若手作曲家の新曲が物議 「伴奏楽器」にマンドレイク

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現代作曲の新鋭、イアビイ・エッケ氏の「新曲」が物議を醸している。
問題となる曲は「男声合唱とマンドレイクのための組曲 Clamamus」。コーラスパフォーマンスチーム「カンティ・マギ」の委嘱によって作曲された5曲からなる合唱組曲で、タイトルの通り5曲中4曲の伴奏にマンドレイクを使用するという編成に、曲名の発表当初から衝撃と困惑が広がっている。

エッケ氏はこれまでにも「バリトン独唱と2本のホウキのためのプリミティブ」「乾燥帯(筆者註:曲中、ソリストはエニシダの茂みに頭を突っ込むよう指示がある)」など独創的な声楽曲・合唱曲を作曲しており、「ボイスと自然の融合」を掲げた「ボイスインザワールド」の提唱者として知られているが、今回の「Clamamus」は以前にも増して挑戦的だ。
このあまりに前衛的な楽曲について、カンティ・マギのリーダーであり、エッケ氏との親交も深いドゥドゥン・ロービー氏は以下のように語っている。

最初に楽譜が送られてきた時、ぼくらも皆表紙を二度見しましたよ。だってどこからどう見ても「マンドレイクのための」って付いてるんですよ?(笑)
で、開いてみたらちゃんと「ここでマンドレイクを抜いて!!」って譜面に書いてあって。
練習の時は本物を使うわけに行かないので、メンバーが「それっぽい叫び声」を録音したものを鳴らしています。同時にマンドレイクを引っこ抜くパートが毎回鉢からぬいぐるみを引っこ抜くのね(笑)
でも、やっぱりそこはマンドレイクに叫ばせることに意味があって、ぼくらの「声」だけじゃ絶対に作り出せないサウンドがそこにはあるんです。
エッケもそのつもりでこんな楽譜を書いてきたんだろうし、じゃあぼくらもぼくらに歌えることを歌いつつ、本番はマンドレイクのパワーとどう共鳴していくか、今からワクワクしてます。
Clamamusの初演まであと2ヶ月を切りました。当日は防音壁完備の会場でお待ちしています(客席への防音魔法も完璧です!)し、ぼくらもそれぞれ防音魔法完備でステージに立ちますので、是非カンティ・マギの新しいサウンドを身体で感じて頂ければと思います!

卓越した歌唱技術のみならず、身体を張ったパフォーマンスや観客の五感全てに訴える演出でも知られたカンティ・マギ、そして既存の「音楽」のイメージに囚われず自由でエネルギッシュな表現を追求するエッケ氏の「本気」が垣間見えた。
一方で環境保護団体や植物学者を中心に「野生個体数が激減しており、国によっては天然記念物指定も受けているマンドレイクを演奏の度に使い捨てるのはいかがなものか」という批判も出ており、エッケ氏及びカンティ・マギはこれについて未だコメントを控えている。

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