密猟被害のカーバンクル、合成宝石で回復へ

先日、大都市近郊の廃城から数匹の宝石を失ったカーバンクル(宝石獣)が保護された。これを受けて、魔法動物保護団体(MAPO)と魔宝石協会が共同研究し、宝石を失ったカーバンクルの額に新たな合成宝石を施すことで回復させることに成功した。回復したカーバンクルたちは、念の為王立動物園で保護され経過を観察されるという。

合成宝石は宝石と同成分の石を魔術的に合成し、カットしたもの。一般的な市場に出回る合成宝石ではカーバンクルに定着しなかったため、今回は魔法動物学者の手を借りてよりカーバンクルの紅玉に近い成分を実現した。MAPOによると、カーバンクル用の合成宝石は相当量の魔力と労力を要するため、現時点での量産は不可能とのこと。

本来カーバンクルは額の宝石を通じて魔力を得て生きる、おとなしい生物である。宝石そのものの効能は明らかにされていないが、魔力がろ過されるということで、古くから天然の魔力清浄機として神聖視されていた。そのため古来は一部の貴族や王族が権力の象徴として飼っていた記録が残っている。産業革命後は養殖も試されてきたが、効果は見られず、依然として数は少ない。それにもかかわらず、宝石やペットとしての需要は高く、絶滅も危惧されている。

近年の天然鉱石の大幅な減少により、カーバンクルの密猟およびその額の紅玉の盗難が年々増加している。カーバンクルの紅玉の密猟を行った場合は、その量により定められた期間中は商品売買を禁止され、最悪の場合懲役刑が課される。くれぐれも手を出さないようにしていただきたい。

くっ病、ひろがる

 本日14時、魔法衛生局が「くっ病」に対する注意喚起を行った。

 くっ病とは、極めて特異な状態異常を引き起こす病である。

 「くっ……! 俺の右目が疼く」「くっ……! 離れろ、俺の左腕が何をしでかすか分からない」等、くっ……!から始まる言葉をひとりでに話し出すことから、この名前がつけられた。

 くっ病は一度発症者が観測されると、周囲の人間に驚異的なスピードで感染し、発症者同士で謎のコミュニティが形成される。このコミュニティ内部では独自の言語体系が築かれており、外部の者による解読は極めて困難である。

 発見当初はただの妄想・年齢特有の悪ふざけのように扱われていたが、同様の言葉を発する人間が全世界で数多く発見されたため、魔法衛生局によって病態認定された。特に若年者の発症が多いが、魔法医による診察・解析では、呪術、妖精、悪霊いずれの痕跡も見つかっていない。

 長時間のカウンセリングを行うと、多くの場合赤面して肩を震わせ、しばらくは病態が治まるが、数日後に再発する場合が多い。致死性はなく、年齢とともに病態が消滅していくものの、家族関係に重大な亀裂を生じさせる場合もあり、魔法衛生局によって「クラスD(悪魔のせい)」に認定されている。

アーティセンナ美術館で絵画魔法展開催 9月20日から

アーティセンナ美術館の特別展として絵画魔法展が開催されることが発表された。

絵画魔法の展示は、基本的にレイラインの影響が少ない郊外で行われる。首都アーティセンナでの絵画魔法の展示は500年ぶり2度目。

開催にあたり、展示される絵画は額縁による魔法強度の調整と『花の帽子飾りをつけた若き魔女』によるカウンセリングを受け、当日の状態によっては展示内容を変更する。

展示内容が確約できない点について、『花の帽子飾りをつけた若き魔女』はこのように語った。

前回の絵画魔法展では、観賞されることに慣れない絵画魔法がパニックを起こし、魔法暴走を起こして死傷者を出してしまった。魔法使いがそうであるように、絵画の性格も様々。展示される、観賞されることを第一の喜びとする絵画を集め、万全の状態で臨むつもりですが、場合によっては展示の中止、中断に踏み切る必要もあります。

今回の展示では、『花の帽子飾りをつけた若き魔女』自身も展示される予定。人と絵画の対話をコンセプトとした絵画魔法らしく、観覧者との対話も展示のひとつとなる。

他、先日絵画魔法化した『猫の集会』や、レン・パーティカンの連作『舞踏』が展示される予定。いずれも絵画猫との触れ合いや、幻想魔法を利用した空間を見せる展示となり、絵画魔法ならではの内容となる。

中でも注目されるのは『舞踏』シリーズ。『赤の舞踏』が起こした魔法暴走、『花の舞踏』の真作報道と話題の多かった彼女たちだが、絵画魔法展では本来注目されるべき名画としての美しさを見せてくれるだろう。

絵画魔法展の開催は9月20日から1ヶ月間。状況によって、入場規制や展示期間の短縮が行われる場合がある。

気まぐれ魔導書レビュー(オープンチャット編)

お久しぶりです!

