
突然だが、あなたは自分の名前の由来を知っているだろうか?
“名前”──それはあなたがこの世に生を受けた祝福として、いちばん最初に贈られるプレゼントだ。
「名付けの儀式」 原始の魔法忘れるべからずで紹介されているように、存在だけでなく事象に対して“名を付ける”という行為は非常に強い意味を持ち、また重要であるということは、記事を読まれたあなたなら理解しているだろう。
ちなみに、私のライターネームは季節に由来する。名前について話題を振っておきながら、なぜはっきりと明記しないのかと苦情が来そうだが、深く話せない理由はこれから紹介する内容にある。
“名取りの一族”をあなたは知っているだろうか。
彼らはその名が示すように、相手の“名”を“取”りその勢力を伸ばしてきた一族である。
冒頭でも述べたように、名前を持つということは、非常に重要なことである。なぜなら、名前はあなたとこの世界を繋ぐための“鎖”だからだ。
では、その名前が奪われてしまったとしたら。
奪われてしまったモノがどうなってしまうのか……。
想像には難くない。
“名取の一族”に関する情報は少なく、現在でも謎に包まれている一族のひとつである。
『いいかい。XXX──。
本当の名前を教えてはいけないよ。
名前を明かすということは、魂を明け渡すも同然だからね』
子供のころに祖母からさんざん──それこそ耳にタコが出来るほど聞かされた忠告を、この記事を書いている最中に何度も思い出した。
今思えば、祖母は彼らに関する情報を知っていたのかもしれないが、既に輪廻の輪に乗ってしまったため確認する術がないことが悔やまれる。
ただひとつ、この記事を読んでいるあなたに私からアドバイスをするとすれば、不用意な呼び掛けには応じるべきではないかもしれない。
もしかしたら、あなたのよく知っている友人や恋人が“名取の一族”である可能性がないとは言い切れないのだから。