極東の魔術師、最大級の魔導機械開発

昨日未明、現在鎖国中である極東の国、倭国が大型魔導機械を新たに発表した。

同国が声明を出すのは52年前の水晶式映像中継の発表以来である。

今回発表された魔導機械は世界初、起動に魔術師による詠唱を必要としない魔法陣を展開するというもの。詠唱者を介さないため、人が立ち入ることのできない場所などの調査が、従来の方法と比べてより容易になることが期待されている。

しかし、魔術師を必要としない代わりに、莫大な量の魔力リソースを必要とするなどの問題点は山積みだとトスリック国立研究所は指摘した。

未だ謎に包まれた国、倭国が発明した水晶式映像中継は50年の時を経て全世界に普及し、愛されている。この発明もそう遠くない未来、人々のあいだで広く浸透し、愛されるようになるのだろうか。

耐火魔法陣に致命的欠陥 一般家屋2万軒に影響

一般家屋用の耐火魔法陣に欠陥があることが判明した。2015年に販売が開始されたもので、施工軒数は2万軒にのぼるという。24日に販売・施工元のファーティマ・ハウスが会見を開く。

問題となった耐火魔法陣は、ファイアウォール社が開発したルーン式魔法陣「FW」シリーズの「FW-7000」。

結界系魔法陣研究所によれば、耐火魔法陣の法定耐久温度の2700℃より1000℃低い1700℃で魔法陣の一部が破損し、内部に影響を及ぼすという。

問題発覚の遅れについて、専門家は屋外での違法決闘の減少を指摘。華美な火炎属性魔法は違法決闘の代名詞であったが、近年は決闘場の整備や決闘のスポーツ化の影響を受け、屋外での火炎属性魔法の行使自体が減少しているという統計も出ている。

「2700℃の法定耐久温度は時代遅れである」という指摘もあり、単なる施工不良に留まらない問題となることが懸念されている。

ヒフキヤモリ、密猟で生息数激減

ヒフキヤモリと呼ばれる生き物がいるのをご存じだろうか。

全長はおよそ大人が手のひらを広げた程度の大きさながら、自身が襲われたときに口から火を噴くことができる魔法生物の一種だ。火を噴くことができる理由は体内に火素をため込む臓器があるためで、ヒフキヤモリは獲物を食すときに動物の持つ自然的な火素と油分を貯蔵していると考えられている。

現在このヒフキヤモリの生息数は減少するばかりであり、先日「魔法生物の絶滅を防ぐ会」の会長氏が魔法庁の魔法生物課に警告文を送ったことは記憶に新しい。

生息数が激減している原因はいくつか考えられているが、現状最大の問題とされているのは密猟による乱獲である。ヒフキヤモリの臓器には様々な用途があるうえに、その柔軟な皮革が火素独特のかすかに輝く赤みを帯びていて非常に美しく富裕層に人気の高い素材のひとつとなっていることが乱獲の大きな理由だ。

これらのことを魔法生物課は、見過ごせない大きな問題であり継続して取り組んでいきたいとしているが、今も密猟者の数は減っておらずヒフキヤモリの保護も難航しているのが現実である。

今回に限ったことではなく、魔法生物の保護の難しさはなかなか解決されない課題のひとつである。現場で活動している方々の努力が実を結ぶことに期待したい。

王大魔術科学生の8割がよくわからないまま魔法陣を描いている事が判明

昨年、レドゲス民主国が15歳以下の国民に教育を受けさせる制度を実験的に施行し、その教育内容が「ただ知識を詰め込んでいるだけの無意味な教育」だとして、エズカン教育推進教会から批判を受けました。

そんなエズカン教育推進教会本部が存在するユスティア王国も、教育において深刻な問題を抱えているようです。

ユスティア王立大学魔術科といえば、魔術師養成プログラムを行っている教育機関のうち、最高峰に位置する大学です。

そのユスティア王立大学魔術科の学生に対し、王立大学教育学部の学生が魔術の習熟度の調査を実施。

その結果、実践魔術においては高成績を叩き出す一方、基礎的な“魔術原理”の項目では異常に低い成績が出たのです。

特に驚きなのは、調査を受けた学生の実に8割が「魔法陣は描けるけどなぜ描かなきゃいけないのかはわからない」という状態だったことです。

そもそも魔法陣とはなんでしょうか? 我々が魔法陣と言っているものは大きく分けて2種類あります。

1つは魔術式の一種、“陣型魔術式”。

もう1つは魔術を行った際に発生する円形の模様、“魔力子放射”です。

魔法陣とはいわばこの2つの俗称なのです。

陣型魔術式は、魔術の構造をわかりやすく見えるようにし、なおかつ魔力を秩序立った方向へ導く為のルートとなるものです。術式を書かなくても複雑な魔術を扱えるラナヤン・レインマンのような魔術師もいるにはいますが、誰もがラナヤンのような魔物級の天才にはなれないので、普通は高度な魔術を行う時は術式を書きます。その中でもポピュラーなのが陣型魔術式なのです。

魔力子放射は、空気中に分散している魔力子という魔力を生み出す粒子の一種が湖面に雨粒が落ちるように円形の波を立てて流れる、いわゆる自然現象なのですが、魔術物理学と魔術工学の発展により、魔力子放射の波の形を自由に変化させることができるようになりました。

ではなぜ波の形を変化させる必要があるのか?

