重すぎる魔導書、新たな理論で打開なるか

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15日、魔法医学会は魔法省に、三年生から行われる軽量化魔法などに関する持続魔法の授業を一年生の最初の学期に行うことを提言した。これにより、児童生徒の持ち歩く魔導書の負担を軽減させることを目的としている。

生徒への負担はかねてから懸念されている。先月行われた都内初等魔法教育学校一斉調査では、一年生~三年生の生徒の87%が平均8.6kgの魔導書を持ち歩いていることが分かった。一年生の生徒が持ち歩いている魔導書の数はゆうに十冊を超え、中でも薬学の授業に使う図録や、基礎魔法陣の魔導書などはそれ一冊のみで1kgを超える重さであった。医学会によればこの重さは一年生の平均体重の半分に当たり、この重さのカバンを持ち歩き続けると生徒の発育に影響を及ぼすと指摘している。

各家庭へのアンケートを行ったところ、一部の家庭では保護者が生徒のカバンに軽量化魔法をかけていることも明らかになったが、軽量化魔法には持続的な魔力供給を要し、効力には術者との距離も関係するので、学校へ辿り着くころには軽量化魔法の効果が半減していることがほとんどだった。

持続魔法の授業が行われるのは三年生の後期からであり、この理由については、軽量化魔法など持続的な魔力供給を要する魔法は、基礎的な魔力作用や、ゲート構築などの技術を用いなければならない為とされていた。しかし、近年新たに一年生の授業にも用いられるようになったバックドアならば、そういった複雑な理論を必要としないことも明らかになっている。

ゲートは魔法発現の基礎であり、体内に取り込んだ魔力をゲートに通し、様々な魔法理論で意味づけることで魔法をかけることができるが、バックドアの場合はゲートを体内に構築せず、大気中の魔力を用いて魔法陣を編み込むことで、魔法を発現する。自身の身体を介さないため、効力に関してはゲートを通したものには一歩劣るが、身体への負担が少ないのに加えて、大気中の魔力操作は簡単な理論であるため、一年生でも十分に発現させることが可能である。

魔法省は来月中にもこの提言に対する報答を行う予定だ。

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