生物

【不定期連載】化け狸大学教授に聞く「変身魔法」①

変身魔法は、我々の身近なところで使用されている魔法だ。

例えば「化け粧ファンデーション」は調合失敗時にできた顔のイボ隠しによく使われている。また筆者のような魔法生物は、「WTA(Working Transform Animal)」として変身魔法を用いてヒューマン等に化けて仕事をしている。

このコラムでは、変身化け学の権威として著名な化け狸大学教授の茶釜 ぶんぶく氏(以下 茶釜氏)にアドバイスを頂きながら、変身魔法を使う上での落とし穴や、知っておくと便利な術式や魔道具等を紹介していく。

今回のテーマは先程も上がった「WTA」についてだ。

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モンスターの卵、盗難相次ぐ

辺境の村、ソルバのワイバーン人工ふ化施設などで、ワイバーン計56匹の卵が持ち去られていることが、先月分かった。村内では同様の手口でキマイラの卵も盗まれている。関係者は、錬金術で使用するモンスターの卵の需要が高くなったことで卵に希少価値が出たことが背景にあるとみて、警戒を強めている。

王都ワイバーン増殖事業協会(王都ウィザナザレ)によると、管理しているソルバのふ化施設で25日朝、職員が飼育場近くのワイバーンが暴れているのを見つけた。原因を調べると卵が持ち去られていた。持ち去られた卵は56個、その内数個は、王都の飛龍隊に送られるはずの卵だった。

ソルバの西地区でも9日、キマイラ25匹の卵が盗まれていたという。いずれも職員不在の間に何者かが侵入したとみられ、協会は犯人を探し出すために、王都飛龍隊と冒険者に依頼を出すことを検討している。

星屑祭にファイオン襲来、三万人以上が死傷

1月31日、火を操る大型の獣ファイオンがバーデン国のイグルボナ市を襲撃し、三万人以上が死傷、約一万七千戸が全焼した。

ファイオンとは翼の生えた火を操る大型の獣であり、その火力は大規模魔法にも劣らないとされている。本来は砂漠のような場所を好み、滅多に人里には現れない。ウロル国立メルカヒルド大学幻獣学部の教授であるマルヒトッヒ・フリードリヒ氏は「今回の襲撃は昨今急速に広まった砂漠緑化活動により、住処を奪われたと感じたファイオンが報復措置を行なったのではないか」と分析する。

襲撃時、イグルボナ市は毎年1月31日に行われる星屑祭の真っ最中であり、多くの人が訪れていた。治安維持局、災害対策局の話によると、突如として現れたファイオンが街を焼き始め、パニックを起こした人々が街に溢れかえった結果二次災害が起こり、被害が拡大したとのことだ。

現在、元凶であるファイオンは捕獲され、この事件は解決されたが、治安維持局巨獣対策課に所属するバヤルド・グリーデマン氏、ロッド・スキマーニ氏の2名と災害対策局火災部に所属するホーネット・ヤードラ氏の計3名が殉職した。また、バーデン国は犠牲になった人々の慰霊祭を2月12日に執り行う予定だ。

なお、国際環境保護連盟は今回の件を受けて、砂漠緑化活動団体を認可制にする為の審議とともに、地球環境保護政策の抜本的な見直しを行なっている。

日刊森のアナグマ グリフォン便の今に迫る。

「グリフォン便」、少しばかり割高ではあるがフクロウ便や古来からある煙突便に比べると、配達時間のぶれも無く、また煤で汚れてたりもしないことで人気を博した郵便、宅配方法。

今や宅配業者だけではなく、地方の魔法郵便局ではなくてはならない存在となっている。だがそのせいでグリフォンとその騎手たちは過酷な労働を強いられているようだ。

日本がグリフォン便に使うグリフォンは、メキシコから輸入されてきた多くのメキシカン・ブラックレッグ種と少数の日本原産チャイロタカジシ(英名にするとジャパニーズ・ホークアイ種)によって構成されている。

ブラックレッグ種は、大きい体と太く黒い足が特徴的なグリフォンであり、その体の大きさを生かした宅配が主となっている。

一方で、チャイロタカジシは、数百メートル下の獲物さえも見えるという優れた視力、急降下して獲物を狩るために必要な小さい体、その体を包むような特殊な翼のたたみ方をするグリフォンで、こちらは主に郵便を担当している。

