王立魔法生物学研究所(王魔生研)の朝倉です。
ホラー。ホラーといえば、アンデッド。ゴーストの皆さんは、肝試しでは大活躍ですね!
今回は、そんなアンデッドの皆さんについて紹介します。
(その前に。一般にわかりやすいためアンデッドやアンデッド族という単語が広く使われていますが、魔法生物学上”アンデッド族”なる種族は存在しませんので、迷信にはご注意ください。)
さてアンデッドの存在は古来より知られ、その創出法は様々な古典魔術の経典に秘術として記されていたり、口伝によって受け継がれていたり、強大な王の伝承の中に存在が仄めかされていたりと、様々に伝えられ、多くの種族や派生系がいると考えられてきました。
また、古典的な死霊術の分類法を重視する声も強かったため、比較的若い魔法生物学の合理的な分類法とは独立して分類されてきました。
しかし、最近になってようやく新分類法が広く認められるようになりました。
昨年開かれた、全界魔導大会の分類規定会議で正式に採用された新分類法では、それぞれのアンデッドに対する学名を決定し、死霊術学 (Necromancology) や、錬金術学 (Alchemistry) によって再考された、一般分類法で体系化します。
一般分類法では、アンデッドは“不死者(Living dead)”と“魂魄 (Soul)” の2つに大別されます。
その中で、不死者は“一般型 (normal type)” と“感染型 (Infection type) ”、魂魄は“憑依系 (Possession type)” と“ゴースト系 (Ghost type)” に分けられることになります。
魔法生物分類学では、不死者の特殊性から独立した分類体系を採用せず、各アンデッドの特徴などから既存の分類体系に組み込まれることになっています。ただ、「魔法生物として独立しているかどうか」という点では感染型のアンデッドは、まだまだ議論の余地があります。
不死者は、魔力と精神が生物体に影響し、アンデッドとしての性質を獲得し進化したと考えられています。
実際、魔生学的な特徴はアンデッドの種間よりも、その基となったと考えられる魔法生物との間で共通性が確認されています。
このため、アンデッドを分類する上では、見かけ上の特徴を基にした魔法生物分類学的な分類よりも、アンデッドの特性に基づいた死霊術学的な分類を用いる方が理解しやすいのです。
一方で、魂魄のアンデッドは精霊の派生として分類されるべきだ、という意見が多くありました。今回の新分類法は、主に魂魄のアンデッドたちを合理的かつ体系的に分類するための大改訂であると認識されています。
今回の大改訂では、ゴーレムの研究や人工精霊の研究に影響を与えると考えられており、ゴーストの権利保護を啓蒙する団体などから大きな支持を得る一方で、応用錬金術の一部の分野の研究の衰退に繋がるという指摘もあります。また、魔力と精神の関連に焦点を当てた研究が発展することで、線引きが明確になると期待される一方で、早期の研究対象ガイドラインなどの策定が望まれています。
そして教育や入試の面では、教科書の内容が改定されるのは、次々年度からとされています。しかし、内容としてはおそらく来年度の入学試験から取り扱われるだろうと予想されているので、受験生の皆さんは注意しておいて損はないでしょう。
教養授業の先生も大興奮してたけど全然理解出来なかったんだよなぁ。友達は死霊術勉強してるからわかったらしいけど……