先週末、「コーヒーを作る魔法」が認定局によって承認された。発明者は魔法研究家のマメ・イール氏。彼は「水魔法のちょっとした応用」として200年ほど前からコーヒーを作る魔法の開発をはじめ、ようやく承認にこぎつけた。
だが、この魔法に関して評論家達は手厳しい指摘を行なっている。
まず、定義しなければならない構造が多すぎる。
たとえば火炎魔法であれば、ごく短い詠唱で火球を生み出すことが可能である。だが、マメ・イール氏はかなり厳密な、詠唱による定義づけを要求する。
ごく普通のワンカップサイズのブラックコーヒーを作る呪文が、「スタンダカップスタンダオンカフェインノーシュガーノーミルクホットスタートプリーズ」。シナモン入りのアイスカフェオレ(トールグラス、砂糖角砂糖2個)を作る呪文が、「トールグラスアブオンカフェインプリーズシュガーダブルオーケーミルクアイスシナモンスタートプリーズ」。
さらに、詠唱は7秒以内に行う必要があり、それを超えた場合は詠唱が破棄される。詠唱を誤った場合ももちろん破棄され、コーヒーは作られない。実際、マメ・イール氏は実演で何度も詠唱を間違えており、当初発明に関して懐疑的な視線が向けられていた。
「自分でコーヒーを淹れたほうが早い」
「発明してるときにカフェインが足りてなかったと思う」
「発明者以外使えない。使える人間がいたら20万マホ払ってもいい」
辛辣な評論で知られるレビュー・キチ氏はそう述べる。
一方、王立アトス大学の流行り物好きな女子学生グループが、この魔法の習得に乗り出している。