昨日、王立第三魔術院が会見を行い、七大未解決術式のひとつとして知られる「ルフレイフ・スミスおよび大天使ジャオエルによる異空間同位体連結を用いた無限転送魔法陣と、それにまつわる17の術式」(以後、ルフレイフ・ジャオエル術式)の解読に成功したと発表した。王立第三魔術院は、先月末、この事象に関する論文を王立魔術魔導総合諮問委員会に提出。論文は羊皮紙3,000枚におよび、現在、複数の元老がこの論文の妥当性を検証している。
ルフレイフ・ジャオエル術式は、およそ3,000年前、「青の魔導師」と呼ばれたルフレイフ・スミスと、現在は北ジャイロミ山脈で3億年の眠りにつく大天使ジャオエルにより組まれた一連の術式。ウルルガスの災厄から6億人の人々を救うためのもので、ひとつの大魔法陣と17の術式、368の魔法陣を3日で完成させたと伝えられている。
術式発動後、災厄によりその一連の魔法陣と術式の8%が欠損。大天使ジャオエルが眠りについたことで解読不能となった術式を解析するため、これまでに幾多の魔術師がこの難問に挑んできた。
主に非有機的魔導機関を用いた研究を行う王立第三魔術院は、5年前より、人工魔術思念体「Mu-ka」1万5千柱を概念世界に展開し、解析を開始。昨年までに一通りの解析を完了し、概念世界での復元操作を行い「解読」と結論づけ、今回の論文提出に至った。なお、発表によると、術式を実際に組んで展開するにはドワーフ100人で10,000日かかり、術式の発動にはエルフが生涯で生成できる平均的な魔力量×10の194,723,091乗の魔力が必要とのこと。王立第三魔術院長のアルゴ・ミステリクル氏は「これは歴史的な成果であり、人工魔力生成技術が目まぐるしい発達を見せている昨今、皆さまの目に見えるような形でこの研究の成果が見えるようになる日も近いだろう」と語った。