朱雀院刹子の名を知らない魔導師は、もはやいないだろう。
あらゆる魔術を無詠唱で発動させ、数多の魔導師が不可能と諦めたクラインの迷宮を19歳の頃に踏破。多くのエルフがその長命さゆえに冠される「生ける伝説」という称号を、人類種かつ20代にして欲しいままにしている文字通りの天才である。
そんな刹子さんに今回、独占インタビューをすることができた。
──という訳で本日はよろしくお願いします。
朱雀院刹子(以下、朱):よろしくお願いします(笑)
──どうかされましたか?
朱:いえ、まさか前文を読みあげるとは思わなくて……すごく恥ずかしい(笑)
──それは失礼しました(笑)
──では早速なのですが、今では天才と呼ばれている刹子さんって、幼少期はどんな子どもでしたか?
朱:あまり自覚はないんですけど……周りからは好奇心旺盛な子でたいへんだったと聞いてます。
──ひょっとすると現在のセンスもその辺りで磨かれたのかも?
朱:自分で言うのもなんですけど、そうかもしれませんね(笑)。でも直接的な理由は、多分父方の実家なんですよ。
──ご実家というのはひょっとして東方の名家、朱雀院家ですか?
朱:今はもう家から離れてるので、実家とも言いにくいですけどね(笑)
──これは失礼しました。
朱:いえいえそんな! 今でも仲はいいですよ。
──そうなんですか! 良かった(笑)。ちなみにご実家を離れた理由をお伺いしても?
朱:両親が守られてばかりは嫌だって祖父を説得して、私が小さい頃に家を離れたんです。
──なるほど。だから刹子さんの魔術体系がこちら寄りなんですね。
朱:そんな感じですね。
──すっかり話が逸れてしまいましたが、天才のルーツがご実家というのは…?
朱:実はそっちの方がしょうもない話でして(笑)。両親に連れられて出る私に、祖父が天鳥之雫(アメノトリノシズク)っていうのをお守りとしてくれたんです。
──えぇ!? それって国宝レベルじゃないですか! 今もそちらをお持ちで…?
朱:食べちゃいました(笑)
──何してるんですか!?
朱:母と同じ反応(笑)。アメノ〜まで聞いて飴ちゃんだと思っちゃって。
──確かマナ結晶体って体に入れたら拒絶反応で死…
朱:みたいですね(笑)。だから母も慌てて、「セツコそれドロップちゃう! 高濃度マナ結晶体や!!」って。幸いというか奇跡的に私の身体に馴染んだみたいで、そこからどんな魔法もなんとなく使えるようになりました。
──なる…ほ…ど……? もっと沢山お話伺いたいのですがそろそろお時間が、最後に読者の皆様に一言お願いします。
朱:ありがとうございました! では、食べ物かどうかは最後まで聞いてから判断しましょう!!!