【おしらせ】Q&Aサービス「le grimoire du catéchisme」を公開しました

Maho ONLINEが運営するQ&Aサイト「le grimoire du catéchisme」を公開いたしました。

le grimoire du catéchismeでは、あらゆる生活にまつわるお悩みをご投稿していただくことができます。また回答についても、どなたでも自由に書き込むことができますので、皆さまの知恵を困っている方々に共有していただけますと幸いです。

なお、基底世界に関する質問・回答の一部は、ピケ・エルレンヌ条約第136条4項に基づく魔素の保護に関する法律第43条1項に基づき、運営により削除させていただく場合がございます。あらかじめご了承のうえご利用くださいませ。

「基底世界」に関しましては、Maho ONLINEの運営するサイトMaho ONLINE wikiの「基底世界観」をご覧ください。

これからも、Maho ONLINEをはじめとして各種サイトをご愛顧いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

【本件に関する連絡先】
広報担当:atohs
魔水晶番号:0912301922491-2-98712
思念文字転送:pr@maho.online.wizard

サークルの姫、打ち上げ成功。意識の高さが成層圏を突破 RASA

総合インカレサークル「in-cha」の姫が、星海探査センターから打ち上げられ、解脱に成功した。

34日丑の刻過ぎ、サークルの姫は王立アトス大学星海探査センター(RASA)の儀式場から打ち上げられた。姫は約18分後に意識高度が成層圏を突破、所定の軌道で意味の境界面に接触し、解脱。姫の打ち上げは成功した。

「in-cha」は、所属学生数8万人を擁する国内最大のインカレサークル。サークルの姫に対する瞬間最大出力は98億チヤホヤを誇り、儀式効率の面から期待されていた。今回の打ち上げにより、サークルの姫は意味の境界面から現象世界を突破し、《向こう側》の世界へ到達したものと見られている。

過去に意味の《向こう側》への解脱を果たした人物は、大魔導師アトス、マム・ト・ララ上人、隠者ンドパマラなどが知られているが、チヤホヤによる解脱は世界ではじめて。

今回打ち上げられた姫は、人魚族のジャルゥ・ル・ヤャ氏。下半身が人間で、上半身が魚の人魚だった。

ゲネムのドードルス値がヘンダルラインをエクセイトしたことが判明 アッカリオの可能性

アトス大学パユパユ・ペペリリマーン学研究所は、アクラ内のゲネム組成がエンベルベル型になることの証明実験中にゲネムのドードルス値がダフォスに陥ることなくヘンダルラインをエクセイトする瞬間を捕らえた。

シャリバダールのスピルル器官に編み込まれたゲネムは本来カッコリ型であるが、デメデーラル・シャンクトリオ分離法によってナンディモゴンの成立過程をアックトラッシュするとゲネム組成はエンベルベル型になるのではないかと、理論パユパユ・ペペリリマーン学者たちは仮説を立てていた。

今回の実験はその仮説を立証するための実験であったが、デメデーラル・シャンクトリオ分離法の実行中、研究員の一人がスパスパアッシジの発生具合を調べるためにエルヌタリ式計測器を用いてドードルス値を計測したところ、ヘンダルラインをエクセイトしているのを発見。すぐさまデッテルビ安定機を用いてアクサバリ現象を防止しながら記録を開始した。

ドードルス値がヘンダルラインをエクセイトする場合、通常ゲタンボ組織のヘッタルゴン反応が阻害されてダフォスが生じるはずであるが、今回の実験ではダフォスは生じておらず、ゲルネリボーリュのアクサファイトも正常であった。

アトス大学パユパユ・ペペリリマーン学研究所所長のゼン=ゼン=スコスコマン名誉教授は語る。

今回このような現象が見られたのは、おそらくアッカリオによるセバルレ・レンコルフェンがサイドエスターミュを媒介にしてシラッサー系のカッチョカッチョ領域に入り込んだためでしょう。ゲネムのドードルス値は“エルドマンの下方流動忍耐方程式”によると、いかなる条件下でもアッカリオはシェペになることが知られています。サイドエスターミュはそのシェペになる過程におけるエマスとテネスの相同性を、アンクタル図形を描きながら毎秒8030ライラごとに解放していく作用を持ち、エデルカ=モートマッチの理論を用いれば、ドードルス値がヘンダルラインをエクセイトしてもダフォスが生じません。しかし、この現象は理論上あり得ないことではないというだけで、その確率は非常に低いのです。