 

マジックマーケットで死にかけていた瑞々です!

 

今回はやばかったですね……来年の世界魔法選手権開催に伴う工事で、会場を半分近く閉鎖。

 

代わりに会場のはずれに疑似拡大空間を展開してブースを置きましたが、それでも会場体積比4割減。

 

結果、3日間開催から5日間開催へ。

 

既存会場は設備改良があり、魔術導線も改良されかなり過ごしやすかったですが、問題は疑似拡大空間の方。

 

疑似拡大とか言っても、結局異空間であることには変わりないですからね、あれ。

 

下手すると混沌に呑まれかねません。

 

そして、開催期間が延びればその分参加者も増えるわけで、待機列は相も変わらずつらい。

 

次回には改善されてるといいですがね……

 

 

さて、それでは今日の本題。

 

オープンチャット、皆さん始めましたか?

 

知らない方のために説明すると、魔法メッセージでご存じLIMELINEがつい先日始めたばかりの新サービスです。

 

チャットルームのリンクを相手に渡すだけで招待できる、チャットルームごとにハンドルネームやプロフィールを設定できる……など、何だか古の掲示板をほうふつとさせるようなサービスになっております。

 

それでいて、LIMELINEですから知らない人はいない。

 

自分もさっそくいくつかのチャットルームに入ってみました。

 

種族、年齢、職業、出身地などのような区切りのものから、趣味やイベントごとのルーム、果てはセミナー系の少々いかがわしいようなルームまであります。

 

「ルームを宣伝するルーム」とか、「ルームを管理するルーム」とかまで出てきて、何でもありの予感。

 

LIMELINEですから気軽に始められますし、しっかり管理されて活発なルームを選べば、結構楽しいです。キリ番とか踏んでみたい。

 

ただ案の定、荒らし炎上が大量発生してますね……

知ってる範囲だと魔法理論を学び始めたばかりの子供が詠唱をルームに書き込んで強制発動させ魔法事故につながったりとか。メッセージ連投でルームを破壊したりとか。

あと多いのが明らかな出会い系ってやつですね。しかも種族、年齢、性別の詐称がひどい。

これの何がまずいかって、子供が冗談半分で書き込んだことを若者が本気にしちゃうんですね。エルフの100歳だと思ったロリコン気味の男子が会いに行ったら人間の100歳だったりとか。

 

魔導書関連で行くと、内容を勝手に書き込んでセーフアウトの大騒ぎになったりとか。

批評しあってリアルファイトに発展したりとか。

 

 

あまりにひどいんで、LIMELINE側で規制をどんどん強化しています。

とりあえずサービス開始直後にルーム検索機能を停止。

ルーム管理人への権限強化。

悪質アカウントへの凍結対応。

 

結構一般のニュースでも話題に出た後なんで、イメージ低下につながらないといいのですが。

 

 

魔導書読みの観点からいうと、気軽な交流ツールが増えたなという感じです。

特に同人作家の皆さんとか喜びそうで。じきにオープンチャット魔導書とかできるんじゃないでしょうか。

 

 

さて、せっかくなので自分もルームを立ててみました。

オープンチャット「魔導書情報共有ルーム(byまほおん)」に招待されました。下のリンクから参加できます。
https://line.me/ti/g2/CPbyYr8XvuUvHG0SfLsi-g

 

自分が魔導書に関する情報を発信するほか、皆さんからの情報収集も兼ねておりますので、是非皆さま参加して頂けると嬉しいです、というか普通に魔導書関連の雑談をしていただいて結構です!

 

それではまた!

100歳以下の魔法事故、過去最悪の件数に

 魔法統計庁は先週末、魔法事故に関する半期の統計調査を公開した。それによれば、100歳以下の魔法事故の報告件数が過去10年間で最も多くなっていた。さらに、魔法事故は大抵の場合魔法使いの習熟不足で起こるので、報告に登らずに隠蔽されることも少なからずあることから、実際の件数はさらに多いと見られる。

魔法事故の年齢分布  青が100歳以下

 事故の内容としては、「ゴーレム製造中に術式が解けて素材の下敷きになる」が最も多く、「魔獣の召喚後調伏に失敗して襲われる」がそれに次いで多い。一方で製造・召喚系の魔法事故による死亡者数は年々減少しており、魔法事故全体を見ると住居・工房の破損の被害の方が多くなっている。

