グリフォン自体の数も少ないのです」

空を飛ぶ魔法生物の騎乗は、外国では基本的に「飼育許可証」と「飛行魔術の免許証」があれば許可される国がほとんどだ。しかし、日本ではこれに加えて、「日本魔術教会飛行技術検定の二種以上」「国家資格である飛行通信魔術士」の資格が必要であり、かなりの努力が必要となる。これが、グリフォンの騎手不足にそのまま直結しているのだ。

またグリフォンの方も、最初に自分に乗った人間以外が背中に乗ろうとするのを嫌い、騎手が自分以外のグリフォンに乗ろうとすると激しく嫉妬するのだ。なので他のグリフォンに代わる代わる乗るということもしにくい。

「これではグリフォンか、騎手か、どちらかが近いうち墜落することになります。サービスが向上することは良いことだが、それを支えている動物たちのことも少しだけ考えてほしい」

そういって心配する高鷲さんの目もまた疲労の色を隠しきれていなかった。

確かに便利で、安全なグリフォン便。今ではその日に配達を売り文句にする配達業者もあるが、会社の信頼が地に落ちる前に彼らの墜落を危機を止めるべきであろう。これ以上彼らの悲報を記事にしない未来を祈りつつ、鉄の鍋蓋銀行頭取ドワーフ、石中正弘氏の名言を引用してこの記事を終わりにしたい。

たまたま洞窟でミスリルを掘り当てたからと言って、その穴全てを掘るべきではない。眠る悪鬼が目を覚ます。

日刊森のアナグマ ライター 御手洗団子

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