ここがまさに、ユスティア王立大学魔術学部魔術科の学生の8割が答えられなかった問題なのです。

王大魔術科のカリキュラムには、実践魔術の訓練として魔法陣の描画演習があります。そこで使う教科書の最初のページに、なぜ魔法陣を描かなければならないのかの答えが書いてあるのです。

私は王大の学生ではありませんが、特別なルートでその教科書を入手しました。

魔力子放射の制御は実践魔術において欠くことのできない技能である。

魔力は本来無秩序な力であり、なおかつ強力であるため、魔術師はその力の挙動に常に注意を払わねばならない。

魔力子の演算不可能な運動は制御によって演算可能となり、魔力の支配は容易になり、君や君のクラスメイトの腕は吹き飛ばされなくても済むようになるのである。

なぜ魔法陣を描く必要があるのか?

その答えは、「魔力子を制御して事故を防ぐため」です。

魔法陣は安全に魔術を扱うための大切な要素だったのですね。それ故に、王立大学魔術科は魔法陣描画演習の授業で多すぎるくらいに魔法陣を描かせるのです。

そのことが、学生が魔法陣を描くことに集中しすぎて魔法陣の意義を忘れてしまう、という状態を生んでしまったのはなんとも皮肉なものです。

「強キャラに憧れた」魔力の威嚇放出をした男を書類送検

英雄に憧れたものの、それを履き違えた哀れな事件が起きた。

昨日未明、エヴァ・ステイト公国にて、魔法犯罪取締局がクダル・S・マーキス(37歳無職)を魔力の過剰威嚇発散及び魔道恐喝の容疑で書類送検した。

容疑者は老人、子供による利用が多い公国中央公園の広場にて、不特定多数の人間に対して意図的に威嚇の意思を持った魔力放出を行い、魔力への抵抗の少ない幼児数名が体調不良を訴えた。その事実を知った容疑者は直後に放出を停止し、魔法犯罪取締局に自ら出頭、全面的に自分の罪を告白し認めたという。

局の取り調べに対し容疑者は、

「オーラの滲み出る強キャラに憧れた。周りにいつも馬鹿にされていたので強い方に回ってみたかった。小さな子供が体調を崩したのを見てこんなことをしてはいけないと思った。とても反省している。止めてくれたおじいさんに感謝したい」

と述べており、現在感謝状を渡すべく局がこの老人を捜索しているが、見つかっていない。

容疑者の証言によると、老人はよく整えられた銀髪にスーツ、片目には縦一文字の傷が入っており、全てを見通すような優しくも鋭い眼差しをしていたという。

キマイラ販売において魔法生物省が注意喚起

昨日、魔法生物省より、本来の融合占有率を大幅に逸脱したキマイラが違法に販売されているとして、消費者に注意喚起がなされた。

キマイラにおける融合占有率は獅子50~60%、山羊20~30%、蛇10~30%とされ、この基準外の生物は別種の生物と認定され、正式な血統書を発行できないことになっている。違法業者によって融合占有率はバラバラで、悪質なものでは猫95%という報告も。

被害者は多くの場合、念話や使い魔、転送魔方陣のみで違法業者とやり取りをしており、相手の所属や階位を確認する手段を失していたとされている。

融合占有率を逸脱した生物は不確定要素が多く、危険なため、魔法生物省はそのような生物を買ってしまったり、発見してしまった場合は、逃がしたり放っておいたりせずに速やかに連絡するよう促した。加えて、取引の際は相手の所属や階位の確認を怠らないようにと、消費者へ注意喚起した。

(この記事に対する意見等は、転送魔方陣に「En’akrik Mag’lio」の一文を記述の上、転送くださいませ)

『魔力飢餓病』に注意喚起。政府による定期喧伝

全国で長年に渡り問題視されている魔力飢餓病。魔力の根幹となる精神力が枯れてもなお魔法を使い続けることが原因であると指摘されている精神疾病だ。年々、若者を中心に患者が増加傾向にある。

魔力飢餓病になると魔力の枯れている状態が続き、思うように魔法を使えなくなる。魔法が使えなくなることにより、主には日常生活に支障を来たすようだ。更には精神力も損なうため常に不安を感じてしまい、学業や仕事も手につかなくなるという症状が恐ろしい。まるで人の心に住み着き魔力を喰らう魔物である。

昨日午後、政府は「不安感や焦燥感を覚えたら、直ちに魔法の使用を中止してほしい。魔力飢餓病への対抗策は未だ見つかっていない」という旨の発表を行った。これからも魔法の使い過ぎには充分な注意が必要である。

