楽しいはずの時間が一転、大惨事となった───。
ロウタイク、ジン中央地区にあるライブホール「DOOMKAA」で52週42日、カーズメタル系のライブイベント「Baphomett Circurse」の開催中、バンドの演奏によるものとみられる”実際の”悪魔が偶発的に召喚され、62名が地獄へ堕落するなどして行方不明となった。
同じく、混乱による人混みで転倒するなどして、12名が軽傷、2名が重傷を負った。
カーズメタルは、悪魔や魔神などを崇拝する事に重きをおいた音楽ジャンルで、近年のアンチホーリイズムの台頭によって若年者層から根強い人気を得ているムーブメントだ。
事故の起こったライブイベント「Baphomett Circurse」でもホールの収容人数からみてほぼ満員となる、約1,200名(主催者発表)が参加していたとみられている。
しかしながら、残念にもそのことが多くの犠牲者を出すことに繋がってしまった。
イベントの参加者からは、「バンドの演奏中に突如”闇”が差しはじめ、その後間もなくおぞましい悪魔が召喚されたのを見た」「(バンドメンバー側も)かなり驚愕していた様子だったので、偶発的に起こった事故ではと思った」「何の対価も無く呼び出された悪魔は相当に怒り狂っていて、どんどん(参加者が)飲み込まれていった」「地獄がすぐそこに見えた」と、事故の生々しい証言が寄せられている。
呼び出された悪魔についてはその後、偶然にもライブに参加していた聖職者たちと、地元魔警隊の力によって退魔された、と地元魔警隊は発表した。
依然として、事故の顛末については不明な点も多く、魔導警察と聖教団体が協力して捜査および解明にあたると声明を発している。
専門家のム・トリ・トウマ氏は、カーズメタルやドゥームレイヴといった、悪魔などを崇拝する音楽の演奏中は、黒魔法に用いられるような邪悪な魔力の密度が比較的高くなっている。そのため周辺では故意にも偶発的にも悪魔の召喚が起こりやすくなっていることを認識すべき、と危険性を指摘した。
また「アンチホーリイズムを代表とした新しい世代の娯楽や文化に対して、その危険性を鑑みた適切な法整備と保護が必要」「悪魔側とも(魂を用意するなどの旧時代的な方法ではなく)真摯に交渉すべきでは」と事故が繰り返されることや、対応や法整備の遅れに懸念を表した。