豆腐小僧の豆腐品種改良へ

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豆腐小僧の豆腐と品種改良

豆腐(Tofu)と言えば、そのヘルシーさから
昨今は世界中で注目を集めている、ヘルシー食品であるが、日本では雨季に入るこの時期、
やたらと豆腐を勧めてくる、妖怪がいる。

彼らの名前は「豆腐小僧」
何とも安直なネーミングと思っても、決して本人達に向かって言ってはいけない。
言ってしまったが最後、肩を落として、
落ち込む姿はあなたの良心を痛めることになるだろう。

豆腐小僧の容姿は日本古来の子供達の姿を反映している。
蓑で作られた傘を被り、髪型は坊主頭が主流。
着物と草履。そして片手には自作の豆腐。
年齢で言えば5~6歳程。
ふっくらとした頬に、くりくりとしたつぶらな瞳の子供である。

彼らはその愛らしさを活かして、自作の豆腐を食べるように、勧めてくるのだが、
その姿に絆されて豆腐を食べてしまってはいけない。
何故ならば、その豆腐を食べてしまったが最後、身体中にカビが生えてしまい、その様はまさに、巨大ケサランパサランと言った具合である。
そして彼らはと言えば、いたずら成功したとばかりに楽しそうに「ケラケラ」と笑って去って行く。
豆腐を食べた人びとは、真っ白なカビに覆われ、ケサランパサランあるいはイェティの如くなったとしても、そのあまりの無邪気さに
大抵は、怒ることもなく“引っかかってしまった”と思うのだとか。

因みにこの白カビはお風呂に入ってしっかりと
身体を乾かせばすぐに取れ、また病的要因になり得るカビでは無いとのことが近年では解明されている。

また、この豆腐小僧の豆腐であるが食べた際に
カビが身体中に生えるのは人間種だけであることも分かってきた。
WHOの研究によれば、豆腐小僧の妖術と
人間種のみが持つ抗体が反応をしてカビが生えるとのことである。

この度、研究結果を受けて、豆腐小僧一族では、
人間種が食べても、人体にカビの生えない豆腐を作るべく品種改良に着手を開始したとの発表をした。
新製品については今年中の完成、
来季販売を目標にしているとのことである。

因みに、豆腐を食べてもカビが生えなくなるという
今回の品種改良については、彼らのアイデンティティーの根幹を揺るがすことにはならないのか、
気になり、弊社より問い合わせをしたところ、
直筆にて回答があったため以下に掲載させて頂く。
なお、彼らの手紙を公表することは了承済みである。

この手紙を読んだ瞬間、彼らのあまりのいじらしさに
私がうるっと、来てしまったことはここだけの
秘密にしていただきたい。

豆腐小僧一族の豆腐については
「カビさえ生えなければ、毎日食べたい」と
いう、ファンもいるほど味には定評があるため、新製品の完成が楽しみである。

そして、食べても『カビが生えなくなる』とのことであれば、2回目以降の勧誘を断り、彼らの肩を落とす姿に良心が痛む日もなくなることだろう。

どんな種族でも、子供に似合うのは笑顔の他には無いのだろうから。

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コメント

  1. Frau Faust より:

    私の友人も、豆腐小僧の豆腐で全身カビだらけになったのですけれど、それでもおいしかった、と申しておりました。彼、品種改良が成功したら、毎日食べるんじゃないかしら…。

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