この発表に対する街の人々の反応は様々だ。

「怖い。魔法がなければ生きていけないわ」
「使い過ぎなければ問題ないとはいうが、冒険者はそうも言っていられないんでね」
「精神疾病を恐れるなんて、瞑想もできないのかしら? 初等部で教えられているはずでしょう」

レスターク帝国所属、イソル国の冒険者ギルド長にも意見を伺ってみたところ、

「そういう者は出ていない。ウチには益荒男しかいないものでね」

と快然な様相を見せてくれた。冒険者の発病が懸念されていた魔力飢餓病だったが、冒険者達は精神面でも打たれ強いようだ。

これからも、私達は魔力飢餓病を恐れながら生きていくことになるのだろうか? 不安の声は依然として募るばかりだ。

呪いの藁人形を現世に密輸 関係者を逮捕

黄泉の国警察現世外交取締局は先日、呪いの藁人形を現世に大量密輸したとして、黄泉の国呪術工場代表取締役の自称呪術師「祟」を現世輸出法違反の容疑で逮捕しました。

当局の発表によると、呪術工場では呪いの藁人形以外にも多数の指定呪術品を密輸した疑いもあり、余罪を追及中との事です。

調べに対し祟氏は「現世、とりわけ日本では呪いの藁人形のような呪術品は高値で取引されている。金欲しさに密輸した」と容疑を認めています。

この事件を受けて現世外交取締局は、このような呪術品の流出は、現世における黄泉の国のイメージダウンに繋がるとして、 今後取り締まりを強化していく方針を発表しました。

なお今回流出した多数の呪術品は、黄泉の国警察日本支部が回収をしております。 怪しい呪術品を見かけた魔術師は黄泉の国警察までご連絡ください。

長年付き添った妻、精霊だった 夫の死とともに判明

ラスカリア国東部に位置するカンタ村にて、とある男性が息を引きとった。

農家を営んでいたマーリン・シュヒット氏(89)の家族は、60年以上連れ添った妻のフェリス・シュヒット氏(85)ただひとり。唯一の肉親に見守られながら、マーリン氏は病によりこの世を去った。

村の人々は悲しんだが、彼らの心を揺さぶった出来事はそれだけではない――妻のフェリス氏は、実は精霊だったのだ。

当時の状況について、夫婦と親しかったトムロイ・ミル氏(53)はこう語る。

「何が起きたのか、よくわかりませんでした。葬式のしばらく後、見舞いの品を持ってシュヒットさんの家を訪ねまして。ノックをしても返事がない。心配になって、思わずドアを開けてみたんです。そうしたら……」

当時、マーリン氏の家には、夫と死別したばかりのフェリス氏がいるはずだった。だがそこにいたのは、青く輝く結晶に似た、一体の精霊のみだったという。

驚愕するトムロイ氏の前で、精霊は自由自在に姿を変え、霧雨のようになって窓の隙間から飛び出した。それが去った後、トムロイ氏は改めて家の中を見渡してみたが、そこにはもはや誰の姿もなかった。

夫妻との思い出について、トムロイ氏は振り返る。

「若いころからの知り合いで、よく世話を焼いてくださいました。『息子のように思っている』と言われたこともあって、そのときは本当に嬉しかったものです」

照れたようにうつむきながら、言葉をつづけるトムロイ氏。

「村の中では、おそらく誰よりも夫妻のことを知っていると思っていたのですが……こればかりは、秘密だったんでしょうか。すこし複雑な気分ですね」

いかにも残念そうな声色だったが、昔を懐かしむような微笑みは崩さない。夫妻がいかに親しまれていたのか、その反応からも汲みとれるような気がした。

現在、シュヒット夫妻の残した家屋や土地などの遺産は、村人たちの合意の上、手をつけないまま保存されている。

別々の大陸に同種?ワタリモモンガの謎解明

まったく同じ種類のモモンガが別々の大陸で新たに発見された謎について、カネリア魔法大学の研究班がひとつの答えを見つけ出した。それはこの「ワタリモモンガ」と名付けられた生き物が高いところから飛び降りる際に空気中の風素を集め、揚力を保ちながら滑空するということだ。

研究班は、自然的な風素が多い高所から滑空しだしたモモンガが海を渡りきり、別の大陸へ移動してしまう可能性は非常に高いものだとしている。

一時は動物の新種かと思われていたが、今回の研究結果を受け魔法庁の魔法生物課はワタリモモンガを正式に魔法生物の新種として認定する。またこのモモンガの風素を一定に保ち揚力を得る仕組みを研究することで、近い将来には滑空を目的とした魔法マントの開発ができるのではないかと期待されている。

※ワタリモモンガ……ここ数年で発見例が増えたモモンガの一種。同じ種でありながらまったく違う大陸で発見されていることから、動物にしては不可思議なことが多すぎると魔法生物の可能性を疑われていた。