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保護施設スタッフ、魔法生物を横流しか

ギョット県立魔法生物保護施設(以下『保護施設』)の従業員、ケイパー・アヴィド容疑者(33)が、保護飼育中の魔法生物数十体を複数の市場に横流ししていたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。ギョット県警は、アヴィド容疑者が数年に渡り犯行を続けていたと考え、捜査を進めている。

「一定周期で生じる『民族料理ブーム』による食材としての魔法生物の需要に目を付け、犯行に及んだのではないか」と、ウロル国立メルカヒルド大学経済学部の准教授であるメニエ・ゴルトミュンツェ氏は分析する。

この捜査によって、能力を使って消失・脱走した生物に対する保護施設の杜撰な対応が明るみに出た。また、事件を受け、県内各地で魔法生物愛護団体によるデモ活動が発生しており、全国的に波及することを懸念する声もあがっている。

政治ニュース・地面党に“魔法地震”疑惑

先日、ナンデヤ北部一帯を襲った地震について、与党である地面党(じめんとう)による魔法地震(人工地震)だったのではないかという疑惑が拡がっている。

チャンターなどのSNSでは、「人工地震なんて空想科学(ファンタジー)の産物」と馬鹿にする意見が大半だが、信じこむ者もいる。

彼らは傍証として、「地面党は農業関係者や土木関係者など土マナ関連の団体と繋がりが深いこと」、「対立するヒト族の支持が厚い仰山党(ぎょうさんとう)の本部が破壊されたこと」、「近年、地面党以外に政権交代するとすかさず大地震が発生し、それをきっかけに地面党が再び政権を手にする局面が繰り返されたこと」といった理由を挙げている。

この疑惑について、ヒト族の支持が厚い仰山党のシェー委員長は予算委員会で証言を求めた。ヤベー総理が応じたが、証言にあたって宣誓に用いる魔法証紙について、一般的なサンコウニン証紙でよいとする地面党と、嘘をつくと呪いが発動する最高レベルの魔法証紙「ンカンモン」を用いるべきとする仰山党とで意見が割れた。

なお、現政権は「年金開始年齢を種族に関わらず一律65歳とする」という年金改革法の実現を目指しているが、これは地面党最大の支持層であるエルフ族が有利すぎるとして国内外から非難の声が集まっている。

この件で連立を解消した獣党(じゅうとう)とゴブリンの生活が第一からは、地面党が意図的な魔法地震を起こすとは考えづらく、むしろ地面党がTPPなど無理な農政で大地精霊を怒らせたことが原因であるとして、近く農務(ノーム)大臣の不信任決議案を出すと明らかにした。

こうした審議の中でアラソウ財務相が「生きる価値が無いから短命」「特定魔法技術の有無は国防に影響する」「ヒトはゴミのようだ」「被災地でダークエルフがスリーパーセルとしてテロ活動」など不適切な発言を繰り返し、野党だけでなく与党内からも批判の声が上がっている。

被災地では、災害復旧よりも政局を優先する国会に政治不信の目を向けている。

企画展「もしも魔法がなかったら」開催

パレンティア王国国立博物館(写真)が16日、大規模企画展「もしも魔法がなかったら‐テクノロジーの永遠‐」を開催した。

同企画展はパレンティア王国内外の著名なアーティストを招き、共通テーマとして「魔法のない世界」を掲げ、制作物を発表した。

作品は魔法の対概念とされている「科学」を取り扱ったものが多い。精霊の力や魔力を使わず人工的な力でモーターを回す機械や、すぐ隣にいる妖精を視認せず、電気の力で動くデバイスを見つめ続ける人間の絵等が展示されている。

「充分発達した魔法は、科学と見分けがつかない」魔法工学の権威であるアーサー氏はかつてこう語った。科学は魔法と違い、自らに魔力がなく、術式を理解しない者でもボタン一つで利便性を享受することができる。しかし、発展を続ける現代の魔法も、術式の簡略化や素材の保存性の向上などでその利便性は多くの人々にいきわたるようになってきている。

テクノロジーの永遠は、いつか魔法の神秘をも内包していくのかもしれない。

初日に企画展を見学した来場者は、「魔法がなく、精霊もいない世界なんてつまらない」「この広い世界のどこかには、魔法のない場所があるのかも」「魔法がなければ、人は魔法使いの古いしきたりや家柄に縛られることなく、自由に職業や住む場所を選ぶことができるだろう」などのコメントを寄せた。

