あなたにとって、使い魔とはどのような存在であろうか。
仕事に欠かせないワークパートナー。
家族や友人、恋人にも言えない秘密を打ち明ける相手。
恐らくさまざまな回答があり、その存在について一括りで説明をするのはとても難しい。
しかし、どの主人使い魔の関係で共通して言えることは、二者の間には確固たる信頼関係が結ばれており、あなたが惜しみない愛情を彼らに注いでいるということだろう。
それでも、世の中には主人に恵まれなかった使い魔たちが存在し、その数は決して少なくはない。
そんな彼らの行く末は悲劇的であることが多く、使い魔の野生化、衰弱による消滅は今世の大きな問題のひとつでもある。
今回そんな問題にいち早く取り組み、新たなサービスを展開したのは、近年使い魔業界に台頭してきた企業ファミトピアである。
今回、ファミトピアのCEOでもあるリリアリス・ヴィアン氏は、新たな業態として“ファミリアシェア・ハウス”を展開することを発表した。
同代表によればこのハウスは、主人たちに捨てられてしまった使い魔たちのシェルターと、魔法使いの住む住居を併合したサービスであるとのことだ。
今回建設されたハウスは4階建てとなっており、1階はシェルターと共有スペース、住居部分は2階~4階となっており各フロアに15戸設置されている。
今回のハウスでは同社が保護している使い魔のうち、有翼類を含む小型有毛種およそ10種、計50体ほどが暮らしている。
彼らは保護されたあと、FHT(Familiar Health Technican、いわゆる“使い魔看護師”)による十分な身体的、精神的ケアを受けて同ハウスで暮らしている。
リリアリス氏によれば、特に小型有毛種の使い魔たちは一度契約を結ぶと誰かに世話をしてもらうことに慣れてしまうため、契約を解除し、回復を待って自然シェルター等に譲渡しても自力で生きていくのが難しいという。
契約を解除された使い魔たちが新たな主人の下で第二の使い魔生を送れるようにとの思いで、ハウスは設立された。
設立に当たって、リリアリス氏は次のように述べている。
近年、身勝手な主人たちの都合により、不幸な最期を迎える使い魔は決して少なくありません。
弊社はそのような使い魔たちを一体でも多く救いたいという思いから、今回の“ファミリアシェア・ハウス”を誕生させました。
なお、シェルター内の使い魔は入居者であれば契約なしでパートナーとして行動できるため、複雑な手続きなしでマッチングが行える。相性のいい使い魔がいれば引き取り、専属契約を結ぶことも可能だ。
ただし、契約に当たっては同社による厳しい審査が行われる。審査基準を満たさない場合は専属契約を結べない。
今回発表されたハウスには入居希望者の問い合わせが殺到しており、倍率はおよそ150倍とみられている。反響を受け、同社では同じ形態のシェア・ハウスの建設に向けて動いていると発表した。
また、今後について、竜型種、大型獸種に向けたハウスも展開して行きたいとリリアリス氏は会見の場で述べた。
この度発表されたファミトピアによる新たな試みは、使い魔放棄問題の解決策として旋風を巻き起こすことが出来るのか、今後の動向が楽しみである。
ファミトピア(Famitopia)···
社名にもなってている、『ファミトピア』は、企業理念でもある、使い魔(familiar)にとっての理想郷(Utopia)提供するとの思いから、CEOリリアリス・ヴィアン氏により名付けられた。