呪いの藁人形を現世に密輸 関係者を逮捕

黄泉の国警察現世外交取締局は先日、呪いの藁人形を現世に大量密輸したとして、黄泉の国呪術工場代表取締役の自称呪術師「祟」を現世輸出法違反の容疑で逮捕しました。

当局の発表によると、呪術工場では呪いの藁人形以外にも多数の指定呪術品を密輸した疑いもあり、余罪を追及中との事です。

調べに対し祟氏は「現世、とりわけ日本では呪いの藁人形のような呪術品は高値で取引されている。金欲しさに密輸した」と容疑を認めています。

この事件を受けて現世外交取締局は、このような呪術品の流出は、現世における黄泉の国のイメージダウンに繋がるとして、 今後取り締まりを強化していく方針を発表しました。

なお今回流出した多数の呪術品は、黄泉の国警察日本支部が回収をしております。 怪しい呪術品を見かけた魔術師は黄泉の国警察までご連絡ください。

長年付き添った妻、精霊だった 夫の死とともに判明

ラスカリア国東部に位置するカンタ村にて、とある男性が息を引きとった。

農家を営んでいたマーリン・シュヒット氏(89)の家族は、60年以上連れ添った妻のフェリス・シュヒット氏(85)ただひとり。唯一の肉親に見守られながら、マーリン氏は病によりこの世を去った。

村の人々は悲しんだが、彼らの心を揺さぶった出来事はそれだけではない――妻のフェリス氏は、実は精霊だったのだ。

当時の状況について、夫婦と親しかったトムロイ・ミル氏(53)はこう語る。

「何が起きたのか、よくわかりませんでした。葬式のしばらく後、見舞いの品を持ってシュヒットさんの家を訪ねまして。ノックをしても返事がない。心配になって、思わずドアを開けてみたんです。そうしたら……」

当時、マーリン氏の家には、夫と死別したばかりのフェリス氏がいるはずだった。だがそこにいたのは、青く輝く結晶に似た、一体の精霊のみだったという。

驚愕するトムロイ氏の前で、精霊は自由自在に姿を変え、霧雨のようになって窓の隙間から飛び出した。それが去った後、トムロイ氏は改めて家の中を見渡してみたが、そこにはもはや誰の姿もなかった。

夫妻との思い出について、トムロイ氏は振り返る。

「若いころからの知り合いで、よく世話を焼いてくださいました。『息子のように思っている』と言われたこともあって、そのときは本当に嬉しかったものです」

照れたようにうつむきながら、言葉をつづけるトムロイ氏。

「村の中では、おそらく誰よりも夫妻のことを知っていると思っていたのですが……こればかりは、秘密だったんでしょうか。すこし複雑な気分ですね」

いかにも残念そうな声色だったが、昔を懐かしむような微笑みは崩さない。夫妻がいかに親しまれていたのか、その反応からも汲みとれるような気がした。

現在、シュヒット夫妻の残した家屋や土地などの遺産は、村人たちの合意の上、手をつけないまま保存されている。

別々の大陸に同種?ワタリモモンガの謎解明

まったく同じ種類のモモンガが別々の大陸で新たに発見された謎について、カネリア魔法大学の研究班がひとつの答えを見つけ出した。それはこの「ワタリモモンガ」と名付けられた生き物が高いところから飛び降りる際に空気中の風素を集め、揚力を保ちながら滑空するということだ。

研究班は、自然的な風素が多い高所から滑空しだしたモモンガが海を渡りきり、別の大陸へ移動してしまう可能性は非常に高いものだとしている。

一時は動物の新種かと思われていたが、今回の研究結果を受け魔法庁の魔法生物課はワタリモモンガを正式に魔法生物の新種として認定する。またこのモモンガの風素を一定に保ち揚力を得る仕組みを研究することで、近い将来には滑空を目的とした魔法マントの開発ができるのではないかと期待されている。

※ワタリモモンガ……ここ数年で発見例が増えたモモンガの一種。同じ種でありながらまったく違う大陸で発見されていることから、動物にしては不可思議なことが多すぎると魔法生物の可能性を疑われていた。

迷子の使い魔を減らす装置、販売間近!