 これについて魔法事故鑑定人のポテト・フライヤー氏は以下のような見解を述べている。

 

「魔法学校のカリキュラム変更によって、攻撃魔法偏重の教育が改められた。結果回復魔法の質が100歳以上の世代が学生だった時よりも高まっている。

 以前なら死に繋がっていたような怪我も瞬時に直せるようになり、その弊害として自分の実力に見合わない無謀な行為をする若者が増えたのではないか」

 魔法議会は統計結果を重く受け止め、一定以上の大きさのゴーレムの製造を許可制にする、危険度の高い魔獣の召喚は上位の魔法使いの監督の下で行う、等の法令の設備を検討しているという。

孤児院の院長の魂が精霊化 子どもたちの守護精霊へ

新たな守護精霊の誕生に、小さな町が沸いた。

ハウザル地方北部の田舎町・シアンで、新たな守護精霊が発見された。孤児院とその子どもたち、そして地域に生まれた子どもを守護しているとみられ、近く正式に守護精霊として名前を与えられ、登録される。

王立アトス大学精霊学部のマンシェ・ル・ドードル教授は、新しい守護精霊についてこのように語った。

孤児院で暮らす職員や子どもたちの証言によると、守護精霊は先月亡くなった孤児院の院長の魂が精霊化したものと思われます。彼の魂が墓に備えられた花を吸収し、参拝者の哀悼の感情を受け取って精霊の形をとったと考えられる現象が度々発生していました。

ドードル教授の教え子の中にはシアンの孤児院で育った学生がいた。彼女がドードル教授に相談したことで、院長の魂が守護精霊化していることが早期に明らかになったという。

守護精霊は正式に登録されることで人々に認知され、精霊としての力をつけていく。孤児院の子どもたちや出身者によって、守護精霊はすでに孤児院から町全体へ力を広げている。

シアンで生まれた守護精霊がハウザル地方全体の子どもを守る日も、そう遠くはないのかもしれない。

贋作疑惑の絵画魔法『花の舞踏』 真作と判明

レン・パーティカンの舞踏シリーズに似せた贋作とされていた『花の舞踏』が真作であると判明した。メンナ絵画魔法研究所が発表。

これまで、舞踏シリーズは四大元素の精霊と乙女を描いたものと考えられており、赤・青・白・黒の四作で完結したものとされていた。『花の舞踏』はパーティカンの弟子が舞踏シリーズの人気に乗じて描かれたものと思われていたが、使用された画材の年代特定や筆使いの解析が進み、パーティカン本人の作として認められることとなった。

これについてメンナ絵画魔法研究所の所長は、「この疑惑を解決した解析魔法の研究者、そしてその講師者に深く感謝したい。なにより、これまで贋作として扱ってしまった『花の舞踏』へ謝罪し、その名誉を回復するため、メンナ絵画魔法研究所の総力をあげて彼女をサポートしたい」コメントした。

一方『花の舞踏』は、絵画魔法研究家で自身も絵画の『花の帽子飾りをつけた若き魔女』を通じて「私の父親がレン・パーティカンと証明されてうれしい」と表明。「『赤の舞踏』が元気になったら、みなさまの前で姉妹そろって踊りたい」と今後について語った。

クラヒル飛行船停留所で暴発した『赤の舞踏』は、メンナ絵画魔法研究所での修復作業を完了させている。現在は『花の帽子飾りをつけた若き魔女』によるカウンセリングを受けており、心身ともに絵画として万全の状態になってから、再び展示に戻るとみられている。

新種発見で鳥のささやき病に進展 病気ではなかった可能性

原因不明の奇病として扱われてきた“鳥のささやき病”について進展があった。幻聴と思われていた「鳥のささやき」は、実在する鳥の鳴き声だったことが判明した。近く、世界医療魔法連盟が声明を発表する。

鳥のささやき病は、周りに鳥がいないのにさえずりのような音が聞こえる病気。ンジルンダ島で春の期間に限り発症が確認されている。一時的な集団精神汚染や幻術魔法の暴走により発症すると推測されていたが、発症する環境に統一性はない。

先日魔法動物省の研究チームが発表した内容によると、ンジルンダ島には「姿の見えない鳥」が生息していた。ンジルンダ島の固有種とみられ、研究チームはこの鳥を「ンジルンダカラカゴトリ」と名付け新種として登録した。

