モンコッド魔法具商会 亜ルキス魔法に注意呼びかけ

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ルキス・モンコッド氏考案の『ルキス式携帯小型水晶球遠見魔法』(通称『ルキス魔法』)は、それまで座標設定の難しさからある程度大きさのある据え置き式水晶球でしか使うことのできなかった”遠見”を、小型の水晶球と専用術式を施した台座を組み合わせた携帯式の魔法具で使用可能にする画期的なものであった。

その登場からおよそ三十年、さらに小型化・高性能化・省魔力化が進んで、今や移動しながらでさえ旧来以上の高精度で”遠見”が使えるようになった。もはや生活する上でなくてはならないものであるといっても過言ではないだろう。

ところが昨今、このルキス魔法具の亜種が低価格で出回っている。これは低位の錬金術などで作られた人工水晶球を使ったもので、特に移動しながらの使用の際には使用者の魔力を正規品の1.5倍から3倍ほども必要とする場合があるという。

モンコッド魔法具商会の広報担当者は、以下のように呼び掛けている。

「われわれの設計思想では安全性が最上位に置かれているし、魔法具を取り扱うすべての人々がそうあるべきだと考えている。われわれは危険なものに価値を認めない。亜ルキス魔法は無駄に魔力を消耗するとともに周囲への警戒が疎かになり、転倒や衝突、魔物への不用意な接近などの危険性もある。ぜひわれわれの正規品を使用してほしい」

一方で、同商会の市場独占状態には不透明な部分もあるとして、遠見魔法具業界に強引に食い込もうとする新規参入者も多い。

今は亜流でしかなくてもモンコッドに迫る品質を備えた相手が近い将来現れることは十分に考えられ、使用者の選択の幅が広がるとともにより一層のモラルも求められることになるであろう。

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