近年、魔法使いが大切な使い魔とはぐれてしまう事故が多く発生している。

特に集会が行われる時期は多くの魔女・魔法使いが交流するため、普段他の魔法使いに接することが少ない幼い使い魔が驚いて逃げ出してしまい、そのまま行方不明になってしまうケースが報告されてきた。

小型で足が速い使い魔は勿論、殊更魔力を使って移動する使い魔を追跡・保護することは困難であるとされており、多くの魔法使いが解決策を模索していた。

そんな中、ブルー・オウル社がMPPS(Magical Power Positioning System)を利用した使い魔追跡装置「My Familiar」の開発に成功したことを発表した。

「My Familiar」は、使い魔の魔力と自身の魔力を登録することによって使い魔が何処にいるかをモニターで確認することができる製品であるとされている。モニター1台につき3匹まで登録可能であり、複数の使い魔を所有している場合でも安心。登録した本人の魔力以外ではモニターが起動しないよう設定されているため、使い魔の盗難などの対策もされているとのこと。

開発責任者であるミナーヴァ氏は「不慮の事故によってかけがえのない使い魔を失い、悲しい想いをする魔法使いを減らすことができたらと考え開発を行った。2、3カ月中には各地域の専門店などでの販売を開始したい」とコメントしている。

「針ぽた」新作映画好調。科学の世界の闇へ迫る

先日より公開された新作映画「針井ぽた男とパノプティコン」が快調だ。

ある日届いた万能装置「スマートフォン」に誘われ、存在しないとされた科学を学ぶ学校へ通うことになった針井。メガヒットを記録した名作「針ぽた」は今作で三作目となる。

魔法というものはどうしても血筋や才覚、個人の力が大きな割合を占める。その点、科学が描き出す機械とAIの世界は実に魅力的だ。知らぬ知識はすぐに調べることが可能であり、どんな災害も直ちに感知し大事に至ることはない。光を灯すのにも暖をとるにも油も魔術も必要なく、食料はいくらでも量産できる。まさに天国だ。

しかし本作はその明るく快適な世界に暗い影を落とす。

「銃」と呼ばれる人殺の兵器、それを操るとされる犯罪者の登場。科学世界の牢獄と監守、そして隠された秘密。迫りくる恐怖を前に針井たちはどのように立ち向かうのか?

展開から目を離せない。

宝石店にて呪い多発、原因は意外なところに

大手ジュエリーブランド「DROP×DROP」の新商品であるネックレスを購入した人が、悪夢・幻覚・幻聴などの体調不良を訴えた。

調査の結果、商品に使われた宝石【スフィアナイト】が発する呪素により呪いを発症したことが判明。

「DROP×DROP」は商品の販売を停止、回収を呼びかけている。

スフィアナイトは近年発見された宝石の一種で、安価でありながらも美しいと人気を呼んでいた。しかし、原石から加工する際に正しく解呪を行わないと精神を蝕み、最悪死に至る呪いを発症することがあるとのこと。

政府はスフィアナイトを扱う場合、『第一級魔法危険物取扱』の資格を取るように発表した。

魔法生物のいる生活 第1回

魔法生物とともに暮らす人々の生活を取材するこのコラム。記念すべき第1回は、錬金術に造詣が深いマリエラ女史に話を聞いた。

 

──マリエラ女史がともに暮らしている魔法生物は?

「メスのサラマンダーです。フレイヤという名前をつけました」

──サラマンダー!初回から珍しい魔法生物の話を聞けるなんて嬉しいです。

「ありがとうございます。でも、面白い話なんてないですよ?(笑)」

──まずは、ともに暮らし始めた切っ掛けをお聞きしても?

「フレイヤは師匠から預かったんです」

──お師匠様からですか。

「ええ。錬金術には火が欠かせないのですが、私、どうにも火炎系の魔法が得意じゃなくて・・・」

──なるほど、フレイヤちゃんは補佐役というわけですね。

「そうです。フレイヤがいないと、仕事が成り立たないんですよ」

──普段の生活はどんな様子ですか?

「サラマンダーは基本的には温厚ですので、のんびりまったり、という表現が一番しっくりきますね。フレイヤはお昼寝が大好きで、晴れた日はテラスに出て眠っています。可愛いですよ(笑)」

──ゆったりとした光景が目に浮かびます。他になにかエピソードなどはありますか?

「うーん・・・。あっ、去年の冬のことなのですが、フレイヤが私の膝でお昼寝したことがありまして」

──おお!なんと羨ましい!

「サラマンダーは火を司るので、体温が人間より十数度高いんです。膝に乗せていると身体がぽかぽかしてきて、すごく快適でした」

──なるほど。湯たんぽ要らずですね。

「そうですね(笑)ただ、気をつけていないと、寝ぼけて火を吹くことがあるので少々スリリングですが・・・」

──貴重なお話、ありがとうございました。これからも仲睦まじく過ごせることをお祈りしています。

「こちらこそ、ありがとうございました」

増え続ける魔力増強薬の実態 〜その薬、安全ですか?〜

「この薬を飲めば魔力を増やせますよ」

そう言われたとき、あなたはそれを飲んでしまわないと言い切れるだろうか……?

