本日、トスリック魔法王国にて行われた大型飛空艇『ステビア・ソルビット号』の初飛行において不測の事態が発生した。
飛行機メーカーであるウトシュログマ社が開発製造していた、次世代に向けた持続可能なリサイクル飛空艇『ステビア・ソルビット号』。飛空艇は10年以上の歳月をかけてようやく今日初飛行を迎える予定であった。それが、初飛行前の飛空艇外装へ最後の銘入れを行った際に飛空艇は突如として稼働し、安全術式の固縛陣を引きちぎって空の遥か彼方へと飛び立ってしまったという話だ。
この時、幸か不幸か飛空艇内部には誰一人として乗組員はいなかったそうだ。
通報を受けた航空管理局の局員らが接近を試みたようだが、飛空艇は竜種の固有魔法である“ハウリング”や“ドラゴンブレス”を使用して逃走した後は行方が分かっていない。
ウトシュログマ社の開発関係者によると、「あの船には大型竜種の遺骨を再利用しているからね。我々の製品の出来栄えがあまりに良すぎて魂が戻って来てしまったのかもしれないね。」と話しており、職人冥利に尽きると言わんばかりの楽し気な様子で本件について語ってくれた。
ウトシュログマ社は原因の究明に全力を挙げるとのみコメントを発表している。レーヴァ国立ホルユキープ大学魔法学部飛行術式学科のヒルデカーヌ・ポツマオリ教授にも協力の依頼を出していることから、同社の本気度が伺える。