省魔力で連絡できるサービス、実は…「電波通信」?

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無線通信?

魔導開発企業ヴェルプラム・アンテグレイル社(以下WI社)より発表された省魔力通信サービス『EcoM(エコム)』に、ある疑惑が巻き起こっている。

『EcoM』は、WI社から発売された魔力ブリッジングアペラタス「EcoM Apparatus」を家庭などに設置する事で、利用者から発せられた魔導の想度を増幅し、従来の魔術単体による通信に比べて1/8、他の一般的なブリッジングアペラタスと比べても1/5 ~ 1/6(WI社発表)の省魔力で通信が可能になるという画期的な省魔力通信サービスだ。また使用が簡単で、子供やお年寄り、ドワーフやアンデッドなど、魔導コンセントレーションが難しい世代や、種族にとって、より簡単に通信が可能になるというメリットがあった。

しかしながら、発売直後から苦情が相次いだ。雷魔導師や電磁気に敏感な種族を中心に、「遠くで電雷を放っている生物がいる時のような感じがする」、「娘が使い始めると、詠唱中のようなピリピリとした感覚が現れるので、落ち着かない」といった報告がSNS「Mapitter」上で寄せられた。

また、ある利用者は、「ペットのメタロジェル(筆者注:体内に鉄やミスリルなどの金属を多く含むスライムの一種)の調子が悪くなってしまった」「病院に連れて行くと、『体内に磁力が蓄積されてしまっている。近くに電磁波を発するものはないですか』と聞かれた」という。

当然、電波による通信が禁止されているわけではない。だが、魔力と偽って電波による通信を行なっていたのだとすれば、利用者もガッカリだ。

この騒動を受け、WI社は昨日記者会見を開いた。会見の中では、「利用者にご迷惑をおかけし、申し訳ない」「電波による通信は行なっていない」「内部で何らかの魔力増幅機構が誤作動を起こしている可能性はある」「原因を究明する事に尽力する」と回答。合わせて、「解明までの間、体調不良や、身の回りに異変の起こっている方は、雷に対する防護魔導を付与するか、使用を控えてほしい」と呼びかけた。

魔導開発におけるスタートアップ企業の中でも1、2を争う業績を誇るWI社。その今後にとって、重い課題となりそうである。

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