近年、そんな薬に関する被害報告が相次いでいる。当然ながら法律では許可されていないが、「禁止もされていない」ことにより摘発できないのが現状だ。効果はあるのか? どんな成分が使われているのか? 増え続ける魔力増強薬の実態に迫った。

 

氾濫する魔力増強薬

魔法を使うには、魔力が必要だ。

そして、備わった魔力量というのは生まれつきのものであり、多い人と少ない人との差は一生縮まらないとされている。

進学や就職の際に魔力量による差別が存在することは、以前から問題になっていた。国も解決に向けて動いてはいるが、いまだ決定的な方策を打ち出せずにいる。

そんな中、梟通信販売や路地裏の魔法薬ショップなどでじわじわと広がりを見せているのが『魔力増強薬』、通称『魔薬』だ。筆者が確認したところ、販売されている魔薬は五十種類以上に及んだ。もちろん公には売られていないものの、入手するのは非常にたやすい。

飲むだけで魔力量を増やせる。そんなうまい話が本当にあるのだろうか? 誰しも「怪しい」と考えるはずだ。しかし「必ず魔力が増える」という甘い言葉に、ついつい飛びついてしまう人も少なくないのである。

 

気になる成分は

魔薬の原料になるのはサラマンダーの鱗やウンディーネの涙など、魔力容量が高いとされている素材だ。ほとんどは無害だが、中には材料を偽って売っているものもあるらしい。本当に無害かどうかわかったものではない。

そこで、筆者がとあるツテで入手した魔薬『マ○ョックΩ』について、王都大の魔法薬学研究室に成分解析をお願いしてみた。

宣伝文句は「ウンディーネの涙30%配合! たった数日で魔力増強効果を実感できます」というものだが、果たして……?

「解析結果ですが、基本的に人体には無害です。ただし、ウンディーネの涙は1%も含まれていませんでした。主成分は……クサレドラゴンの涎ですね、当然ながら魔力増強効果はありません」(王都大の魔法薬学研究室)

私を待っていたのは、案の定ともいうべき結果であった。私は丁重にお礼を述べ、研究室を後にして、トイレでさっき飲んだ魔薬をすべて吐き出した。異様に臭いと思ったらそういうことか。

しかし、こんなのは序の口である。

魔薬の中には非合法な材料を用いたものもあり、そういったものを飲んでしまった場合の人体への影響は未知数だ。例えば、こんな事例もある。

 

魔力増強薬が招いた悲劇

「主人がこんなになってしまって……」

悲しげな表情を浮かべるのは、H地区にお住まいのKさんだ。

「昔から人より魔力が少ないことを気にはしてたんですけど、まさかあんな怪しげな薬を飲んでしまうだなんて」

Kさんは庭を指し示した。

庭にある小さな池の中では、全身が虹色に輝く鯉が楽しそうに泳いでいる。

「魔力増強薬を飲んだ瞬間、みるみるうちに体が縮んで、鱗が生えて。慌てて庭の池に放り込んだらすごく元気に泳ぎ始めました。もう、私が話しかけても『餌』以外の言葉には反応してくれません」

Kさんは肩を落とす。

魔法病院に連れて行ったら「魔法生物病院に行け」と門前払いを受け、魔法生物病院では珍しい個体として解剖されそうになったので慌てて逃げ帰ってきたという。

「私はこれからの人生、虹色の鯉を主人と呼んで生きていかなければならないのでしょうか」

私はかけるべき言葉がみつからず、そっと差し入れの水草を置いてその家を後にした。

 

総括

というわけで、市販されている魔薬の効果のほどは非常に疑わしい。

私が入手した薬に関しても、あのクサレドラゴンと間接キスをするぐらいで済んだのだからありがたいと思うべきだろう。虹色の鯉にでもなってしまったら、原稿が書けなくなってしまう。

魔力が少ないことにお悩みの皆さん、気持ちはわかる。私もそうだ。だが、法律で許可されていないということは、現状何の規制もされていないということだ。どんなに危険な材料を使っていたとしても、あなたにはわからない。毒が入っているかもしれないし、依存性の劇物が入っているかもしれない。事実、そういう事例だって存在するのだ。

怪しげな薬に手を出す前にもう一度考え直してほしい。

その魔薬、本当にあなたの人生を賭けるに値するものですか……?

サラマンダーの鱗入手法、簡略化に成功 王都大

火の中に棲むトカゲ、サラマンダー。その鱗は硬度と魔力容量に富み、魔法器具の原料としては最上級の性能を誇る。しかしながらその生育環境と好戦的な性格から、手軽な方法で鱗を入手するのは非常に困難であるとされてきた。

このたび王都大学の魔法生物研究チームにより開発された手法では、これらの難点を解消した上に、従来の十分の一の時間で鱗を手に入れることができるという。

研究チーム副リーダーのヴェルディ氏に話を伺った。

「古来より、数多くの魔法使いたちがサラマンダーから鱗を引き剥がすことに腐心してきました。サラマンダーは非常に扱いの難しい魔法生物です。防火魔法のかけ忘れにより命を落とした魔法使いは星の数ほど存在します。また、大きな個体ほど凶暴性や魔力耐性も高くなり、それだけ鱗の入手も困難となるわけです」

