さて、みなさんは治療魔法はご存知ですか?
治療魔法は、
- 傷の修復
- 炎症抑制
の2つが主な目的で使われる魔法です。
しかし、この魔法では命に関わるような重大な怪我には対応しきれないという弱点があります。
その弱点の克服のため、昨今新たな魔法の研究も進められています。
魔法の名前は「再生魔法」。
今回は治療魔法との差異も含めて説明していきます。
治療魔法の仕組み
そもそも治療魔法は上記のように主に傷を治す、炎症を抑える目的で使用されることが多かったです。
例えば、けがを負った際、
- 怪我をした部位に血小板が集まる
- 怪我で死んだ細胞、侵入してきた細菌を白血球が除去
- 線維芽細胞がコラーゲンを生成し、傷口をくっつける
- くっついた上から表皮細胞が覆い、完全にふさぐ
というメカニズムで傷は治ります。
傷口をふさぐときに使う魔法は、そのメカニズムを速め、人体の修復力を高めるものです。
炎症を抑える魔法も同じように人体の修復力を高めることが目的です。
炎症自体は、
- 病原、もしくは外傷による細胞破壊や体内の異常検知
- 炎症を起こす細胞がその部分に集まる
- 水分や細胞がその部分に集中し、赤く腫れる
というメカニズムです。ついでに炎症を起こすことで熱を出させたり、痛みを感じさせたりすることで安静にするという意味もあります。
治療魔法の限界
治療魔法自体には傷を治したり病気を治したりする効果はありません。
あくまでも治癒能力の増大を図ることが目的です。
そもそも、この魔法は高位の魔法使い、それこそ賢者と呼ばれるような人たちや特定の種族しか使えない「回復魔法」がなくとも一定の治療効果を与えるために開発されました。
そのため、習得すればだれにでも使えるようになるという点が長所です。
しかし、命にかかわるような重大な怪我や手足の欠損、壊死などは本人の治癒能力を増大させても完全に元通りにすることはできません。
これが治療魔法の限界でした。
新たな可能性「再生魔法」
上記のように治療魔法では命にかかわるような重大な怪我には対応しきれません。
そこで昨今研究されているのが「再生魔法」です。
この魔法の最大の特徴は「元あった状態に戻す」という点にあります。
回復魔法は治す、再生魔法は戻す、という解釈で構いません。
時空魔法と治療魔法を組み合わせることで、例えば無くなった手足を取り戻すことも可能になると考えられています。
仕組みとしては至極単純で、欠損部位に時空魔法で怪我をする前の状態の部位を復元し、固定させます。
しかしご存知の通り、生きたものの時間を巻き戻す際は全身にかかるようにすることが前提です。体の中で時間が異なると様々なエラーを引き起こすからです。
このエラーも、時空魔法により現在と復元した過去の魔力が拒絶反応を起こすのが原因ではないかと考えられています。
そのため現在は、この時空魔法における課題をクリアするための研究が進められています。
まとめ
私たちが生活するうえで怪我や病気は避けては通れません。
特に狂暴化した魔獣や魔法実験の失敗などが関わる怪我は、常に死と隣り合わせです。
死を遠ざける再生魔法はとても画期的な理論ですが、乗り越えるべき課題はとても多いです。
これからの開発を期待して待ちましょう。