日本での魔法生物の扱いは、世界と比べて非常に厳しく定められている。
これは日本の魔法生物が外国の魔法生物と比べて非常にデリケートであり、飼育が難しい種が多いからだ。今年になり魔法生物管理局が数年ぶりにドラゴンの個人飼育の規定を緩め、ほとんどの一般家庭でもドラゴンを買うことができるようになったが、それも比較的小柄なアフリカに生息するアフリカ・ブラックウィング種他数種だけであり、世界でもよく知られているジャパニーズ・ゴールデンスケイル種などは許可されていない。
それでも日本の魔法生物を買ってみたいという方々にはドラゴンほど大きくはないがサラマンダーの仲間である、ニホンヒフキクロトカゲ(英名ジャパニーズ・ブラックテイル種)をおススメしよう。
一般的なサラマンダーより一回り小さい体をしている全体的に焦げたように黒いこの種はサラマンダーの中でも比較的温厚であり、人間に懐きやすいことで日本の魔法生物愛好家たちからも親しまれている。
また、サラマンダーは通常定期的に火継ぎとして火を食べさせなければならず、この火継ぎがサラマンダーから目を離せない要因となっていたのだが、この二ホンヒフキクロトカゲはその火継ぎが必要ないのも人気の理由の一つだ。
火継ぎの時期になると黒い尻尾が勝手に切り離され、そこから発生する火を火継ぎとして利用する。普通のトカゲと同じく尻尾も再生するので安心だ。
値段は20万~と魔法生物としては安価であり、手が出しやすい類であろう。お近くの魔法生物販売店で簡単に手続きが可能であり、許可証の審査も緩い。魔法生物入門としては最適だ。
しかし、気を付けてほしいことが一つ。すべてのサラマンダーに共通することだが、彼らは炎をまといながら生活するため、可燃物などを決して周りにおかないこと。特にヒフキクロトカゲは機嫌がいいと炎を噴出するので、撫でるときは服を焦がされない様に十分に気を付けていただきたい。
日刊森のアナグマ ライター 御手洗団子