アトス大学パユパユ・ペペリリマーン学研究所では今回の現象を再現するために新たな長期実験を実行中だ。

その実験ではアバル族の男女40人が被験体として参加し、一人ずつゲネムの摂取とエンベペ型情動処理を受ける。

まず、ゲネムのアッカリオ耐性がケッケリョ・ゾーンにあることを確認し、少しずつサイドエスターミュのバイオ・エレクトリック・エルスレンションを上げていく。スカミラ粒子が観測された時点でセバルレ・レンコルフェンを投与するが、この際カッチョカッチョ領域における優先順位がY軸を超えた場合、サイドエスターミュのブラブラ波が体内の魔素細胞Aを活性化させてピキュー状態となり、被験者は死ぬ。

そのためカッチョカッチョ領域における優先順位が常にW軸に安定するよう細心の注意を払いながら実験は進められる。

「もし現象の再現に成功したならば、おそらくスパラキュラの机をひっくり返すほどのパラダイム・シフトが起きるだろう」とスコスコマン名誉教授は少年のように目を輝かせた。

今日のおやつ:トロプ地方より「マンショショコラ」

今日のおやつはトロプ地方から。
フェンヘルバタ社さんが作られている、シンプルながら目を引くルックスの「マンショショコラ」です。

丸い土台部分にはトロプ地方名産の紅茶パウダーを使用し、爽やかな渋みを感じることができます。
土台の上に鎮座する、白く形取られたマンショにはクッキーやスターベリーが練りこまれていて、甘くサクサクとした食感が好対照のハーモニーを醸し出しています。

トロプ地方はマンショの涙を使用しアクセサリーの生産・販売をするなど、昔からマンショに親しんできた土地です。
マンショが作り出す涙はとても貴重なことから、トロプ地方ではマンショのことを「マンショ様」と呼び大切にしています。
マンショショコラは、そんなトロプ地方を象徴するようなお菓子なんです。

涙を流し終えたマンショ

マンショの可愛らしい姿を忠実に再現したこのお菓子、トロプ地方を象徴する新たなお土産の座に輝く日も近そうです。

「魔法は存在しなかった?」1000年以上前の古書、その一部を公開

昨日、魔術研究所アンティコ・マギアの書庫で発見された古書の中身が一部公開された。中身は古代文字・ハポネスと似た特徴を持つ象形文字で書かれているとされており、ところどころに謎の図説が挿入されている。内容の分析はまだ終わっていないとのこと。

しかし、現在解読されたうちの一文が研究者たちの注目を集めている。その一文の直訳は「魔の力や人の気は虚無である」というものだと、古書の一部公開と共に発表された。この直訳が示す事柄は、遠い過去には魔法が存在しなかったということなのではないかと、研究所から提唱されている。

事の始まりは2年前の1月。【アンティコ・マギア】が誇る世界最大級の書庫で、蔵書リストに記録されていない書物が見つかったと一時期話題になった。当時発表されたのは本の外見と、紙の劣化具合から1,000年以上前に出版されたものだと思われること。

まずは修復魔法による復元を試みないことには始まらないと、復元研究員一同は張り切っていた。そして、約2年半かけて、かつでないほど繊細な修復に成功したということで、今回のお披露目が可能となった。

復元が終わり、最も時間がかかるとされる内容の分析と解読の段階に入ったことで、研究所内ではまた新たに引き締まる空気が漂っていると言う。そして、大仕事を一つ終えた復元員たちは、【アンティコ・マギア】所長のアブラハム・コールズ氏から、存分に羽目を外してほしいと告げられ、一ヶ月の有給を得られたそうだ。

