ゾンビに人権が認められる – バラグビア

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芽吹きの月3日、バラグビア教皇庁は正式にゾンビの人権を承認すると声明した。ゾンビの人権が認められたのは世界初。

バラグビアは、複字教の聖地を擁する宗教国家。教皇を中心とした厳粛な政治体制で知られ、近年「聖地で死にたい」という観光客が増加、ゾンビ人口の急増が社会問題となっていた。

肥大する国内のゾンビ人口に対応する形で、バラグビア教皇庁はゾンビの人権を承認。正式な声明を発表した。

複字教では死者に人権を認めておらず、ゾンビ人権の承認は複字教国としてはきわめて異例。

神学者の見解では、ゾンビの人権問題を考えるにあたって重要な争点となるのは「心臓の鼓動」だった。

複字教の聖典には「聖者は心臓の音を聞き、人か悪魔かを見分けた」という一節がある。通常、ゾンビは既に心肺停止状態にあり、鼓動がないため悪魔の一種という判定を受けてきた。

しかし今回、ゾンビ側は「自らの心臓を手掴みで動かす」という方法で心音の問題をクリア。バラグビア教皇も「ハツが動いてんなら、人でええんちゃう」と笑顔を見せた。

「これまで我々は、人間と変わらぬ心を持ちながら、非人間的扱いを受けてきました」

喜びの声を上げたのは、ゾンビ人権団体代表のトゥフナット氏。氏は二十三体のゾンビが合体した、合成ゾンビとして知られている。

「これを機に、各国もゾンビの人権について再考すべきですね。……おっと失礼」

そう語るトゥフナット氏の八番目の顔が、弊社記者を丸呑みにした。

弊社記者はトゥフナット氏の二十四番目の合成体となり、めでたくトゥフナット氏付きの番記者へと配置転換された。平均2年から3年は精神も吸収されずに独立しているため、継続的な取材が可能な見込みだ。

一夜にして世界有数の人権先進国となったバラグビア。今後の動向に着目したい。

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