ンジルンダカラカゴトリは、幻術魔法を帯びた羽根で周囲の景色と同化しており、外敵から身を守っている。互いの姿が見えないため、繁殖期に入ると鳴き声で異性にアピールするのではないだろうか。

(魔法動物省 研究チームの発表より)

発表を受け、ンジルンダ市長は「住民の長年の悩みだった病に答えが出たことは素直にうれしい。しかし、高齢の住民を中心に、心理的に受け入れられない発表だった。魔法動物省の担当者と連携を取り、住民のみなさまに丁寧に説明していく必要がある」と発表した。

病気ではなかった鳥のささやき病。住民がその事実を受け入れるまで、まだ時間がかかるのかもしれない。

王立魔法生物学研究所よりお詫び

このたび、当魔法生物研究所の熱帯多雨林模倣飼育室より、指定魔法生物であるサソリの一種・ルナティックスパイク(medicamentum lymphatus)が、オスとメスの番で盗難されたことがわかりました。謹んでお詫び申し上げます。

ルナティックスパイクが有する毒は「万毒の祖」とも呼ばれ、特に体内の神経と魔力に作用し、強力な幻覚作用を引き起こします。あらゆる毒に悪用が可能な本種ですが、魔術的に空間を拡張して自然を再現した環境で飼育されており、個体数の確認が不十分だったため発覚が遅れました。また、当研究所の管理システムの記録を解析しても、外部犯より内部犯の可能性が高かったため、盗難された事実の確認がとれるまで時間を要しましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

ルナティックスパイクの飼育個体数が減少していたことは、半期に一度行っている、飼育下の全魔法生物の個体数調査を行った際に発覚いたしました。餌の減少量の記録から盗難時期を推定し、警備を行っていた職員の記憶を精査したところ、一部の職員において記憶の混濁が確認されました。外部犯の可能性が高まり、捜査当局へ詳しい調査を依頼したところ、盗難であることが確定いたしました。

ルナティックスパイクは、体長45センチメートルほどに成長する大型のサソリであり、頭がムラサキ色で尻尾にかけて深緑色のグラデーションがかかっていることが特徴です。このようなサソリを所持する人物を見かけたら、まずは十分な距離を取った上で、王立魔法生物学研究所などにご連絡ください。

皆様におかれましては、大変なご不安をおかけいたしますこと、誠に申し訳ございませんでした。

新型トイレ導入で学内紛糾 – アトス大

王立アトス大学では、新型トイレ導入をめぐる対立が激しさを増している。近代魔術学部学長のズゾパヌル・ウャ教授(83)は、評議員会と理事会で新型トイレ設置の承認をもぎ取った。しかし反発した一部の教職員側がズゾパヌル教授に呪いをかけるなど、抗議を続けている。背景には、神秘学部の主導する神学的な対立があるようだ。

左:旧型/右:新型

「近年、尻尾のある種族や多脚型の学生が増加している」「多様な学生に配慮した、使いやすいデザインであるべきだ」

先月67日に開かれたアトス大の評議員会では、新型トイレの導入をめぐり朝まで激論が交わされたという。関係者によると、評議員37865人の投票で、選任案賛成は委任状を含め過半数を超える19865票。続く理事会も「評議員会の判断を尊重する」などの意見が多数を占め、新型トイレは順次導入されることに決まった。

そこに待ったをかけたのが、フル・フルチ名誉教授(509)率いる神秘学部の講師陣だった。フル名誉教授は19年前まで教皇庁直轄の異端審問所に籍を置き、現在も聖キャベツ派の最右翼として知られている。
「元・異端審問官として、伝統を破壊するような蛮行は見逃せぬ」
そう叫ぶフル教授は、素手で新型導入派の職員を薙ぎ倒したという。教授は異端審問官時代は暗殺部門一の使い手として鳴らした武闘派。新型トイレ導入派の職員は、首をはねられる等の重軽傷を負った。

フル教授ら神秘学部の講師陣は、今も南キャンパス8階のトイレを占拠している。伝統的な異端審問官の黒衣すら脱ぎ捨て、不退転の意志を見せた。

▲(参考資料)異端審問官の黒衣

「まったく、半裸のおっさん達に居座られて、こっちはたまったもんじゃないですよ」
8階トイレ氏自身が困惑の表情でそう語った。
「なんでもいいから、トイレで流血沙汰はやめてほしいですね。流すのは紙だけにしてほしいです」

新型トイレに改装予定だった8階トイレ氏本人は、図らずも新旧の対立に巻き込まれた形。新型トイレを巡る紛争は、今しばらく続きそうだ。