人気デュオグループ 発表楽曲に「トキシック魔法」の疑惑

200年もの間、音楽界を牽引し続けてきたスーパーデュオグループ『アルマティ』に衝撃的な疑惑が持ち上がった。

『アルマティ』と言えば、シルヴァン・ジルベール氏(280歳)とラズリー・クロライト氏(260歳)で構成された世界的に人気を誇る男性デュオグループだ。

2人はその高い歌唱力とエルフ族特有の端正な容姿で人気を博して以来トップを走り続けてきており、新曲が発売される度にパンデミック的な盛りあがりを見せてきた。

これまでスキャンダルで市井を賑わすことの無かった2人ではあるが、この度彼らにある疑惑が囁かれている。

その内容は、『トキシック魔法を用いた楽曲の販売』だ。

彼らのデビューから今日まで発表されてきた楽曲のほぼすべてに、トキシック魔法が用いられていたというのである。

音楽にトキシック魔法を使う手法は、古においては作曲者や歌手が人気を得るために用いられてきた。近年ではマインドコントロールに該当するとの見解が有識者間でなされ、音楽界に関わらずあらゆる方面での使用が禁止されている。

今回の疑惑が事実であるのならば一大スキャンダルではあるが、『アルマティ』の両名と所属事務所の『シュミット』は沈黙を保ったままである。

果たして真相はいかなるものなのか。1日も早い説明が求められる。

ユエル悪魔生贄条約改正に合意 『生贄』の範囲拡大へ

およそ20年の間、悪魔界にて渉外大臣カラクス・モーム氏との会談を続けていたユエル黒魔術集会交渉チーム『小さな鍵』が、本日未明悪魔界より帰国。「生贄は魂あるものでなければならない」とされていたユエル悪魔生贄条約の改正に合意したことを発表した。

「黒魔術」と一般に呼称される魔術には様々なものがあるが、その中でも特に有名なものが、相応の生贄を捧げることで悪魔を呼び出し、彼らの助力を乞う召喚魔術である。

悪魔は強い力を貸し与える代わりに、人や動物の魂を喰らうものが多い。軽率に悪魔召喚に手を出した魔法使いたちが、徐々に魂を蝕まれ破滅していく事件は古今東西後を絶たない。

悪魔を召喚し契約を交わす際は通常、自らの願いに相応する『生贄』を捧げさえすれば術者の魂にまで手を出されることはない。しかしこれまでの条約には、その『生贄』は魂あるものでなければならないとする制約があった。昨今は動物愛護の観点からそれらを準備することが難しくなっており、術者が魂を悪魔に奪われる事件のほとんどは、生贄を他のもので代用したことが原因となっている。

そこでユエル黒魔術集会ではウィリアム暦136年、生贄の制約を定めた条約を改正するための交渉チーム『小さな鍵』を結成。集会に所属する最高峰の黒魔術師たちの力を集結して門を開き、悪魔界への訪問、交渉を実現した。長引く会談の様子に集会内では不安の声もあがっていたが、交渉チームの全員が五体満足、精神の安定した状態での帰還となったことに、集会の会員からは喜びの声が上がっている。

この条約改正により新たに生贄とすることができるようになったものは、質の良い果実、純度の高い魔力鉱石、魂を込めて制作された芸術品など。サンプルとして『小さな鍵』が持ち込んだ物品の中では、極東のマンガ本が特に好評であったという。

『小さな鍵』代表シェバート・レアム氏は「歴史的にも大変意義のある会談となった。これにより、黒魔術は国内に広く普及していくことになるだろう。私自身も、黒魔術のさらなる発展のため尽力していきたい」と述べた。

また、カラクス渉外大臣はこの会談の結果について「古くからの制約を撤廃することには反対意見も多くあるだろう。だが、時代は絶えず変化している。我々のあり方もまた柔軟に変化していくべきだ」と述べた上で「なお、どうしても納得ができないという者は私を倒しに来るといい。私の心臓を手に入れた者には渉外大臣の椅子をくれてやる」と悪魔界内の反対派を牽制する姿勢をとった。

改正されたユエル悪魔生賛条約は次の新月の日から施行開始となる。黒魔術が安全・安心な魔術として世界に広がる日も近いのかもしれない。

国王、建国記念式典の詠唱で不正行為?

呪文の詠唱を苦手とする魔法使いは多い。

発音の難しい単語が多く、さらに一度でも詰まったり噛んだりするとまた唱え直し……詠唱の終盤で失敗して「ああもう!」となった経験がある方も決して少なくないだろう。

そして公式にもっとも長いと言われているのが、レガリア国の建国記念式典にて国王によって暗唱される習わしの呪文『シェアハピ』である。

先日おこなわれた記念式典では国王が初めて最後まで『シェアハピ』詠唱に成功し、感動を巻き起こしたばかり。

国民の健康と幸福ならびに国の繁栄を祈る内容で、文字数にしておよそ5000、すべて読み終えるのに15分ほどかかる。

さらに『シェアハピ』は一冊の魔導書に記載されており、呪文は魔導書の気分によって毎年変更されるため、国王は毎年新しい呪文を覚え直すことになる。

途中で失敗してしまうと国の運勢が傾くと言われているため責任重大である。

ところがなんと、今回国王の詠唱に不正が発覚したという。

当代国王アウグスティヌス・フォン・レガリアは、呪文の詠唱が苦手な王として有名である。

前年度の呪文詠唱では開始30秒で舌を噛み、最速記録を打ちたてたばかりだ。

それが今年の式典では、突然すらすらと最後まで完璧に詠唱を終えたのである。

この結果を不審に思ったとあるゴシップ誌の記者が使い魔を飛ばし、関係者の会話を偶然聞き取ったところ……なんと鏡魔法を応用した高度なカンニングペーパーが使われていたというのだ。