どちらも優れたグリフォンで、時には人間を日本の南の端から北の端まで運べるほどの持久力も持ち合わせているのだが、その持久力でもさえも参るくらいの仕事量が押し寄せているのが現状なのだ。

「グリフォンたちも休憩なしで働きづめです。私たちと同じく日に三食は必要なのに、昼食は飛びながら鼠を数匹というありさまで、中には食べられない子もいます。また騎手たちも地面に降りたら走って荷物を届けてまた駆け足でグリフォンに乗ると急上昇。昼食昼休み返上で働いており、空にいる時間の方が多いこともあります」

そう語るのは魔法郵便局に勤める、高鷲元博さん(32)である。彼はグリフォンの乗り手であり、この業界に入って12年目となるベテランだ。

「また、魔法生物の規制が厳しい日本では、グリフォンに乗るために様々な試験を受けなければなりません。これが人数不足理由の一つでもあります。さらに多くのグリフォンは一度乗せた相手以外の者を乗せたがらないという習性も相まって、グリフォン自体の数も少ないのです」

空を飛ぶ魔法生物の騎乗は、外国では基本的に「飼育許可証」と「飛行魔術の免許証」があれば許可される国がほとんどだ。しかし、日本ではこれに加えて、「日本魔術教会飛行技術検定の二種以上」「国家資格である飛行通信魔術士」の資格が必要であり、かなりの努力が必要となる。これが、グリフォンの騎手不足にそのまま直結しているのだ。

またグリフォンの方も、最初に自分に乗った人間以外が背中に乗ろうとするのを嫌い、騎手が自分以外のグリフォンに乗ろうとすると激しく嫉妬するのだ。なので他のグリフォンに代わる代わる乗るということもしにくい。

「これではグリフォンか、騎手か、どちらかが近いうち墜落することになります。サービスが向上することは良いことだが、それを支えている動物たちのことも少しだけ考えてほしい」

そういって心配する高鷲さんの目もまた疲労の色を隠しきれていなかった。

確かに便利で、安全なグリフォン便。今ではその日に配達を売り文句にする配達業者もあるが、会社の信頼が地に落ちる前に彼らの墜落を危機を止めるべきであろう。これ以上彼らの悲報を記事にしない未来を祈りつつ、鉄の鍋蓋銀行頭取ドワーフ、石中正弘氏の名言を引用してこの記事を終わりにしたい。

たまたま洞窟でミスリルを掘り当てたからと言って、その穴全てを掘るべきではない。眠る悪鬼が目を覚ます。

日刊森のアナグマ ライター 御手洗団子

ウロル国のパスダーピナ幻獣園、世界で初めてユニコーンの繁殖に成功

先月27日、ウロル国にあるパスダーピナ幻獣園でユニコーンの赤ちゃんが誕生した。

ユニコーンは、その希少性の高さから剥製目的で乱獲され、現在は大きく数を減らしている。そのため、様々な機関がユニコーンの絶滅を回避しようと研究を重ねているが、今回の件がそれらを大きく前進させることは間違いないだろう。

ウロル国立メルカヒルド大学幻獣学部の教授マルヒトッヒ・フリードリヒ氏は「ユニコーンの繁殖方法は長らく未知の領域だった。今回の記録は非常に貴重なものであり、必ずやユニコーンを救う鍵になる」とコメントした。

また、パスダーピナ幻獣園のユニコーン担当飼育員は「出産日前は心配で仕方なかったです。ユニコーンの出産は初めての連続で……。でも本当に無事に産まれて来てくれてよかったです。ある程度大きくなったらお披露目も考えていますので、ぜひ見に来てください!」と目頭を熱くして語っていた。

パスダーピナ市ではすでにユニコーンの赤ちゃんに乗じたグッズが展開されており、ユニコーンの赤ちゃんの市場効果への期待は高まっている。

パスダーピナ幻獣園のユニコーン親子は今月末までは休養させ、その後、状態をみて一般公開される予定だ。

使い魔界に新風吹く、トイケルベロス誕生

この度、ディジョアン国立魔法生物研究所は、ケルベロスの小型化、ひいては新種となるトイケルベロスの繁殖に成功したとの報告を発表した。

従来のケルベロスはその番犬としての性質の高さから、古くは神々の門番として生活を共にしてきた。人間界でも門番として彼らを迎え入れたがる一部の人々がいたが、その気性の荒さと飼育の難しさから悲劇的な事故が後を絶たなかった。