問題の一文は、まだ直訳なため、様々な解釈が魔法研究界で挙げられている。それでも、現時点で一番有力となっている説が、冒頭で告げた「魔法は存在しなかった説」だ。

我々が日常で当たり前のように扱っている魔法という力は、約1000年もの年月を経て発達した技術であることは常識として知られている。この期間を「魔導歴史」と呼ぶのも、先代たちが残してきた魔術の道導が積み重なったことに対する敬意を表すためだ。それほどまでに、魔法という存在は大きいものとなっている。だからこそ、1000年以上前の魔法事情が知られないことは、大きな謎として扱われてきた。

我々が幼少期に聞いて育った、数々のおとぎ話 ー 剣術だけで戦さに勝利する王国や、マントを着ない学生たちの友情など ー も、知られざる過去から由来するという説があがっていたことをご存知だろうか。これもまた、空白の歴史がもたらした謎の一つだった。しかし、あながち間違っていなかったのかもしれない。

もし、魔法が存在しなかったのであれば、大昔の我々の先祖は一体どのような生活を送っていたのだろう。通勤・通学の手段は浮遊魔法や転移魔法ではなく、医療現場では薬草や治癒魔法の効果に甘えることができなかった。公開された図説の一部には、人体と思わしきものも載っていた。もしかしたら、肉体構造まで違っていたのかもしれない。にわかに信じがたいが、可能性は十分ある。
 

最後に。コールズ所長は発表時に:

「新しい歴史と、現在とはまったく違う文明が明らかになるかもしれない。過去を紐解く長い旅の始まりに携わることができる。大変嬉しく、光栄に思います。そして、現代の根本となる魔法の誕生について詳しいことがわかるかもしれない。そのことに、ひとりの魔法研究者として興奮を覚えております。」

と、目を輝かせながら語っていた。

知識を追い求めることに夢中になりがちな、我々魔導師。そして、魔術とその理解を生業としている身ならば、ぜひ追ってほしい研究案件だ。

アグニ炎症患者数 過去最多に

世界魔法学医療機構は本日、今シーズンのアグニ炎症患者数が過去最多の2273万人となったことを発表した。

アグニ炎症は、増幅した空気中の炎魔力の影響によって体内の魔力均衡が崩れることで、発熱・発火などの症状が引き起こされる魔力疾患。大人であれば重症化することはほとんどないが、魔力均衡の不安定な子どもや老人、炎魔力に対する抵抗力の弱い水属性の精霊などがアグニ炎症にかかった場合は、火傷や魔力枯渇による意識混濁などを引き起こすこともあり、注意が必要。

王立ミケア施療院のプリストス医師は、今回の感染拡大の要因のひとつに「月照時間の長さ」があると指摘した。

「月明かりには昂る魔力を鎮静化する作用があり、我々魔法使いにとっては必要不可欠なものであるが、今年は月照時間が例年に比べ3割ほど長く、気温も上がらなかった。そのため、例年であれば冬眠しない地域のサラマンダーの多くが冬眠してしまい、地表から出る炎の魔力が吸収されることなく空気中に放出されてしまったのだろう」(プリストス医師)

アグニ炎症患者が解熱や消火のために市販の水属性魔力の増強薬等を使用すると、魔力均衡を司る器官の変質が起こり、重篤な後遺症が残る可能性もあるという。

「アグニ炎症が流行っている時期は特に、素人判断で市販の薬を服用するのではなく、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてほしい」(プリストス医師)

アグニ炎症の流行には地域差があるが、特にレドルフランケ地方では流行レベルが4まで引き上げられている(最大5)。レドルフランケ地方連続放火事件の跡地からは未だに小さな火の粉が発生することがあり、その影響で炎の魔力が増幅しやすくなっているためだと考えられる。

流行レベルの高い地域では、一定期間炎の魔力を溜めこんでおく性質のあるヒエンソウの種を撒くほか、眠っているサラマンダーたちを一体一体起こしていくなどの地道な対策がなされており、今後は徐々に鎮静化していくとみられる。そのほか、世界魔法学医療機構は「外に出るときは水属性の魔力障壁を張るように心がける」「サラマンダーの鱗などでできた装飾品を身につけ、余分な炎魔力の吸収を抑える」などの感染予防を呼びかけている。

