自己増殖する“不幸の手紙”ついに規制 死亡事故も

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特に若い魔法使いの間で流行している術式“不幸の手紙”に規制が入ることになった。法整備を進めるため、魔法務省は専門家への聞き取り調査を進めている。関係者への取材で判明した。

不幸の手紙は特定条件を満たさなかった場合に発動する術式で、手紙を受け取った人物へ小さな不幸をもたらす。多くの場合「3日以内に同じ内容を5人に送る」ことが条件として採用されるが、この術式を初めに作った魔法使いは明らかになっていない。

術式の発動による不幸は靴紐が切れるなどの小さなものだが、今回規制の対象となる不幸の手紙は自己増殖・効果拡大の術式が含まれた亜種、もしくは改造版だ。

“不幸の手紙・改”は郵送時に増殖し、隣接する郵送物の住所を複製して無関係の人物へ届けられる。また、受け取った魔法使いが“不幸の手紙・改”を複製する工程を経るたびに、術式発動時にもたらされる不幸がより重く大きいものになっていく。

マロー・マッチェが提供するオンラインゲーム『パズ☆パテ』は、ユーザーからの手紙に紛れて届いた不幸の手紙に気付かず、魔晶サーバーに埃が入り機能が停止。一時的にサービスが利用できなくなるなどの影響が出た。

死亡事故の犠牲者の家やポストから術式発動形跡のある不幸の手紙が発見され、呪術課の捜査で因果関係が立証されたケースもある。

ガガルザード市の開発地区で作業用の足場が崩れ、通行人を含む12名が死傷した事故で、建築工事を請け負っていたドーグ建設は安全管理に問題はないと主張。遺品から不幸の手紙を見つけた遺族が警察に届け出たことで捜査が呪術課に引き継がれ、不幸の手紙の術式発動が原因と認められた。

不幸の手紙術式に詳しい呪術研究家のワワワ・ユー・ニファソランデ教授は、不幸の手紙を“非常に高度で難解な呪術”と表現し、安易な呪詛返しに警鐘を鳴らす。

複製・増殖を繰り返した不幸の手紙は、元となる術者との縁が薄くなっており、通常の呪詛返しを無効化しやすい。

完全な解呪には精密な術式分解と術式解体の技術が必要で、手紙に記された期日には間に合わない場合もある。

不幸の手紙を受け取ってしまった場合の対処法として、呪術課対策チームは「現状は」と前置きした上で「手紙のルールに従うこと」を推奨している。

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