演壇は国王を護るための透明な魔法防御球膜で覆ってあり、国王はその中に立って呪文を詠唱する。

その膜に半透鏡魔法(※通常の鏡魔法とは異なり、表側から当てた光は反射するが、裏側から当てた光は透過するような鏡を創りだす)を用いることで、国王側から見たときだけ呪文が映し出されるという。

当然、国民側から見てもただの透明な膜にしか見えない仕組みだ。

この疑惑は国中で広まり続け、国王はついに会見を開いて

「そのような事実はない。一年に一度の詠唱は国王として欠かすべからざる義務であり、私は入念な暗記と詠唱練習を繰り返してから本番に臨んでいる。上手になったとするならば、それは私の努力の成果である。誰が言い出したのか知らないが、無責任な噂を流すのはやめていただこう」

と防御膜の内側から流暢に語った。

ちなみに、呪文で国の運勢が左右されるというのは言い伝えに過ぎない。

これまでも数年に一度は国王が詠唱を途中で失敗していたが、レガリアはいまだ存続している。

建国記念式典では国民が「何分で失敗するか」などの賭けで盛りあがる一幕もあり、呪文の効果も疑問視されていることから、あくまでも儀式の一環という形である。

ルーンと毛生え薬で魔法暴発 頭髪が消失する重大な影響

先月27日、ルーン医療魔法で有名なドルイド高僧(532歳)が魔法を暴発させ、治療中であった60代男性の頭髪右半分を失う痛ましい事故が発生していたことが判明しました。

ドルイド側によりますと、60代男性の頭頂部に頭髪を発生させる処置を行っていたということですが、突如患者の全頭部が発光し始め爆発するなどして、処置のおよそ3分後には右半分の頭髪が消失していたということです。

医療ルーン魔法協会の調べによりますと、60代男性が普段から使用していた市販の毛生え薬「にょきにょき毛生え薬」とルーン魔法が異常な反応を起こし暴発したものであるということが判明しました。「まさか毛根まで持っていかれるとは思わなかった」と60代男性は肩を落としています。

医療魔法協会は「にょきにょき毛生え薬」を購入しているユーザー向けに、ルーン魔法を頭髪へ向けて行わないよう注意喚起のふくろう便を発送しているとのことです。

不幸な使い魔を出さないために ファミリアシェア・ハウス誕生

あなたにとって、使い魔とはどのような存在であろうか。

仕事に欠かせないワークパートナー。
家族や友人、恋人にも言えない秘密を打ち明ける相手。

恐らくさまざまな回答があり、その存在について一括りで説明をするのはとても難しい。

しかし、どの主人使い魔の関係で共通して言えることは、二者の間には確固たる信頼関係が結ばれており、あなたが惜しみない愛情を彼らに注いでいるということだろう。

それでも、世の中には主人に恵まれなかった使い魔たちが存在し、その数は決して少なくはない。

そんな彼らの行く末は悲劇的であることが多く、使い魔の野生化、衰弱による消滅は今世の大きな問題のひとつでもある。

今回そんな問題にいち早く取り組み、新たなサービスを展開したのは、近年使い魔業界に台頭してきた企業ファミトピアである。

今回、ファミトピアのCEOでもあるリリアリス・ヴィアン氏は、新たな業態として“ファミリアシェア・ハウス”を展開することを発表した。

同代表によればこのハウスは、主人たちに捨てられてしまった使い魔たちのシェルターと、魔法使いの住む住居を併合したサービスであるとのことだ。

今回建設されたハウスは4階建てとなっており、1階はシェルターと共有スペース、住居部分は2階~4階となっており各フロアに15戸設置されている。

今回のハウスでは同社が保護している使い魔のうち、有翼類を含む小型有毛種およそ10種、計50体ほどが暮らしている。

彼らは保護されたあと、FHT(Familiar Health Technican、いわゆる“使い魔看護師”)による十分な身体的、精神的ケアを受けて同ハウスで暮らしている。

リリアリス氏によれば、特に小型有毛種の使い魔たちは一度契約を結ぶと誰かに世話をしてもらうことに慣れてしまうため、契約を解除し、回復を待って自然シェルター等に譲渡しても自力で生きていくのが難しいという。