しかしながら、研究を積むこと幾星霜。度重なる品種改良を経て、ようやく人間界でも馴染めるケルベロスが誕生し、近年は番犬として生活に溶け込むようになってきた。

その裏で、新たにケルベロスの飼育問題も起きている。

郊外等、居住スペースがある家であれば庭で放し飼いをするだけの十分な余裕が確保できるため、飼育に際して特段大きな問題は見受けられないが、都市部での飼育となると話はまた変わってくる。

人口密度の高い都市部ともなれば、飼育スペースの確保が難しいことやストレス発散のための散歩をすれば、「子供たちに襲いかかってきたら、責任はどう取るのか?」などの問い合わせが頻発することにより、近所の目を気にしながら世話をする飼い主、十分な散歩や遊びが出来ないケルベロスと共にストレスを抱えながら生活を送るという現状があった。

そうなってしまうと、都市部の飼い主は泣く泣く郊外のケルベロス保護施設へ愛犬を手放さなくてはならなかったりした。

こういった飼い主はまだ良い方であるが、中には無責任な飼い主もおり、「思っていた以上に大きく、世話が大変になった」との理由で成犬のケルベロスを捨てる者も後を絶たない。

このような無責任な飼い主に捨てられてしまったことにより、ケルベロスの野生化が近年問題視されている。(この問題は後日、使い魔の野生化問題で取り扱う予定である)

その一方、市場ではケルベロスを番犬として迎えたいと考えている人々は60%近くいるとの調査結果も同研究所より発表されており、飼育問題の効果的な解決作策も無いまま需要は高い。

そこで、ディジョアン国立魔法生物研究所では、都市部や単身者でも飼いやすいケルベロスを生み出すことはできないかと永らくケルベロスの小型化に携わってきた。

勿論、品種改良の研究に当たっては好意的な意見もあれば、「遺伝子を操作することは生命への冒涜だ」という批判的な意見も見受けられた。同研究所においては、この度の研究は「遺伝子操作(キメラ生成)」ではなく古来より取られている自然交種での改良であることを約束し、研究を進めてきた。

そして、この度めでたくその結果が実を結んだのだ。

今回、交配種として選ばれたのは古来種のトイプードル(オス5才)であり、父親になった彼は別室にてわが子の誕生を職員と一緒に見守っていた。

産まれた仔犬は、全部で3匹で、性別についてはオスの仔犬が2匹、メスの仔犬が1匹で母子ともに健康とのこと。仔犬の大きさはおよそ6~8センチ程であり、元来のケルベロスの仔犬の20分の1程の大きさである。成体についても最終的には30センチ程で成長が止まる見込みとのことだ。

メディアを含めた一般への公開に当たっては、仔犬たちが産まれて間もないことと、母体のケルベロスが出産直後とのこともあり、仔犬たちの公開時期については現在未定であるが、離乳時期を目処に公開を検討していると所長のシャリーゼ氏は発表した。

また今後、トイケルベロスの繁殖に当たっては特定のライセンスを持ち得るブリーダーにしか許可を出さない方針を同研究所は発表し、ライセンスの制定においては政府と相談しこれから調整をしていくとのことであった。

トイケルベロスが新たなパートナーとして人々の生活に馴染むのはまだもう少し先の話になりそうではあるが、まずは何より今回産まれた仔犬たちが無事に成長をすることをただただ願うばかりである。

国境で箒の大渋滞 原因は魔術牛

ニーニャ国とヌーニャ国の国境付近で箒の大渋滞が発生している。

ニーニャ国とヌーニャ国の国王が双子であり、またいたずら好きであることはよく知られている。二人は今日未明、魔術牛を箒路(ほうきろ)に出現させては消す遊びをしていたとみられている。

遊びの中で、ニーニャ国のガゼル国王が呪文に失敗し、「消せない魔術牛」を召喚してしまった。それをヌーニャ国のリゼル国王が面白がって、箒路を塞ぐ形で「消せない魔術牛」を増殖させた模様だ。

