ついに解明!ドッペルゲンガーの呪いはアレルギーだった

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 アトス大学付属呪術研究院がこの衝撃の発表をしたのは今年の陽炎の月8日のことである。これまで「不可避の災厄」「世界最悪のキャラ被り」「ご本人消滅ドッキリ」と怖れ続けられてきた呪術現象「ドッペルゲンガー」がついに解明されたのだ。

そもそもドッペルゲンガーとは

 博識な読者の皆様ならご存知であろうがここで一度そもそも「ドッペルゲンガーとは何か」というのを確認したい。ドッペルゲンガーとは平たく言えばもう1人の自分である。発生原因については集合無意識が空間中のマナを核として結晶化したもの、チェンジリングのような現象でかつて取り上げられた自分の存在の半分と諸説あり現在も研究中だがこの現象において最もポピュラーかつ恐ろしい現象に「自分のドッペルゲンガーを見たものは死ぬ」というものがある。13年前アイアス地方において精霊式擬似世界循環魔力炉「ミニマム・テラ」の開発に成功したとされるバルブズ・ボルベンバーン氏がその理論発表中自らのドッペルゲンガーを目にしてしまい世界の魔力リソース事情を一変させかねなかった技術が日の目を浴びる直前に霧散してしまったことは魔術史に新しい。

死因はアレルギー

 今回アトス大学付属呪術研究院が発見したのはこの永らく呪術的なものだと考えられていたドッペルゲンガー目撃による死亡の詳細な原因である。遺体を調べても人の手による呪術の痕跡が見られなかったため限りなく「現象」に近い自然呪術であると考えられてはいたものの自然呪術、いわば祟りに必要なトリガーが見つからなかったため詳細な原因は不明とされてきた。しかし院は

「呪術の痕跡がないんだからそもそも呪術じゃないのでは????」

とこれまで誰も思いつかなかった発想によりとある仮定を発表した。それは

「ドッペルゲンガーの死因は呪術ではなく自分と同一存在という何よりも自己の存在を脅かす存在に対し体内の魔力器官が過剰に反応、それによりアナフィラキシーショックが発生して死に至る。」というものだ。

 この説を立証するために院はある実験を敢行した。世界で同時に二ヶ所で観測された、つまりドッペルゲンガーの存在が確認された人物に対して24時間体制で変装魔術を応用した本人の「超そっくりさん」をそばに置き「自分以外の自分という存在」に対する免疫をつけ一定期間後にドッペルゲンガーに接触させるものだ。実験は大成功を収め被験者は身体中の穴という穴から粘度の高い液状の魔力を吹き出したがそれに伴う魔力欠乏のみで死には至らなかったのだ。この結果を受けて院は

「変装魔術のスペシャリストには限りがあるため今後は魔術界において重要な存在を中心に同様の措置を取り、13年前のような損失が発生しないようにしたい。」とコメントしている。

ついに解明されたドッペルゲンガーによる死因、この発見はこれから多くの命を救うことになるだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*