学術都市ゾルドアは、ウィザナリアが滅亡した原因がまず間違いなく新種のドラゴンであると発表した。
元ウィザナリア領地、ヴィジョンディープの森林を調査中にドラゴンのものとみられる痕跡が多数発見されていた。痕跡には既存種との共通点がなく、複数の専門家によって新種と断定された。
国王の補佐官を務めるブラック・クリーナー氏によると、ウィザナリアの王都跡地でウィザナリア王の遺品を捜索中、飛竜隊の攻撃や大規模魔術の跡と共に、破損した記憶水晶も発見されていた。記憶水晶には、地に落ちた飛竜隊員とワイバーンを喰らうドラゴンの姿が映っており、見たことのない禍々しい角や翼の特徴に調査中の魔術師は度肝を抜かれたという。また、以前発見された鱗の分析結果も既存のドラゴンと一致していない。
ゾルドアはドラゴンの爪痕や吐いたブレスの痕跡などを採取・記録し、記憶水晶、鱗のサンプルと合わせて世界各国の専門家に送り識別を依頼したところ、返答は「このような種のドラゴンは見たことがない」というものだった。近く学会で新種として登録される。
また、このドラゴンが生まれた年代についての研究調査も進んでいる。数百年前からウィザナリア領内に生息していた可能性があり、同地域に残るドラゴンの逸話からも新種ドラゴンの特徴と一致する記述が見つかっている。
これまで最強とされていたのは旧ドラミルド国山林で見つかったアゴニスドラゴンだったが、ブレスの威力や国の壊滅状況から分析すると新種の強さは他の種を凌駕している。
ウィザナリア滅亡以降、新種ドラゴンの目撃情報は絶え、どの地域を縄張りにしているのかすら分かっていない。通常ドラゴンは山林を中心に世界中のあらゆる場所に生息する。
新種ドラゴンの居場所が不明であることから、世界各国はそれぞれ国民へ注意を呼び掛けている。