死んだことに気付いていなかった男性に市民権 異例の処置

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魂魄のみの存在となった王国在住の男性(42)に市民権を与えることを、王立最高議会が発表した。世界初の魂魄のみの市民の誕生となる。

男性は先月3日、寺院の側で倒れているところを通行人により発見された。駆けつけた救急隊員によって死亡が確認され、たまたま通りかかった男性の知人により、身元も判明した。

知人は「あいつ、そそっかしいから、自分が死んだことに気付いてねえんだ! 知らせてきます!」と言って男性宅へ向かい、そこで魂魄として残存している男性を発見。彼はちょうどコーヒーを淹れて飲もうとしているところで、「どうりでうまく飲めないと思ったんだ。そうか、死んでいたのか」と語ったという。

肉体と魂魄はすぐに王立病院に運び込まれ、再癒着が試みられたが、肉体の損傷が激しかったために断念。その後、魂魄に市民権を認めるかどうかが議会で争われていた。

通常、死後の肉体から離れた魂魄は「幽霊」として扱われ、市民権が認められることはない。しかし男性は以前より魂魄の離脱を度々起こしており、今回も魂魄が離れたことに気づかずに家へと帰り、そのまま肉体を野犬に食われて復帰することが不可能となってしまった。そのため、「死ぬ前に離脱した魂魄は幽霊とはいえない」として、王立最高議会は男性に市民権を与えることとした。

なお、手続き上は一度男性は死亡し、新たに男性の魂魄に市民権が与えられた形となる。魂魄の扱いに関する新たな事例として、今後の司法判断に大きな影響を与えそうだ。

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