機械生命体が魔法学校へ編入 魔法使い志す

首都にある第二魔法学校にて、9月中旬の始業式から機械生命体が編入することがわかった。編入は去年の1月から打診されており、学校側の整備もあって1年以上もかかってしまったという。

機械生命体は動力源が魔力であるため、魔力を編んで外に出す魔法使いの在り方とは全く異なっている。言わば血液が魔力と同じものであり、魔法を使うとなるとまさに『出血』するほどの疲労を得てしまう。その性質もあり、いままで魔法使いの中でも機械の構造をもつ者はいたが、完全な機械生命体が魔法使いを目指すのは非常に稀との事。

編入する機械生命体は4年前に首都近郊の機械生命体が通う学校に入学したが、製造初期に見た魔法使いのことが忘れられないということで魔法使いを志したという。その後、教諭と相談し、編入を決意。経緯は12月に自伝としてまとめられるという。

種族の多様化と交流の深化によって、従来自分の種族がメインとしていた仕事以外の職種に興味が湧く例が増えている。多くの学校で多種多様の種族を受け入れられるように改革が進んでいるため、これからは種族が未来を決めることは少なくなっていくだろう。

「神に人権なし」 魔法裁の判決

 昨日、魔法裁は殺人の罪で起訴されていた魔法芸術家のブチ・ギレ氏に無罪を言い渡した。

 ブチ・ギレ氏は、自身の店にやってきたクズ氏を殺した罪で逮捕されていた。

 クズ氏は様々な店を訪れては、「お客様は神様だ」などと言って恐喝行為を行なっており、事件のあった日もブチ・ギレ氏の店で同様の行為を行う姿がほかの客に目撃されている。

 ブチ・ギレ氏が要求に応じないことがわかると、クズ氏はブチ・ギレ氏が造形した<水晶宮>(水晶でできたミニチュアサイズの宮殿。魔法により中に居住することが可能。製作期間7年)を破壊した。

 これに腹を立てたブチ・ギレ氏は、水晶の破片でクズ氏を殺害した。その後ブチ・ギレ氏は自首し、逮捕・拘禁されていた。

 判決を下した裁判長は以下のように述べた。

「 人間に不条理な運命を突きつけるのは、典型的な神の特徴。さらにクズ氏は日頃様々な店で恐喝、つまり供物の要求を行ないこれを得ていたので、神であった可能性が非常に高い。

また、警察によるいかなる捜査においても彼が神でないという証拠を見つけることはできなかった。

したがって彼は神。神に人間の法律は適用できず、人権も存在しない。したがって、人権侵害の最たる行為である殺人の罪もブチ・ギレ氏に適用できない」

 ブチ・ギレ氏は今月中に釈放されるという。

 魔法災害局はクズ氏を邪神の1柱として祀ることを検討している。

今年もワーウルフ族主催で『秋のリアル人狼ゲーム』開催

今年もあの『秋のリアル人狼ゲーム』が開催される。今回の開催地は山間部に位置する、人口の6割がワーウルフだという村で、地域の活性化も目指しているという。

『リアル人狼ゲーム』は、5年ほど前から毎年秋に開催されている、嘘つき探しのゲームである。ベースとなった人狼ゲームとは、隠れた人狼を看破することで一般人の勝利、人狼以外の人が人狼に食べられてしまうとゲームオーバーというゲームで、近年ワーウルフに対する偏見の温床とされてきた。これを憂いた全世界ワーウルフ協会が、このゲームを逆手にとったのが『リアル人狼ゲーム』だ。 ルールは一般的な人狼ゲームと同じだが、夜になると『ゲームオーバー』になった一般人はウルフ形態のワーウルフたちに導かれてゲーム終了まで贅沢なもてなしをうけるというもの。ワーウルフたちの残忍性に着目されていた人狼ゲームだが、『リアル』のワーウルフは至って温厚でもてなし好き。それを世間に知らせるためのルールだという。

『リアル人狼ゲーム』の醍醐味といえば、人狼を当てられなかった場合にゲームオーバーまで受けることができる『もてなし』だろう。昨年はワーウルフ率2割の都市で行われたが、ゲームオーバーとなった人は郊外の豪華温泉施設に宿泊出来た。ゲームオーバーにならなくても、1週間の宿泊券をもらえたという。また、勝ち残った場合は最上級ルームにてもう1週間の追加宿泊ができたようだ。

昨年の参加者は、『今までワーウルフについてよく知らなかったが、非常に嘘が下手で仲間思いだと知った。ご褒美の温泉も最高だった』とのこと。この『もてなし』は毎年開催まで秘匿されている。

今回は会場の規模で3期に分けての開催だ。1期、2期は〆切られており、3期の申し込みは1日から、全世界ワーウルフ協会にて受け付けている。

エルフとダークエルフの間で一部関税が撤廃に

ここ1000年ほどで交流が活発化しているエルフとダークエルフ(ドロウとも)。先日、その2種族の間での貿易で、一部商品の関税を撤廃するという条約が結ばれた。

今回対象になる品目は、エルフ側の特産品である『薬草類、食用肉類』とダークエルフ側の特産品である『鉱石、ヒカリゴケ類』。お互いの名産を安くやり取りすることで、友好関係を保ちたい意向だ。なお、争点となっていた『毛皮類』『織物類』は次回の会議に持ち越す模様だ。

