グッド・ナイト・カンパニーが昨年夏に販売した“棺桶ベッド”に不具合が発生し、同社が自主回収を行っている。使用者が仮死状態のまま目覚めなくなるなど深刻なケースも多く発生しており、購入者へ注意を呼び掛けている。
問題となった棺桶ベッドは、“死んだように眠れる”という謳い文句で話題となり、睡眠時間を少なく抑えたい魔法使いを中心に話題を呼んでいた。棺桶ベッドは時限解呪機能のある仮死化魔法を内包した魔道具であり、今回の不具合は時限解呪装置に原因があるとグッド・ナイト・カンパニーは発表している。
棺桶ベッドは使用者が眠る前にあらかじめ起床時間を設定しなければならないが、入眠時より過去の日時や「疲れが取れるまで」といったあいまいな時間を入力した場合、時限解呪装置がうまく働かない。棺桶ベッドの利用者の多くは眠気の限界まで活動しているため、時限解呪装置を設定する際、詠唱を間違えてそのまま仮死状態へ入るケースが多発している。
時限解呪装置がうまく発動しない棺桶ベッドで眠っている場合は、熟練の死霊術師によってのみ覚醒を促すことができる。グッド・ナイト・カンパニーはすでに複数の死霊術師に協力を依頼し、対処に当たっているという。
グッド・ナイト・カンパニーは「すべての利用者が安全に使用できるように、仮死状態が一日続くといった条件で発動する自動解呪機能を追加するなどの改善を続けていく」と発表。同時に、「魔法使いのみなさんは体力の限界まで活動することが多い。良質な睡眠を得るために、体力に余裕をもって生活してほしい」とコメントした。
かくいう筆者も、棺桶ベッドの時限解呪機能を設定する際に日付を誤り、半年の間仮死状態に陥っていた。賢い魔法使いである読者諸兄はご存知だろうが、徹夜明けに呪文を唱えてはいけない。
通りすがりの死霊術師に起こしてもらえなければ、この記事の公開はさらに遅れていただろう。この場を借りて謝辞を述べたい。
友達が死霊術師でこの棺桶ベッドの愛用者だったんだけど、あまりに仕事が殺到したのでついうっかり設定日時を間違えて同僚の世話になってたよ。
ミイラ取りがミイラになってどうするのって母親にも嘆かれたらしい。