ポーション・スクロール 活用のすゝめ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

昨年9月に行われた、魔法薬処方並びに医療魔法施術費改正に伴い、ポーション・スクロール(以下PS)を持参した場合に値引きがされるようになったのをご存知だろうか。

調合局利用者に訪ねたところ、知っているという方は4割程度に留まった。また、PS自体を所持していない方も多数いるようで、主人の代理として調合局に来た使い魔にも話が伝わっていないという様子だった。

未だ認知度が低いPSがどういったものなのか、説明していこう。

ポーション・スクロールとは?

自分が使っている魔法薬の名前・量・保管方法・使用方法などが記録できる巻物である。副作用や拒絶反応の有無、過去に変身した動物や人物、体調の変化等も記録されていく。

内容

  • 処方内容
    調合日/調合局名/担当調合師名/魔法薬名/魔法薬の用法・用量/試行調合か否か など
  • 副作用歴
  • 拒絶反応歴
  • 主な使用方法、使用歴

PSを使うメリット

  • 飲み合わせや調合材料、効果の重複をチェックし、副作用や事故のリスクを減らすことができる
  • 副作用歴、拒絶反応、過去に状態異常を引き起こした薬の情報などを伝えることができる
  • 天災、異空間移動時などの緊急時に、自分が服用している魔法薬の内容を伝えることができる
  • 調合師のいわゆる「気紛れ調合」を抑制する効果が期待できる

取材をした調合師のF女史は、「スクロールを持参して頂けると、飲み合わせ事故防止に協力して貰えているという気持ちになりますし、こちらとしても新薬開発の糸口になったりもするのでとてもありがたいのです」と語ってくれた。

また、「プライバシー問題等、まだまだ課題はありますが、皆様のご協力を得られれば、魔法薬と上手に付き合える社会ができると信じています」とも言っていた。

留意点

現在PSを使用できるのは、魔法薬調合機関(Magical Drafts and Potions Organization, MDPO)に加盟している調合局に限られる。中には、非加盟でありながら使用を承諾してくれる個人経営の調合師もいるが、全ての人がPSの運用を快く思っている訳ではない。

その一番の理由として、魔法薬の成分が明るみになることが挙げられる。秘伝の魔法薬の成分を知られたくない、という気持ちもわからないではない。プライバシーの侵害では? という声も少なからずあがっているため、情報保護魔法を施したスクロールも流通し始めているが、まだまだ課題があるのは事実だ。

最後に

さて、PS──ポーション・スクロールに対して、少しでも興味を持ってもらえただろうか。我々の生活とは切っても切れない関係である魔法薬。それでも魔法薬の飲み合わせによる死亡事故というのは技術が発展した現在であっても毎年のように起こっている。事故防止のためにも、PSの認知度が上がり、携帯する人が増えることを願うばかりである。どうか皆さんが、知らず知らずのうちに胃を煮え立つ大鍋にしてしまうことがありませんように。私みたいにね。

【取材協力】
オリエント調合局

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*