エルフは狩猟を主にしていたこともあり、強い矢じりや鉄鉱石武器の開発を繰り返していたが、地下資源に乏しかったために難航していた。辺境で起きたエルフとオークの小規模紛争にて、武器の物量でエルフが敗北した屈辱の歴史も残っている。一方ダークエルフの多くは地下に住んでいるため、薬草の入手が長らく難しかった。小さなダークエルフが病の母のために、地上のエルフたちに薬草を分けて貰いに行く『やくそうをかいに』は名作として語り継がれている。両者お互いに交流があれば、という後悔が残る品目での関税撤廃とのことで、比較的好意的な意見が多い。

一方で問題も残る。ダークエルフ鉱山でのオークのブラック労働(この場合”ダーク労働”とも呼ばれる)がさらに過熱する恐れがあり、実際に一部鉱山ではストライキが発生している。エルフ側も、単価が下がることで狩猟頻度が増え、ケンタウルスへの誤射が増えることが懸念され、有識者による対策会議が緊急で行われた。

エルフとダークエルフの歴史は長い。互いに近しいルーツを持ちながら地下と地上に別れ、いがみ合っていた歴史もあるが、それはとうに昔のことである。彼らの目は長い未来に見据えられている。これから先は交換留学制度や移住制度をより拡充させていき、より両者の交流を深めるという。

星降る夜に”きらめき”を ― エトラマレイユ新商品を発表

藍の月29日、エトラマレイユ社は新商品発表会で「ほしぞらサイダー」の発売を発表しました。

そらいろサイダー姉妹品が新登場

今回発表された新作は同社の看板商品である「そらいろサイダー」の姉妹品として開発されたもの。

そらいろサイダーといえばその日の空模様で色や味が変わりSNS映えすると若い魔法使いたちの間で人気の商品です。

そらいろサイダーが昼の空模様で変化するのに対しほしぞらサイダーは夜の空模様で透き通ったサイダーの表情が変化します。

発売日である星の月7日以降は流星群の夜が多くなるのでパーティーなどのテーブルで映えること間違いなし。ぜひお試しください。

商品概要

【商 品 名】 ほしぞらサイダー
【価   格】 178円(本体価格165円)
【発 売 日】 星の月17日
【販 売 店】 エトラマレイユ各店(アトス本店・アトス大学購買部店・ダテ店・フリグレード店)※このほか一部姉妹店で販売する場合もございます。

 

謎の洞窟トカゲ、正体が明らかに

 ベルベル市から南東に50kmに位置する洞窟で目撃されていた巨大トカゲの正体が明らかになった。

 この洞窟では、半年ほど前から地面を這い回る巨大トカゲが目撃されていた。体長は一般的な成人男性ほどで、討伐パーティが組まれたがいずれも撃退されていた。

 パーティに参加した魔法使いは「一般成人男性ほどの大きさがあり、魔法攻撃を一切受けつけない。敵意はないようだったが気持ち悪かったので逃げた」と語っており、近隣の住民も一般的な成人男性ほどもあるトカゲは気持ち悪いのでこの洞窟には近づかないようにしていたという。

 そして昨日、この一般的な成人男性ほどの巨大トカゲがベルベル市に現れ、一般的な成人男性ほどの大きさの一般的な成人男性であることが明らかになった。

この男性は過去に素手で討伐したドラゴンを鎧に加工して着込んでいた。この鎧には強力な魔除け効果があり、一般的な成人男性が使える大半の魔法を消滅させることが確認された。

 彼は、「冒険者を驚かせるために洞窟内を四つん這いで移動していた。俺はドラゴンとして恐れられていた」と語っている。

 鎧に錯乱の呪いがかけられていないか、魔法道具局が回収して調査を行なっている。

 

異世界転生を偽造か ダンジョン経営者が誘拐容疑で逮捕

毎年人間界各地で多く発生している『神隠し事件』について、魔法界から異例の逮捕者がでた。 逮捕されたのは地方のダンジョンを経営するヴィリ容疑者(224歳・ハーフエルフ)とその娘のアリ容疑者(107歳・同上)。それぞれ誘拐罪、結婚詐欺罪で捕まった。2人とも容疑を認めている。調べによるとヴィリ容疑者は『ダンジョンの挑戦者が減ったため、人間をさらって挑戦させていた』とのこと。

調査によると、ヴィリ容疑者は数年に一度、休暇の合間に人間界へ行き、適度に人間界に不満がありそうな人間を若者中心に攫っていた。その後、錯覚魔法をかけた被害者を娘のアリ容疑者に会わせて『あなたは異世界転生をして勇者になった。娘のアリと共に魔王を倒して欲しいが、レベルが足りないのでまずはこのダンジョンに挑んで欲しい』と言っていたという。また、アリ容疑者の方はダンジョンで稼いだ人間と結婚を約束し、大量の金品を自分に買わせた後に失踪することを繰り返していた。