大量の魔術牛は、現在も箒路を塞いでいる。国境で起こった事件のため、どちらの国の魔法警察が処理をするかの問題が起こっているようだ。

処理することが決定した国は、大量の魔術牛の肉を得る。大規模な魔術牛試食会が行われ、国民の食欲を大いに満たすであろうことは間違いない。

魔術牛料理は、ピンクペッパーと岩塩で下味をつけ、かまどでじっくり遠火にかけたローストマジックビーフが両国の名物として知られている。付け合わせにフライドポテト(飛んでいたポテト)を添えるのが両国王の好みだそうだ。

なお、面白がった両国王が魔術牛にテレポートを覚えさせた影響で、捕獲はさらに困難を極めている。

ヒフキヤモリ、密猟で生息数激減

ヒフキヤモリと呼ばれる生き物がいるのをご存じだろうか。

全長はおよそ大人が手のひらを広げた程度の大きさながら、自身が襲われたときに口から火を噴くことができる魔法生物の一種だ。火を噴くことができる理由は体内に火素をため込む臓器があるためで、ヒフキヤモリは獲物を食すときに動物の持つ自然的な火素と油分を貯蔵していると考えられている。

現在このヒフキヤモリの生息数は減少するばかりであり、先日「魔法生物の絶滅を防ぐ会」の会長氏が魔法庁の魔法生物課に警告文を送ったことは記憶に新しい。

生息数が激減している原因はいくつか考えられているが、現状最大の問題とされているのは密猟による乱獲である。ヒフキヤモリの臓器には様々な用途があるうえに、その柔軟な皮革が火素独特のかすかに輝く赤みを帯びていて非常に美しく富裕層に人気の高い素材のひとつとなっていることが乱獲の大きな理由だ。

これらのことを魔法生物課は、見過ごせない大きな問題であり継続して取り組んでいきたいとしているが、今も密猟者の数は減っておらずヒフキヤモリの保護も難航しているのが現実である。

今回に限ったことではなく、魔法生物の保護の難しさはなかなか解決されない課題のひとつである。現場で活動している方々の努力が実を結ぶことに期待したい。

キマイラ販売において魔法生物省が注意喚起

昨日、魔法生物省より、本来の融合占有率を大幅に逸脱したキマイラが違法に販売されているとして、消費者に注意喚起がなされた。

キマイラにおける融合占有率は獅子50~60%、山羊20~30%、蛇10~30%とされ、この基準外の生物は別種の生物と認定され、正式な血統書を発行できないことになっている。違法業者によって融合占有率はバラバラで、悪質なものでは猫95%という報告も。

被害者は多くの場合、念話や使い魔、転送魔方陣のみで違法業者とやり取りをしており、相手の所属や階位を確認する手段を失していたとされている。

融合占有率を逸脱した生物は不確定要素が多く、危険なため、魔法生物省はそのような生物を買ってしまったり、発見してしまった場合は、逃がしたり放っておいたりせずに速やかに連絡するよう促した。加えて、取引の際は相手の所属や階位の確認を怠らないようにと、消費者へ注意喚起した。

(この記事に対する意見等は、転送魔方陣に「En’akrik Mag’lio」の一文を記述の上、転送くださいませ)

別々の大陸に同種?ワタリモモンガの謎解明

まったく同じ種類のモモンガが別々の大陸で新たに発見された謎について、カネリア魔法大学の研究班がひとつの答えを見つけ出した。それはこの「ワタリモモンガ」と名付けられた生き物が高いところから飛び降りる際に空気中の風素を集め、揚力を保ちながら滑空するということだ。

研究班は、自然的な風素が多い高所から滑空しだしたモモンガが海を渡りきり、別の大陸へ移動してしまう可能性は非常に高いものだとしている。

一時は動物の新種かと思われていたが、今回の研究結果を受け魔法庁の魔法生物課はワタリモモンガを正式に魔法生物の新種として認定する。またこのモモンガの風素を一定に保ち揚力を得る仕組みを研究することで、近い将来には滑空を目的とした魔法マントの開発ができるのではないかと期待されている。

※ワタリモモンガ……ここ数年で発見例が増えたモモンガの一種。同じ種でありながらまったく違う大陸で発見されていることから、動物にしては不可思議なことが多すぎると魔法生物の可能性を疑われていた。