「ふえるおかねちゃん」実用化に目処 錬経研、増殖する黄金の開発に成功

王立アトス大学錬金経済学研究所のンゼロ・リンリカ教授率いる研究グループが、金属ベースの粘菌生物から自己増殖する生体黄金の開発に成功した。金の精錬は全錬金術師の悲願であり、賢者の石開発につながる成果として期待される。

同グループは、一般にメタルスライムとして知られる腐肉食性の粘菌生物種「ヒトクイテツフグリ」をベースに、多数の魔法生物を儀式的に掛け合わせることで、生体魔素を分解し黄金の子実体を形成する新種を開発。実用試験を重ね、開発名称を「ふえるおかねちゃん」へと改称した。

生体黄金の問題は、飼料の変換効率が悪い点にあった。これまで同グループは、サラマンダーやウンディーネの精霊肉を始めとする高級飼料を用いていたが、より安価で安定的な飼料の発見に成功。コストパフォーマンスの問題を解消し、実用化に目処が立った。「貧困や飢餓、人口爆発などの経済問題は、やがて過去のものとなるでしょう」とリンリカ教授は意欲を見せている。

ふえるおかねちゃんの幼生
▲魔法瓶に収められた「ふえるおかねちゃん」の幼生

「ふえるおかねちゃん」は、僅か5センチほどの幼生から1年で約3メートルにまで成長。与える食料にもよるが、魔法肉を食べることで平均して純度75%ほどの黄金として体積を増加させる。実験室で飼育されている個体は、昨年度では約7.5トンの巨体にまで成長した。

「ふえるおかねちゃん」実用化を受け、王立アトス大学は錬金経済学部の大幅増員を決定した。有望な若手研究者の確保、増員が狙いとみられる。

前年度では錬金経済学部の学生のうち62%にあたる約1300名が失踪。例年にない失踪者数に、同学部は定員割れを起こしたことで知られる。今回は特例として入学金・入学試験免除と、広く魔法使いを募集する姿勢だ。リンリカ教授も「最先端の研究に携わるチャンスです」と話している。

魔法省、現サバトへ式神・使い魔使役法改正案を提出

式神、使い魔が術者に歯向い起きた死亡事故が、大和、ルネロで計2件起きていたことが、式神安全対策委員会や魔法省などへの取材で7日、分かった。死亡事故の件数が明らかになるのは初めて。事故やトラブルも、昨年12月までの約3年間で少なくとも108件発生していた。式神は現在、国内で十万ほどが使役されているとみられ、今後も活用範囲の拡大が予想される。魔法省は対策を急ぐ必要があるとして、召喚・使役術式点検の義務化などを内容とする罰則付きの式神・使い魔使役法改正案を開会中のサバトに提出する方針を固めた。

魔法省などによると、死亡事故を起こしたのは、いずれも代々受け継がれている式神・使い魔の伝承儀式中のこと。800年8月、大和、邪馬台国で、伝承儀式中に使役者の贄の血に反応した式神が暴走。ルネロでは伝承儀式中に使役者の魔力量が足りず使い魔に食い殺された。

周囲にけが人が出た事故では、1700年7月に京の都で、悪鬼を退治するため使役していた男性が式神の攻撃が直撃し右足を切断。1701年11月には、任命式中の式典で演出を担当していたグリフォンが結界を避けきれず衝突し観客に落下し、5人が救急搬送され、3人が軽傷を負っている。

式神・使い魔の事故やトラブルについて、魔法省は設立から件数を集計している。それによると、けが人が出た事故は300件、建物や車などの物損事故は279件。空飛ぶ箒や空飛ぶ絨毯など、魔法航空機に異常接近した事例も87件あった。結界への落下のほか、墜落、炎上して周囲のマンドレイクに延焼した例など、大事故につながりかねないケースもあった。ただ、集計の基になる使役者の報告は任意で、実際はさらに多く発生している可能性がある。

式神・使い魔使役法改正案は、使役者に対して使役前点検や自身の体調などの状況の確認、魔力衝突などの避けられる衝突予防を義務化。無理な使役など他人に迷惑を及ぼす可能性がある行為や、飲酒後の使役を禁じる。事故発生時に、魔法省が使役者との聞き取りや立ち入り調査をすることができることも規定する。