ヴィリ容疑者の経営するヴィルヘルム中難易度ダンジョンは、近年質のいい人間が挑戦しているということで主にオーク族・竜人族の間で大きな話題になり、敵役の参加者も増えていた。 逮捕時にダンジョンに挑戦していた人間は捜査班に対し『信じられない、自分は選ばれて転生したと聞いていた、お前たちは魔王の手下で自分を騙そうとしているに違いない』と述べ襲いかかってきたため、拘束された。特級記憶消去魔法をかけられた後に人間界に返されるという。

ヴィリ容疑者が『近隣の村と協力して他のダンジョンにも挑戦させていた』と供述しているため、余罪や関係者の調査を進めている。

カエルの卵使用の魔法薬、タピオカ混入か

先日、首都内にある魔法薬ドリンクバーの一部飲料にタピオカが混入していたことがわかった。混入していたドリンクは全てカエルの卵が使用されており、飲んだ際に違和感を感じた魔法使いの指摘によって発覚した。

現場に居合わせた客は『カエルの卵の味ではなかったが、食感がたまらなく美味しかった。今度は単体でも頂きたい』と言う。取材に対し、店主は『タピオカ飲料の導入を考えており、厨房で混ざってしまった。再発防止に務めると共に、美味しいタピオカ飲料の研究にも務めたい』との事。

昨年、タピオカ販売車が魔法界に迷い込む事故が起きてから、タピオカブームは衰えを知らない。当初はカエルの卵のみならず超小型ドラゴンの卵などの黒系の球系素材全般と間違える事故が多発した。魔法学校初等科の実験で誤って生徒が使ってしまった例も報告されている。多くの魔法薬材料より安価なため、詐欺に使われる事件も発生しているため気をつけて欲しい。また、同様の事件はパクチーでも起こっている。

魔法薬を嗜む皆様は作ったり飲んだりする際、御手元の材料が本当に使用したい材料かよく確認して頂きたい。判別魔法もあるので、自信が無い場合はそちらを使うことを推奨する。

密猟被害のカーバンクル、合成宝石で回復へ

先日、大都市近郊の廃城から数匹の宝石を失ったカーバンクル(宝石獣)が保護された。これを受けて、魔法動物保護団体(MAPO)と魔宝石協会が共同研究し、宝石を失ったカーバンクルの額に新たな合成宝石を施すことで回復させることに成功した。回復したカーバンクルたちは、念の為王立動物園で保護され経過を観察されるという。

合成宝石は宝石と同成分の石を魔術的に合成し、カットしたもの。一般的な市場に出回る合成宝石ではカーバンクルに定着しなかったため、今回は魔法動物学者の手を借りてよりカーバンクルの紅玉に近い成分を実現した。MAPOによると、カーバンクル用の合成宝石は相当量の魔力と労力を要するため、現時点での量産は不可能とのこと。

本来カーバンクルは額の宝石を通じて魔力を得て生きる、おとなしい生物である。宝石そのものの効能は明らかにされていないが、魔力がろ過されるということで、古くから天然の魔力清浄機として神聖視されていた。そのため古来は一部の貴族や王族が権力の象徴として飼っていた記録が残っている。産業革命後は養殖も試されてきたが、効果は見られず、依然として数は少ない。それにもかかわらず、宝石やペットとしての需要は高く、絶滅も危惧されている。

近年の天然鉱石の大幅な減少により、カーバンクルの密猟およびその額の紅玉の盗難が年々増加している。カーバンクルの紅玉の密猟を行った場合は、その量により定められた期間中は商品売買を禁止され、最悪の場合懲役刑が課される。くれぐれも手を出さないようにしていただきたい。

くっ病、ひろがる

 本日14時、魔法衛生局が「くっ病」に対する注意喚起を行った。

 くっ病とは、極めて特異な状態異常を引き起こす病である。

 「くっ……! 俺の右目が疼く」「くっ……! 離れろ、俺の左腕が何をしでかすか分からない」等、くっ……!から始まる言葉をひとりでに話し出すことから、この名前がつけられた。

 くっ病は一度発症者が観測されると、周囲の人間に驚異的なスピードで感染し、発症者同士で謎のコミュニティが形成される。このコミュニティ内部では独自の言語体系が築かれており、外部の者による解読は極めて困難である。

 発見当初はただの妄想・年齢特有の悪ふざけのように扱われていたが、同様の言葉を発する人間が全世界で数多く発見されたため、魔法衛生局によって病態認定された。特に若年者の発症が多いが、魔法医による診察・解析では、呪術、妖精、悪霊いずれの痕跡も見つかっていない。

 長時間のカウンセリングを行うと、多くの場合赤面して肩を震わせ、しばらくは病態が治まるが、数日後に再発する場合が多い。致死性はなく、年齢とともに病態が消滅していくものの、家族関係に重大な亀裂を生じさせる場合もあり、魔法衛生局によって「クラスD(悪魔のせい)」に認定されている。