サラマンダーの鱗にはいくつかの入手法がある。まず、もっとも古くから存在するのが『リッツ法』で、小さな焚き火の中に閉じ込めたサラマンダーを耐熱杖で引っ掻きまくり、鱗を剥がして拾い集めるという方法だ。

頑丈な鱗であるがゆえに、この方法で獲れるのは二日に一枚。おまけに小型のサラマンダーにしか適用できず、怒り狂ったサラマンダーが炎とゲロを吐き散らすことがあるなど、あまり効率的であるとは言えない。

現在もっとも有効な方法は、上記の『リッツ法』をグレムリンが改良した『リッツ – グレムリン法』である。サラマンダーに強い『痒み呪い』をかけて自ら床に体を擦り付けさせ、剥がれた鱗を入手するという手法だ。

リッツ法に比べて安全で確実だが、魔力耐性の強い個体には痒み呪いが効かない、魔法生物愛護団体の反発により大規模な生産が難しい、などの難点がある。

では、今回の新手法とはいったいどのようなものなのだろうか。

「従来の方法でサラマンダーの鱗を奪い取るのには限界があります。それならばサラマンダーを手懐け、自分から鱗を差し出してくれるように仕向けることができればいいのではないか。この手法はそんな発想の転換に基づいています」(ヴェルディ氏)

サラマンダーは凶暴だが、実は知能指数が非常に高い。長く生きた個体なら人語を解するという噂もある。そんなサラマンダーを都合よく手懐けることが、本当にできるのだろうか。

「手懐けるというには語弊がありますが、要はサラマンダーと心を通わせるのです。具体的には、愛の言葉を囁き続けます。サラマンダーが人語を理解できずとも、言葉に込められた愛情は伝わりますから。

『君、カワイイね』
『その鱗、すごく綺麗だ』
『つぶらな瞳だね。吸い込まれそうだな』

これを三日ほどぶっ通しで続けると、やがて愛の言葉を聞かされ続けたサラマンダーが一種の催眠状態に陥ります。そこで『君の鱗が欲しいんだ』と囁いてやれば、自ら鱗を剥がして差し出してくれるのです。これならサラマンダーを無闇に傷つけることなく効率的に鱗を回収することができます。個体の大きさや魔力耐性に関係なく適用できますし、危険も少なく、一日に四枚以上の獲れ高が見込めます。将来的には大規模な運用も可能でしょう」(同前)

確かにこの研究が発展すれば、貴重品だったサラマンダーの鱗が入手しやすくなりそうだ。実用化に向けて、今後はどういった実験をしていく予定なのだろうか。

「今は、音魔法で録音した愛の言葉を延々と聞かせ続ける実験に取り組んでいます。これが成功すれば、一度に大量のサラマンダーから鱗を回収できます。ただサラマンダーの健康状態に影響を与える可能性もあるので、そこは慎重な実験と観察が必要ですね。

あっ、そうだ。今回の実験で三日間不眠不休で愛の言葉を囁き続けた助手のエルマー君が精神を病んでしまったんです。突発的にサラマンダーの巣に飛び込んだあと一向に行方が知れません。たぶん餌になったんでしょう。というわけで、代わりの助手を募集しています」(同前)

私は礼を述べ、研究室を後にした。

サラマンダーの健康より先に、研究員の健康を心配すべきではないのか。私が抱いた不安は、偉大な研究に目を輝かせるヴェルディ氏の前ではきっと些細なことなのだろう。

研究の発展と、エルマー氏の冥福を祈る。

ファイアボールの作成者、ファイヤーボールを著作権侵害で提訴

どちらがオリジナルなのか――著作権問題は魔法界においては決して珍しいものではないが、今回のケースはあまりにもユニークである。

事の発端は6ヶ月前、まだ冬の寒さの続く頃に遡る。極東魔導協会のとある魔導師が「ファイヤーボール」なる炎弾を射出する魔法を開発し、これをオリジナル魔法として登録した。これに対し、「ファイアボール」を開発した魔法団体「深淵の灯火」が著作権侵害として訴訟を起こしたのだ。

ファイア側はファイヤー側に対し、

「英語で表記したらどちらもFIREになる。これは完全なパクリであり甚だ遺憾である」

とし、賠償及び名称の変更を要求。一方、ファイヤー側は弁護士を通し、

「深淵の灯火とか名乗るセンスの持ち主には分からないかもしれないが、自分のこの魔法を大袈裟であったりひねった名前で呼ぶ恥ずかしい趣味はない、焼くぞ」

と、徹底抗戦の意思を示した。まさしく火に油を注ぎあっているような今回の裁判、どちらかが燃え尽きるまで決着しないであろうことは想像に難くない。