「時の流れ遅くならなかった?」報告相次ぐ=サテン町区

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78週18日昼頃、カレス・ノワ中央部、サテン町区付近で、奇妙な報告が多数寄せられた。それは”時の流れが一時的に遅くなった”というものである。

サテン町区は、カレス・ノワ中央部の西に位置する居住者4,000名程度の町で、四方をヒュルレ山、ジフクサン山、呪泉地としても有名なジッポロ山岳等の険しい地形に囲まれている。また、町の南にはサテン銀鉱や南ブラテン・ミスリル鉱山などの鉱山が存在し、一期前から一種のマニアには観光地として話題となっていた。18日も観光団体などが訪れ、町の名所を満喫していたようだ。

そんなサテン町区で、時の流れが遅くなる現象「歪時」が観測された。事故や事件、呪術、集団幻覚によるものでは、と一時魔警隊に報告が相次ぐ事態になったようだ。

SNS「Witchila」に投稿された報告によると、およそ1分程度にわたって、最大で2/3程度の速度まで時間の流れが断続的・不安定に遅くなったとのことである。現在当該の投稿は削除されているが、さらなる事故・事件の可能性を警戒するよう呼びかける声もあった。

その後の調べによって、歪時は自然現象によるものだったということが判明し、意外な顛末に人々は驚きの声をあげている。

地学の専門家トゥヴィ・ケタシィ氏はこのように述べた。

「ヒュルレ山の地下水脈は、町の地下を貫く形で東から西へ伸びており、一種のトンネルのようになっている事が知られています。また、同じくヒュルレ山では時空性の魔石がしばしば発見されており、その純度は非常に高く、世界でも珍しいレベルのものです。先日の雨で増水した水脈によって流れてきた魔石が落石などで破壊され、今回の歪時を引き起こしたと考えられます。実際に、空間の歪曲を調べるシンチレータ上でも、町の地下から強い歪曲を検出していて、どういった過程で魔石が破壊されたかはともかく、自然現象ということでほぼ間違いないでしょう。非常に珍しい事象で、いくつかの古い文献に似たような事象が書き記されているだけとなっており、私も240年近く研究を続けておりますが、初めて聞きました」

また町区の広報担当者は取材に対し、「びっくりしましたが、事件でなくて本当によかった。むしろ、サテン町区の新しい目玉として積極的に売り出していきたい。まずは…もちろん、ご当地ウィッチド・クロック(※)からですね(笑)」とコメントした。

(※ウィッチド・クロック:強い魔力が込められた時計の一種。蓄積されている魔素が尽きるまで、何度かエネルギーを解放することで、使用する当人の時の流れを一時的にコントロールすることができる。その上非常に細かい時間を表示できるので、当人以外の時間の流れも正確に把握することができ、インテリアとしても魔具としても人気が高まっている)

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