当新聞社独自の取材で、ソフィア王国の第五王女ライア姫(18)と魔法協会会長の息子である第一級魔術師アイル=ドーン氏(20)の熱愛が発覚した。
二人は昨年行われた新魔法技術発表会にて出会ったのがきっかけで、そこから交際がはじまったという。
一見微笑ましいお二人に見えるが、実は問題だらけ。
ソフィア王国といえばアイシュケイン山脈の麓にある小国ではあるが、昔から優秀な魔術師を輩出していることでも名を知られたな国だ。
例えば15年前に起きた同国の戦士の半数を失ったとされるナム=ロックの反乱で、反乱軍の半数以上と首謀者であるナム=ロックを倒した人物は、ソフィアの英雄と呼ばれるキャップ=エイツエイン。他国でも名が知られている特一級魔術師だ。
それだけに、ソフィア国内では魔法協会の力が強い。王参加の下行われる王国会議での魔法協会会長の発言力も強く、会議参加者である貴族の中で会長を支持する声は多い。もちろん王国側がそれを良く思うはずもなく、いわば王宮と魔法協会は長年対立関係にある。王に近い側近によると、いつ国内で内紛が起きてもおかしくない状況だという。
そこで発覚した今回の熱愛。
これは二人だけの問題ではなく、政治的問題も多分に抱えている。
また二人が会話をする際に、王宮内では使用を禁止されている水晶を使っていたことが処罰の対象となり、それもまた事態を複雑にさせている。
今回の件に関して王宮からの発表はなく、当新聞社の記者がアイル氏にインタビューを申し込んだが、いまのところ返答はない。
はたしてこの恋の行方はどうなるのであろうか。
お二人が幸せになることを祈るばかりである。