世界で2番目に深いとされるダンジョン「ドワーフ族の迷宮図書館」に挑戦していた調査チームが、「現地時間の今日午前3時25分に、200階層への到達に成功した」と王国に無線糸電話で伝えたことが分かった。
迷宮図書館は、4000年前に当時のドワーフ王が蔵書保存のために建設したとされるダンジョン。
調査チームは当初の計画通り、60日で深度2500㎞を下り、地下200階層へ到達した。王国は先王の代から幾度も調査チームを派遣してきたが、200階層到達を達成したのは今回が初めて。
前回までの調査では危険な罠や凶暴な司書生物に阻まれ、最高到達記録は40階層に留まっていた。
今回、大きく到達階層を伸ばした調査チーム。その快挙の秘訣はなにか。
「最新の魔術理論を全面的に導入したのが大きい」
と語ったのは、第19次調査チーム代表グニルダ・カシナート氏(王立アトス大学近代魔導学科教授)。
今回の調査チームは、近代魔術、精霊学、異界物理学、応用呪術等、最新の魔術理論のエキスパートによって構成されている。さらに地表では、現代錬金術師、魔術医療師、専門祈祷士等のスタッフが万全のバックアップ体制で調査チームを支えている。
現地の調査チームは、
「ドワーフ族はいまだに科学や工学といった迷信に縋っている。我々人間種の魔術師が迷宮を踏破し、彼らに正しい道を示す時がきたのだ」
とコメント。
一方、迷宮図書館を代々管理している氏族のドワーフ技師は、
「迷宮は3万階層あるんだから、エレベーターを使った方がいいんじゃないかなあ」
と、疑念を提示した。
今回の成功を受け、人間種の魔術師協会もドワーフ族の啓蒙に本腰を入れる姿勢を明らかにした。今月中には大隊規模のサキュバス団を派遣し、無意識面から啓発を開始する見込みだ。