晴天魔法特許 懸念を払拭

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カレンツァ皇国のテロメノ魔導研究所所属の研究員が、通称『晴天魔法』の特許の取得をしたとの発表があった。

テロメノ研究所のマーティン・ラザ・ナーチス所長は報道陣に対して「こんなにも晴れやかな気分なことはない」と笑顔で応える。

従来、天候を雨空から晴天へと変える魔法は、雨雲を消滅させる手段が用いられていた。そのため、誤った対象に用いた場合に大きな被害が出る懸念があった。その改良のために多くの研究所で試行錯誤が行われる中、マーティン所長は厚い雨雲をより広範囲に拡散する方法を模索。しかし、形が常に変動し続ける雨雲を術者の思う通りに動かすのは、繊細なコントロールが必要となり、至難の技であった。

そこで雲が動く方向に指向性を持たせることにし、雲自体が自然に晴れるように動かそうと目論んだ。

そして、雲を動かすのは呼び水の魔法の応用によって実現された。雲が水で構成されているのを利用し、水を引き寄せる呼び水の魔法に着目した。

ただし、従来の魔法式では近くの民家や川からも水を引き寄せてしまう。これに対して、魔法式の改良を行った。

気象再現器具を用いて再三の失敗を繰り返し、2年9ヶ月の時間を経て、吸い寄せる対象を一定以上の高度に限定した独自魔法の開発に成功した。そうして出来た魔法を彼ら研究員達は各国家の共同研究者達に共有。国の四方八方で同時に発動することによって、雨天を晴天へと導いた。

写真はマーティン所長が雲を散らすことの成功に歓喜を表してガッツポーズを決めたところである。マーティン所長は「既存の概念をなぞり、壊し、創り出す。この過程でどれだけの時間を創り出すことに費やしたことか。これまで創造してきた先人達の気持ちがよくわかった。こんなにも晴れやかな気分なことはない」と述べた。その晴れ晴れしさが筆者達にも伝わってきた。

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