アグニ炎症患者数 過去最多に

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世界魔法学医療機構は本日、今シーズンのアグニ炎症患者数が過去最多の2273万人となったことを発表した。

アグニ炎症は、増幅した空気中の炎魔力の影響によって体内の魔力均衡が崩れることで、発熱・発火などの症状が引き起こされる魔力疾患。大人であれば重症化することはほとんどないが、魔力均衡の不安定な子どもや老人、炎魔力に対する抵抗力の弱い水属性の精霊などがアグニ炎症にかかった場合は、火傷や魔力枯渇による意識混濁などを引き起こすこともあり、注意が必要。

王立ミケア施療院のプリストス医師は、今回の感染拡大の要因のひとつに「月照時間の長さ」があると指摘した。

「月明かりには昂る魔力を鎮静化する作用があり、我々魔法使いにとっては必要不可欠なものであるが、今年は月照時間が例年に比べ3割ほど長く、気温も上がらなかった。そのため、例年であれば冬眠しない地域のサラマンダーの多くが冬眠してしまい、地表から出る炎の魔力が吸収されることなく空気中に放出されてしまったのだろう」(プリストス医師)

アグニ炎症患者が解熱や消火のために市販の水属性魔力の増強薬等を使用すると、魔力均衡を司る器官の変質が起こり、重篤な後遺症が残る可能性もあるという。

「アグニ炎症が流行っている時期は特に、素人判断で市販の薬を服用するのではなく、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてほしい」(プリストス医師)

アグニ炎症の流行には地域差があるが、特にレドルフランケ地方では流行レベルが4まで引き上げられている(最大5)。レドルフランケ地方連続放火事件の跡地からは未だに小さな火の粉が発生することがあり、その影響で炎の魔力が増幅しやすくなっているためだと考えられる。

流行レベルの高い地域では、一定期間炎の魔力を溜めこんでおく性質のあるヒエンソウの種を撒くほか、眠っているサラマンダーたちを一体一体起こしていくなどの地道な対策がなされており、今後は徐々に鎮静化していくとみられる。そのほか、世界魔法学医療機構は「外に出るときは水属性の魔力障壁を張るように心がける」「サラマンダーの鱗などでできた装飾品を身につけ、余分な炎魔力の吸収を抑える」などの感染予防を呼びかけている。

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