アーティセンナ美術館に展示されている絵画が魔法暴走を起こし、初めて「絵画魔法化」が確認された。
魔法暴走を起こしたのは、それまで絵画魔法ではないとみなされていた絵画『猫の集会』。多様な猫が庭でくつろいでいる様子がのびやかに描かれ、猫派の魔法使いを中心に人気の絵画だった。
『猫の集会』に描かれる主なモチーフは猫で、絵画魔法に必要な複数のモチーフや、属性を決定する統一された方向性がなく、絵画魔法師が「魔法陣のようなものを読みとれない」と結論付けたものだった。
今回の絵画魔法化、及び魔法暴走では、『猫の集会』を中心に猫が“湧きでてくる”現象が確認された。現在はレイラインの影響が薄いメンナ絵画魔法研究所に移され、魔法暴走は沈静化している。
湧きでた猫は「紙のように軽く、画材特有の匂いがした」と、魔法暴走に遭遇し事態の対処に協力した観覧客は語る。
メンナ絵画魔法研究所の発表によると、『猫の集会』の魔法暴走は別地点、あるいは別時空に存在する猫を召喚するものではなく、絵画と同じ素材でできた“絵画猫”を生成するもの。一連の騒動で絵画魔法師の管理外へ出てしまった絵画猫がいる可能性もあり、メンナ絵画魔法研究所は魔法使いへ回収を呼びかけている。
また、今回の絵画魔法化について、絵画魔法研究家の『花の帽子飾りをつけた若き魔女』氏は以下のようにコメントしている。
「『猫の集会』とても穏やかな絵画。絵画魔法になったのは、絵を見た人が抱いた感情が絵画に集まったためでしょう。癒されたい、猫と触れ合いたいというような感情に応えようとして、今回の魔術暴走に繋がったのでは」
このコメントを受け、アーティセンナ美術館は魔法暴走の再発防止策を提示。現在公開中の一部絵画について、『花の帽子飾りをつけた若き魔女』氏の協力で聞き取り調査を行うと発表した。
絵画魔法化、いいことを知った。
これがあれば本から出てこないあの子をこの現実に呼び寄せるのでは!?
現場にいましたけどアレは圧巻でしたし、紙のように軽いので捕まえるのもひと苦労でしたよ……。
というか、感情に応えたい…ということは鳥の絵画でも同じ事象が起こる可能性もあるということでは…!?