契約を解除された使い魔たちが新たな主人の下で第二の使い魔生を送れるようにとの思いで、ハウスは設立された。

設立に当たって、リリアリス氏は次のように述べている。

近年、身勝手な主人たちの都合により、不幸な最期を迎える使い魔は決して少なくありません。

弊社はそのような使い魔たちを一体でも多く救いたいという思いから、今回の“ファミリアシェア・ハウス”を誕生させました。

なお、シェルター内の使い魔は入居者であれば契約なしでパートナーとして行動できるため、複雑な手続きなしでマッチングが行える。相性のいい使い魔がいれば引き取り、専属契約を結ぶことも可能だ。

ただし、契約に当たっては同社による厳しい審査が行われる。審査基準を満たさない場合は専属契約を結べない。

今回発表されたハウスには入居希望者の問い合わせが殺到しており、倍率はおよそ150倍とみられている。反響を受け、同社では同じ形態のシェア・ハウスの建設に向けて動いていると発表した。

また、今後について、竜型種、大型獸種に向けたハウスも展開して行きたいとリリアリス氏は会見の場で述べた。

この度発表されたファミトピアによる新たな試みは、使い魔放棄問題の解決策として旋風を巻き起こすことが出来るのか、今後の動向が楽しみである。

 

ファミトピア(Famitopia)···

社名にもなってている、『ファミトピア』は、企業理念でもある、使い魔(familiar)にとっての理想郷(Utopia)提供するとの思いから、CEOリリアリス・ヴィアン氏により名付けられた。

王女に熱愛発覚! 対立関係にある魔法協会関係者と

当新聞社独自の取材で、ソフィア王国の第五王女ライア姫(18)と魔法協会会長の息子である第一級魔術師アイル=ドーン氏(20)の熱愛が発覚した。

二人は昨年行われた新魔法技術発表会にて出会ったのがきっかけで、そこから交際がはじまったという。

一見微笑ましいお二人に見えるが、実は問題だらけ。

ソフィア王国といえばアイシュケイン山脈の麓にある小国ではあるが、昔から優秀な魔術師を輩出していることでも名を知られたな国だ。

例えば15年前に起きた同国の戦士の半数を失ったとされるナム=ロックの反乱で、反乱軍の半数以上と首謀者であるナム=ロックを倒した人物は、ソフィアの英雄と呼ばれるキャップ=エイツエイン。他国でも名が知られている特一級魔術師だ。

それだけに、ソフィア国内では魔法協会の力が強い。王参加の下行われる王国会議での魔法協会会長の発言力も強く、会議参加者である貴族の中で会長を支持する声は多い。もちろん王国側がそれを良く思うはずもなく、いわば王宮と魔法協会は長年対立関係にある。王に近い側近によると、いつ国内で内紛が起きてもおかしくない状況だという。

そこで発覚した今回の熱愛。

これは二人だけの問題ではなく、政治的問題も多分に抱えている。

また二人が会話をする際に、王宮内では使用を禁止されている水晶を使っていたことが処罰の対象となり、それもまた事態を複雑にさせている。

今回の件に関して王宮からの発表はなく、当新聞社の記者がアイル氏にインタビューを申し込んだが、いまのところ返答はない。

はたしてこの恋の行方はどうなるのであろうか。

お二人が幸せになることを祈るばかりである。

新たな知見、珠世界概念の提唱

異世界研究の第一人者であるセルタニアウス・ナ・ミア氏は異世界の概念について新たな知見を明らかにした。

時、空間、意識で形作られている我々の三次元世界は、多次元的展開をしても時、空間、意識からは大きく離れない。

並行世界は縦を時間軸、横を可能性軸、そして点を意識と置けば考えやすいであろうか。

我々は三次元に生きているが、意識を高次元に持っていき、俯瞰から除けば我々の三次元は広い布に落ちた点である。これをセレタニアウス氏は織世界と名付けた。

それを念頭においた新たな概念が珠世界である

珠世界とは、どこにでもいていつでもあって個が全であり全が個である世界だ。

この世界では時間がくるくると回っている。

と共に固定の場所がない。

もし我々、織世界の意識が珠世界に行ってしまった場合、珠世界に溶けて消える。

セレタニアウス氏は妖精や神霊の類はこの世界線で存在していると思われると語った。

精霊分野はまだまだ不明瞭なことが多く、また研究もしづらいため、この概念を用いれば彼らの世界を我々の意識に落とし込めるかもしれない。

並びに珠世界概念が発展し、呪文に流用できるようになれば不完全であった永久保存魔法や時の加速、時間の干渉を超えた研究などさまざまな分類が発展するであろう。

この新たな概念は是非深まっていってほしいものである。