式神・使い魔の使役に資格はなく、今後は式神・使い魔の能力によるランク付けや使役者の資格を義務付ける法も検討しているとのこと。

若い世代の魔法が前時代化?その意外な理由とは

魔法の発展において、「術式の簡略化」「発動の高速化」は長らく大きな課題とされてきた。

余分な過程を省略し、速く、正確に、狙った効果だけを発動させる。それが優れた現代魔法の条件である。

しかし近年、若い世代で古い形式の魔法が流行しているという。細かい魔法陣を描き、長い時間をかけ、派手な光や爆発と共にやっと小さな魔法がかかる……そんな時代錯誤な魔法に、若者たちは意外な観点から価値を見出していた。

「だって、派手な魔法は《映える》じゃないですか」

筆者がインタビューした王立アトス大学2年のリリーナ・アイビィ(仮名)は、そう言って鉱石型スマートフォンの画面をスクロールしてみせた。流れていくのは鮮やかな光や色をまとう、害も益もない魔法と笑顔の若者たちの写真。

「これは先週末、友人と一緒に撮りました。花の精霊を呼び出す魔法なんですけど、ほら、魔法陣から既にカワイイじゃないですか」

精霊のつかさどる植物をかたどった魔法陣を、その花の色のインクで描いていく。確かに面倒だが、過程からして美しい魔法ではある。

「多少めんどくさくても、綺麗な魔法は使ってみたいし、友達みんなで協力して何か一つの魔法をかけるのって楽しいです」

魔法をかける過程から写真に残し、SNSのMapitterや、Toristagram(写真投稿中心のSNS)に投稿するのだという。

奇妙なきっかけではあるが、古典魔法に若い世代が価値を見出したという事は貴重な事象である。今後は学問の分野でも何か新しい発見が期待できるだろう。

 

6000年の威光が崩壊の危機 強引な学術調査に批判が集中

6000年の間存在していたアクストゥム神殿の荒廃が、ここ半年で大幅に進んでいる。

アクストゥム神殿は、現在ではすでに失われた人柱による時間停止魔法が使われていると考えられており、その調査は失われた古代魔法の解明に向けた大きな一歩になると思われた。試掘調査ののち、半年前から長期にわたる発掘調査が続けられているが、それに伴いアクストゥム神殿の荒廃が一気に進んでいることが問題視されている。

アクストゥム神殿が建立された理由は定かではない、しかし、確かなのは6000年の間に様々な災害、戦災に巻き込まれたと言うことである。エラム帝国滅亡時において、エラム王族が神殿に立てこもった際に反乱軍による攻撃が行われたものの、傷一つ付かなかったという。実際に保存行為が一切行われていないにもかかわらず、石製の床には一条の傷もなく、壁にはしみ一つなかった。

しかし、現在の神殿は見る影もなく荒廃している。真っ白だった壁は剥がれ落ち、黄金に美しく輝いていた鐘は錆が目立つ。荘厳な柱は既に折れる寸前のようなありさまだ。その原因は、おそらく発掘調査によって見つかった数百人に及ぶ死者の遺体を持ち出したことにある。その遺体はおそらく神殿建立時に埋められたものとみられるが、つい先ほどまで生きていたような瑞々しい状態を保っており、人柱による時間停止魔法の証明であると現場は歓喜に包まれた。詳細を調べるため、神殿外に遺体を持ち出したところ、6000年の時を埋めるように腐敗が進み、翌日には白骨化してしまったと言う。この時、柱に亀裂が走るような音を聞いたと調査員が複数いたことが報告されている。

調査以前から時間停止魔法が解除された場合の危険性には様々な学者から指摘がなされており、調査団はその反対意見を押し切る形で調査を開始した。現在も調査責任者は沈黙を保っているが、このまま調査を続行するのか、はたまた保存を優先して新たな方法を模索するのかは定かではない。どちらにしても、強引な学術調査を行うその研究姿勢には今後も批判が集まりそうだ。