前年度に引き続き、現世に留まる幽霊の数が3割減少したことが霊勢調査で判明した。
調査を行った霊務省によると、最盛期はおおよそ人口の8倍はいたと言われる幽霊が、近年は5倍にまで減っているとの事。 霊務省が調査の対象としている霊魂は、人類、魔族、エルフ族、オーク族、ドリアード族、ケンタウロス族、妖精族、ウンディーネ族、マーメイド族、それぞれの種と同起源をもつ亜種とされる種族の霊魂である。精霊、聖霊は含まれない。これらの種族は現世に留まる意思が強い個体が多く、その霊魂は有史以来生者と共に歩んできた。
現世離れの背景には、『同時期に死んだ人々が現世を離れたから』『恨んでいた人から、霊媒師を通じて正式な謝罪を頂いた』といった、同世代の他界と生者との強い繋がりがあるようだ。古くはただ神秘や恐怖の対象となっていた幽霊も、時代を経て多様な生き方(漂い方)を選び、『現世に残るだけが死後じゃない』といった考え方も広まっているようだ。
この現世離れは今後より加速していく見通しだという。